朝焼けを見るために

神様からの贈り物。一瞬の時。

覗いたのは

2006-02-12 15:42:19 | 流水子
「あなたが先にのぞいたのよ。」
私は、そうあなたに呟いた。
あなたは、私であって私ではない、私ではなく私の顔を見ている。
私が、あなたのあなたでない、あなたでないあなたの顔を覗いてしまったように。
お互いが覗いてしまった顔を、気づかないふりをしながらやりすごす。

そう、どこか似た匂いを感じ、
あなたにどんどん惹かれていく。
それがどんな感情なのかはわからないけれど。
ただ匂いを感じ、あなたの顔を覗いてしまった。

それは、あなたが私の顔を偶然に覗いてしまったように。

偶然が偶然をよび、
それが必然となり、
そこに何かを見るけてしまう。
見なくても、みつけなくてもいいもを。
覗かれたくはないものを、
人はだれでも心の隅っこに持っている。
それを覗かれてしまうということは、
故意に覗かせているか。

顔をみてしまったもの同士、傷をなめうことはしないでおこうと無言のうちに了承しあう。
距離は縮まり、深くなる。
そして広く、遠く見詰め合う。

背中の片隅で感じあう、そのことに今は互いの重さを比べている。


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