ヒーローの顔、悪役の顔
韓国語で顔(オルグル)は、古語「オルゴル」から来ている言葉で、魂のこもったところという意味です。それだけ韓国の人は、昔から人相、観相に関心が高く、容貌がその人の内面を反映させていると考えていたようです。現在でも、企業において社員採用時に観相を利用したり、逆に上司の写真をみせて、自分との相性や信頼度を尋ねたり、取引相手の写真から自分を騙そうとしているかどうかたずねるケースもあるそうです。しかし、犯罪を犯しやすい容貌があるとまで主張する観相家もいるのは、問題があるでしょう。
子供の頃、テレビや新聞のニュースで凶悪事件の犯人の写真をみて、皆いかにも怖そうな顔をしていると感じた記憶があります。「悪いことをする人は、見た目も凶悪だ。」と何となく思っていました。子供心にその犯罪の酷さ、そして犯人に対する怒りや恐怖がそのように感じさせたものかも知れません。
実際、犯罪者には身体的特徴があるとして、19世紀終わりセザール・ロンブローゾという医師が犯罪人種学として発表した後、フランスで研究され、一部はいまだに犯罪捜査に利用されているそうです。(ロンブローゾによればスリは長く、ひげが薄いそうです。)勿論、この様な研究は一般的に根拠がなく、ナチスにおいて偏見や差別に悪用された過去もあります。
しかし、私が子供の頃にテレビや映画のヒーローや悪役のように、その人が持っている外見の印象が、その人の内面や、行動まで判断させてしまうことは、少なくありません。ヒーロー役よりも悪役や脇役のほうが演じる面白さ、やりがいはあると、俳優さんにはむしろ個性的役を演じることを誇りとする人も多いといいますが、それが実生活で判断されるとしたらどうでしょう?
例えばアメリカのように陪審員制度が確立している国では、裁判において被告の容貌が判決に影響を与えるとしたら重大な問題です。1980年にペンシルバニア州で、実際に裁判において調査研究した人がいました。この人は裁判を傍聴し続け、被告の外見上の尺度と、刑の重さについて観察した結果、外見の魅力度と罪の有無には相関性を見つけられなかったが、刑期の長さには有意な差があると結論付けました。つまり、魅力度が高い人ほど寛大な決定が下されたと・・・地獄の沙汰も金いや顔なりですか???陪審員制度を迎える日本や韓国で同じ調査がされたらと興味深いところです。
『東洋経済日報2008.7.4』
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