美容外科医の眼 《世相にメス》 日本と韓国、中国などの美容整形について

東洋経済日報に掲載されている 『 アジアン美容クリニック 院長 鄭憲 』 のコラムです。

ダーウィンの進化論

2009-02-12 11:39:42 | Weblog

 

ダーウィンの進化論

今年は 進化論で知られるダーウィン生誕200年にあたるそうです。ダーウィンの生まれた1909212日、16代アメリカ大統領のリンカーンもケンタッキー州で産声をあげました。進化論と奴隷解放の父が 奇しくも同じ日に生を受けたことになります。

ダーウィンがその著「種の起源」でいう進化論といえば言うまでもなく、生物が様々な環境の変化に直面したとき、突然変異などで少しづつ変化し、その環境に適合し順応できたものが、その種の中で生き残り、その他は自然淘汰されて行くというものです。学校の生物の時間などでも、よく取り上げられた内容として、私たちには比較的 理解しやすい理論です。遺伝学の発達もあり。科学的には受け入れられているこの理論ですが、社会的には 十分受け入れられていない面があります。特に宗教的な立場から創造論を唱える人々からは、進化論への多くの批判があるのも事実のようです。創造論は 創世記にあるように世界は神が7日間かけて世界、動植物、人間を創ったというものです。無神論者や信仰を持たないひとの多い日本では、奇異に感じるかもしれませんが、科学先進国のアメリカの幾つかの州では、1900年以降、進化論を学校で教えることを制限しようと訴える裁判が 何度か起こされていますし、リンカーンの生まれたケンタッキー州には進化論を否定する博物館まで建てられています。最近でも宇宙や生命を創造した偉大なる存在を認めようというインテリジェンス・デザイン説(I.D説)を公教育に取り入れようという動きがあり、実際に多数決で採決した州もあります。アメリカの保守派だけでなくイスラム原理主義を唱える人々の立場からも、進化論は否定されています。ダーウィン生誕200年は、あらためて世界には様々な価値観があることを再確認する機会かも知れません。

 独学で世界最高峰のバイオリン作りになった在日1世の陳 昌鉉(チン・チャンヒョン)さんがガラパゴス諸島のダーウィン研究所を訪れた話を読んだことがあります。そこでは世界の少数民族の研究もしていて、在日韓国人の将来に関してはかなり悲観的な予測を聞いたとありました。アイデンティティーを強く持たない民族は自然淘汰の第一候補であると・・・「アイデンティティーを高めるため在日社会が次世代にもっともっと投資しなければいけない。」こう思うのは、陳さんだけではないでしょう。

『東洋経済日報 2009.2月掲載』

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カリスマの誕生と凋落

2009-02-12 11:30:51 | Weblog

 

カリスマの誕生と凋落

 カリスマ(charisma)とは古代ギリシア語で「寵愛」「恵み」「贈り物」などを意味することから 神から与えられた特殊な能力を持つ人、大衆を惹きつける教祖的人物を指す言葉です。一時 流行語として、カリスマ美容師から始まり、塾のカリスマ講師、女性服店のカリスマ販売員と何にでも 接頭語のようにつけられてしまい言葉のカリスマ性?がなくなってしまいました。これは、ここ数年の日本社会が比較的平和で、強烈な個性や 強い指導力を求めるより、手の届く身近な案内人を望んでいるとも考えられえます。

 一方、社会が不安定な時期には 人々は 将来への方向性やビジョンを明確に示してくれる本来のカリスマ的人物を嘱望するようになります。韓国での今回の「ミネルヴァ騒動」はまさに経済不況に恐れおののく国民心理と、情報網としてインターネット依存度の高い生活環境から生まれた社会現象でした。昨年9月に「ミネルヴァ」というハンドルネームでネット上の掲示板のせられた書き込みが、その5日後のリーマンブラザースの破綻を予見したことが全ての始まりでした。掲示板へのアクセス数は4000万を超え、ネットユーザーやマスコミは「インターネット経済長官」「経済大統領」と持ち上げ書き込み内容に注目したのです。しかし、政府の経済政策に関して虚偽の情報を流したということで今年110日に31歳の無職の男が逮捕、起訴されました。彼は理工系大学出身で、ネット上や本で経済知識を勉強したということでした。実際書き込み内容も他の論文や情報の引用が多かったようです。一部のマスコミ、経済学者そして前経済主席秘書官までが経済の師とまで持ち上げた結果としては寂しい気がします。

 この事件は ネットの発達により誰でも独学で専門的知識を得られる時代であると肯定的に捉えたいですが、それだけに膨大な知識をどう判断するかが、結局より重要であることを問われているのでしょう。ちなみに「ミネルヴァ」はローマ神話に出てくる知識、工芸、医学、戦争の女神です。残念ながら経済、商売の神ではありません。

 『東洋経済日報 2009.2掲載』

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