『 残る熱 』

　「あっ、」
乱れた呼吸の整ったころ、ベッドの上にゆっくりと起き上がった彼女が、自分の顔が写りこんだ鏡を見て小さく声を上げた。
「何？」
彼女を後ろから抱きながら、鏡の中に二人の顔が並ぶように彼女の肩ごしに鏡をのぞきこんだ。
「私・・・、私の顔・・・」
自分の顔を見ながら、何かを言いかけた。
「さっきよりすごく綺麗だ。色っぽい顔になった。」
彼女の耳元でそっとつぶやき、彼女のその細い首筋に唇を這わせた。
「女になっちゃった。」
そう、彼女がまた小さくつぶやいた。
ベッドに入る前の彼女は、戸惑いと疲れとどこかに棘を潜ませたような顔をしていた。そのどれも、ベッドの中の乱れの中へ捨ててしまったかのように、今の彼女はふんわりとした女の顔になっている。女というものはそういうものなのだろうか。
彼女の胸を手の中に包み込ながら、そのまま首筋から背中へとゆっくりと唇を移動させた。彼女はまた、その体温を上げながら呼吸を少しずつ乱していく。後ろから抱え込んでいる自分のほうへその体重を移動させながら。ゆっくりとゆっくりと、再び溶け初めていく。いままで逢うことができなかった、その時間を惜しむかのように。その時間を楽しむかのように。






後で追記するかも・・・