私の眉毛は薄い。
けれど、はっきりくっきりの眉毛は自分の顔には不似合いだと思っているので、眉を描く時は、ペンシルの芯は短く先は丸く太くして、きつい線にならないように自然に仕上げる。 昨日、ペンシルの芯を削った。 削り立ての芯はどうしても先が細くなるので気を付けないといつも失敗をすると思いつつも案の定、濃い線になってしまった。 ブラシでぼかしたり、綿棒でこすり取ったりしたけれど眉の幅が広がるばかり、朝は時間がない、そのまま仕事に出かけた。 午後からの30分もその顔で済ませ、結局は一日中、犬に眉毛を書いたような顔で過ごした(^_^;)
昔、仕事で一泊旅行の引率をした時、先輩の職員が〝○○さんは眉毛に一時間かかるから、化粧の前に朝食に連れて行くよ〟と云った。
○○さんは、芸者さんをしていたという人でいつも和服を着て髪を結い上げて、眉も紅もしっかり付けている人だった。 本人も気づかぬ間に朝食を終え帰路のバスの中も何事もなかったけれど、昼食に立ち寄ったドライヴイン、当然トイレも使用するし当然鏡も見る、そしてそこで○○さんはハタと気が付いた〝あら、ちょっと!眉毛ないんでしょ!〟 と言って描き始めた。 驚いたのは描いては消し、描いては消しで、本当に一時間かかった事だ。 可笑しいやら申し訳ないやらだったけど、すごい!と思った。
人を思い出す時、目鼻立ちは分かるけどはたしてどんな形の眉だったかは殆ど印象にない。 けれど眉は、なくてはならない存在感のある顔の部品なのだなぁ~と、昔の思い出と共に犬に眉毛を描いたようなおかしな自分の顔を見て
しみじみと眉毛に思いを寄せた昨日だった。