知人の子どもが米国の病院で働いていて、新型インフルエンザのことが気になって電話をかけたら、日本で大騒ぎになっていることを聞いて驚いていたという。米国ではそれほどの騒ぎになっていないとのこと。その話を聞いて、さもありなん、と思った。
「有事の時の与党」という言葉があるらしいが、新型インフルエンザをめぐる政府やマスコミの対応を見ていると、「北朝鮮のミサイル打ち上げ」騒動を思い出してしまう。新しい「有事」がやってきて、政府は内閣支持率が上がる、マスコミ(テレビ)は視聴率が上がる、との思惑から、ことさら危機感を煽り立てているように見える。市民に冷静な対応を呼びかけている政府やマスコミの方が、一番冷静さを失って前のめりになっている。
新型インフルエンザに感染したのではないか、と報道された横浜市の高校生は、Aソ連型インフルエンザだったことが明らかになった。テレビの報道を見ていると、生徒が通っていた学校は昨日(1日)にスポーツ大会を予定していたが、中止にして学校を休みにしたという。新入生歓迎行事だったのだろうが、連休明けで登校した生徒が上級生や同級生からどう迎えられるかが気になる。お前のせいで行事が中止になった、と言われて気に病む生徒もいるのだ。学校側もそういうことがないように配慮するはずだが、政府とマスコミの対応ミスによって一人の生徒が重荷を背負わされた。
新型インフルエンザの世界的な感染が起こらないように対処するのは当然である。最初に発生したメキシコで新型インフルエンザによる死者が15人出ていることも、警戒心や危機感を高めた。だが、新型インフルエンザの毒性の強さや既存の薬の有効性、死亡原因の解明、医療体制の国による差などを踏まえた上で、現在の日本がどれだけの危険度なのかをもっと正確に市民に伝え、徒に不安を煽らないように政府やマスコミ自体がまず冷静に行動すべきなのだ。
テレビの報道を見ていると、全校生徒に毎朝体温測定の結果を報告させる小学校も出ていて、電車やバスでのマスク着用を呼びかける動きもある。問題が発生したときの責任を逃れたいという意識が先走り、過剰反応の連鎖が起こる。そうやって必要以上に警戒態勢が取られる一方で、基本的なところでミスが連続する。「北朝鮮のミサイル打ち上げ」騒動で見られた浮き足だった状況に政府や公共機関、マスコミが陥る一方で、市民の方は黄金週間を楽しんでいて、むしろ冷静に対処しているようだ。
今の状況で、日本で感染者の第一号が出たら、その人のプライバシーはどうなるだろうか。集中豪雨的なマスコミ報道の問題が何度言われても是正されない。感染症は対応を誤ると差別問題を生じさせかねない、というハンセン病やエイズの報道の教訓も生かされていない。それが日本の現況である。感染予防のために隔離が必要なら、患者に治療以外の負担をかけないようにする態勢が作られなければならない。
空港での監視強化や市民の行動規制がどのような問題を孕んでいるのか。感染症の恐怖に踊らされることなく、冷静に状況を見極め、思考しなければならない。怖いのは新型インフルエンザだけではない。それを口実にした治安・監視体制の強化にも注意を要する。医療関係者の努力に協力し、感染拡大を防ぐ努力を市民も行いつつ、問題を考えたい。
※トラックバックの「マスコミに載らない海外記事」もぜひご覧ください。メキシコで多くの死者が発生している背景にある貧困と搾取の問題をマスコミはもっと報道すべきです。「スラムドッグ$ミリオネア」を映画の話題だけに終わらせてはならないはずです。
「有事の時の与党」という言葉があるらしいが、新型インフルエンザをめぐる政府やマスコミの対応を見ていると、「北朝鮮のミサイル打ち上げ」騒動を思い出してしまう。新しい「有事」がやってきて、政府は内閣支持率が上がる、マスコミ(テレビ)は視聴率が上がる、との思惑から、ことさら危機感を煽り立てているように見える。市民に冷静な対応を呼びかけている政府やマスコミの方が、一番冷静さを失って前のめりになっている。
新型インフルエンザに感染したのではないか、と報道された横浜市の高校生は、Aソ連型インフルエンザだったことが明らかになった。テレビの報道を見ていると、生徒が通っていた学校は昨日(1日)にスポーツ大会を予定していたが、中止にして学校を休みにしたという。新入生歓迎行事だったのだろうが、連休明けで登校した生徒が上級生や同級生からどう迎えられるかが気になる。お前のせいで行事が中止になった、と言われて気に病む生徒もいるのだ。学校側もそういうことがないように配慮するはずだが、政府とマスコミの対応ミスによって一人の生徒が重荷を背負わされた。
新型インフルエンザの世界的な感染が起こらないように対処するのは当然である。最初に発生したメキシコで新型インフルエンザによる死者が15人出ていることも、警戒心や危機感を高めた。だが、新型インフルエンザの毒性の強さや既存の薬の有効性、死亡原因の解明、医療体制の国による差などを踏まえた上で、現在の日本がどれだけの危険度なのかをもっと正確に市民に伝え、徒に不安を煽らないように政府やマスコミ自体がまず冷静に行動すべきなのだ。
テレビの報道を見ていると、全校生徒に毎朝体温測定の結果を報告させる小学校も出ていて、電車やバスでのマスク着用を呼びかける動きもある。問題が発生したときの責任を逃れたいという意識が先走り、過剰反応の連鎖が起こる。そうやって必要以上に警戒態勢が取られる一方で、基本的なところでミスが連続する。「北朝鮮のミサイル打ち上げ」騒動で見られた浮き足だった状況に政府や公共機関、マスコミが陥る一方で、市民の方は黄金週間を楽しんでいて、むしろ冷静に対処しているようだ。
今の状況で、日本で感染者の第一号が出たら、その人のプライバシーはどうなるだろうか。集中豪雨的なマスコミ報道の問題が何度言われても是正されない。感染症は対応を誤ると差別問題を生じさせかねない、というハンセン病やエイズの報道の教訓も生かされていない。それが日本の現況である。感染予防のために隔離が必要なら、患者に治療以外の負担をかけないようにする態勢が作られなければならない。
空港での監視強化や市民の行動規制がどのような問題を孕んでいるのか。感染症の恐怖に踊らされることなく、冷静に状況を見極め、思考しなければならない。怖いのは新型インフルエンザだけではない。それを口実にした治安・監視体制の強化にも注意を要する。医療関係者の努力に協力し、感染拡大を防ぐ努力を市民も行いつつ、問題を考えたい。
※トラックバックの「マスコミに載らない海外記事」もぜひご覧ください。メキシコで多くの死者が発生している背景にある貧困と搾取の問題をマスコミはもっと報道すべきです。「スラムドッグ$ミリオネア」を映画の話題だけに終わらせてはならないはずです。
権力側の思惑もありながら、
それを支えているのは民衆かもしれない。
そんな中で、近頃、NHKがんばって
いるよう気がします。
辺野古の自然を守ろう・生活の安全を守ろう・海の生命を守ろうと住民が必死になっているさなかに、良くもこのような強欲で姑息な人々が居ようとは思いもつきませんでした。続報を期待いたします。又一つ、強敵が出てきたようにも思えます。皆さん頑張ってください。私も連帯いたします。(五本の爪)