体に良い食品、悪い食品
診療をしているとき、よく患者さんに自分がやっている健康法、美容法 また 何とかに良い漢方薬、サプリメント、食品などに関して 私の意見を求められることがあります。医学的な常識で答えられるものなら、その範囲で説明しますが、私自身聞いたこともない成分だったり、商品名だけで患者さん自身何かわからないものも多く、そんな時は、次のように話します。「もし、親しい人が、親切で分けてくれたものや、長く試して、調子が良いもので、安いものなら構わないですが、もし何万円もする上、効果を強調するものなら余りお奨めできません。」
基本的には、どんな食品であれ、サプリメントであれ、それだけを食べて健康になる、きれいになるものはないと言ってよいでしょう。逆に言えば、これを食べたらガンになりやすいなどという食品も証明されていません。(タバコ以外は・・・)どんな食べ物でも、何らかの有効成分は含まれていますし、食べ過ぎれば負担になる成分もありえます。さらに、有効成分といわれているものも、それだけ抽出して濃度を挙げてしまうと、害になりうるということです。以前 緑黄食野菜に多いというベータカロチンが、肺ガンの予防になると流行したことがありましたが、それを医学的に証明しようとしたアメリカ、フィンランドの大規模な研究調査で、全く逆の結果がでてしまいました。大豆などに多く含まれているイソフラボンも、女性の健康に良いともてはやされましたが、その後 サプリで多く摂取過ぎると、有害でありうるという報告が厚生省の調査でされました。何万円もする特別な酢を毎月届けてもらっているという患者さんがいましたが、酢がそんなに高いものか、アミノ酸が豊富といっても、栄養素の一つであるに過ぎず、それだけの価値があるものか疑問です。
美容の世界も、さらに様々です。簡単にやせる、肌が白くなる、皺や傷あとが消えるなど、ノーベル賞がいくつ取れてもおかしくないような文句があちこちで見られます。先日韓国でやせるお茶が、過大広告で摘発されたと新聞で見ましたし、日本でも、胸が豊かになるサプリで摘発されたのも最近だったと思います。それらの治療に悪戦苦闘し、少しでも安全で有効な治療目指し、論文を読みあさり、学会で討論している私にとっては、虚しさを感じる瞬間です。
昨日 奮発してフカヒレ食べてお肌プルプルと喜んでいた職員に、「結局コラーゲンもタンパク質の一種だから胃の中でアミノ酸に分解されてしまえば、牛乳、卵、普通のお肉とかわらないよ。」何て言うと、事務長に怒られました。「また!先生 野暮ですよ!美味しいフカヒレ食べて気持ちも満足それでいいじゃないですか。」
アジアン美容クリニック