「男の身だしなみは足元から」という言葉もあるように、ピカピカに磨かれたお洒落な靴をさり気なく履きこなしている紳士を見ると、それに比べ随分と年季が入り、踵もだいぶすり減ってきた我が靴がみすぼらしく思えて、少し反省します。もう少し若いころは、靴選びもスタイルやブランドを優先して選んだ頃もありましたが、今はとにかく履き心地と歩きやすさです!足甲がしっかりした東洋人に合う、高さも幅もゆったりしたものを求めて、お洒落で先がすっきりしたスマートな革靴には手が伸びなくなってしまいました。その上、長く履いて足になじんでくると、少々くたびれてきても履き替える気持ちが薄れ、妻に文句を言われつつ今日も同じ愛靴で出勤となります。
400~700年前、主に四足で行動していた祖先が、高いところにぶら下がっている食べ物をとろうとして上体を起こしたまま短い距離すり足で二足歩行したのがヒトへの進化の一歩ならぬ‘二歩’だったといわれます。その後、恒常的に立って歩行することで、手は自由に使え道具も持てるようになり、何より重さを垂直に支えることで脳も大きく発達することが可能になりました。しかし、同時に全体重が両足にかかり、足底を寒さ、熱さ、怪我から保護する必要が生じたのが‘靴’の使用の始まりとなります。現物が残っている最古の靴は紀元前2000年頃のシュロの葉や動物の革で作られた貴族用のサンダル状のものですが、ワシントン大学の人類学チームの研究によると発見された人骨の足の形から、それよりずっとさかのぼり4万年以上前からヒトは靴を履いていたと推定しています。足を保護する道具として広まった‘靴’は移住する環境や目的で様々な形に変化、改良され、やがて実用性だけでなく審美的な意味も持ちながら今に至っているわけです。
クツといえば、韓国に全体がゴムで作られた上履きのような形の‘ゴムシン’というものがあります。ゴムであるため、軽くて柔らかく非常に履きやすいですが、最近は韓服を着るときくらいで、都会ではあまりみられなくなりました。「ゴムシンを反対に履く」という言葉は、男友達が軍隊に行くと、すぐに(クツもまともに履かず、逃げるように)心変わりする女性を意味します。最近は逆のパターンで「軍靴を逆さに履く」という言葉もあるようですが、やはりゴムシンの方が柔らかく逆でも素早く履けそうですけどね。
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