『週刊文春』09年4月9日号に〈麻生首相ゼネコンの車で沖縄視察した〉という記事が載っている。去る3月7日に麻生太郎首相が来沖した際に、那覇空港で乗り込んだ車が沖縄のゼネコンの車であったという。同記事は、麻生首相の来沖が地元(沖縄)では余り評判がよくなかっことを記したあと、次のように書いている。
〈むしろ、話題になったのは麻生首相が乗り込んだ高級車の方だった。
「彼が乗ったトヨタ・センチュリーは『金秀建設』の車です。この車は特徴的なナンバーのため、沖縄の政財界の人間ならすぐに『金秀の車だ』とわかる、麻生さんはゼネコンの車で沖縄を視察したのです」(前出・地元政財界関係者)
金秀建設は従業員数百三十四名、売り上げ百六十三億円(平成十八年度)を誇る沖縄県内でも屈指の大手ゼネコンである。同社取締役会長の呉屋守將氏は、沖縄建設業協会会長も務める地元建設業界の顔役だ。
「呉屋氏は金秀建設だけではなく、小売業やゴルフ場経営などいくつもの関連会社を持つ、金秀グループのトップでもあります。父親は自民党沖縄振興委員長を務める山崎拓氏の有力後援者。金秀グループは政治家との強いパイプを持っているために、『沖縄の政商』と呼ばれることもある」(地元ゼネコン関係者)
その政治力は、今回の沖縄訪問でも色濃く出ていた。
「呉屋氏は建設協会会長として、麻生さんと那覇市内のホテルで三十分近く会談を行っているのです」(前出地元紙記者)〉(32~33ページ)。
〈その会談内容について翁長政俊・自民党沖縄県連幹事長が次のように明かす。
「沖縄県は建設業界への依存度が高いので、公共工事についても県内企業が参入できるようにバックアップをお願いしていました」
呉屋氏は麻生首相に対し「小泉内閣で〃公共工事害悪論〃が出たが、そんな者は払拭しましょう」と持ちかけ、麻生首相も「自分も麻生セメントの経営者だった。建設業の回帰は他人ごとではない。一生懸命頑張ります」と応えたという〉(33ページ)
沖縄視察に一企業の車を使用し、上記のような会談を行った麻生首相の行為は、「便宜供与」の疑いを持たれかねないものだ、と同記事は批判している。
この『週刊文春』の記事を読んで思い出したのが、本ブログの4月11日で紹介した、県建設産業団体連合会会長の呉屋守将氏らが、在沖海兵隊のグアム移転に伴う整備事業への県内企業参入を目指し、新組織の立ち上げを3月30日に発表したことである。
麻生首相に面会した呉屋氏が〈県内企業が参入できるようにバックアップをお願いして〉いたという〈公共工事〉とは、沖縄県内だけでなくグアムにおけるそれも含まれていたのではないか。そう考えるのは自然なことだろう。麻生首相が来沖した3月7日という時期は、3月30日のマスコミ発表の約3週間前であり、呉屋氏らによる政財界への根回しも大詰めを迎えていたであろう。そういう時期に、自民党県連の依頼という形で呉屋氏が車を提供し、麻生首相と30分近く会談をしているのだ。
辺野古新基地建設に向けて、環境アセスメント準備書の作成、提出、閲覧、説明会が行われ、在沖海兵隊のグアム移転を進める協定が国会で審議される。日本政府の強硬姿勢によって次々とことが進められているが、それらはまだマスコミによって比較的報道されている。だが、米軍再編に伴う新基地建設の利権の問題はなかなか表に出てこない。麻生首相と呉屋会長の会談も詳しい内容は分からない。もどかしい限りだが、辺野古やグアムの新基地建設に向けて、県経済会の動きも活発化していることに注意したい。
沖縄の「利権」の問題については、次の記事も目にとまった。昨日(27日)の琉球新報朝刊二面の「単眼複眼」で大学院大学法案の問題が取り上げられている。「特別な学校法人」とする原案に対し、民主党は「国立大学法人」への修正を主張していて、今国会での法案成立が不透明になっているという内容である。その中に次の一節がある。
〈民主党参院側が法案に難色を示す背景には「大学院大学が一部与党議員の『利権』の温床になっているのではないか」との疑念が強いからだ〉。
ここで言われている「一部与党議員」とは、これまで週刊誌で何度も問題にされてきた尾身幸次氏であろう。大学院大学法案は5月中旬から衆院沖縄北方特別委員会で審議されるようだが、民主党や他の野党には尾身氏の「沖縄利権」の問題を徹底して追及してほしい。
〈むしろ、話題になったのは麻生首相が乗り込んだ高級車の方だった。
「彼が乗ったトヨタ・センチュリーは『金秀建設』の車です。この車は特徴的なナンバーのため、沖縄の政財界の人間ならすぐに『金秀の車だ』とわかる、麻生さんはゼネコンの車で沖縄を視察したのです」(前出・地元政財界関係者)
金秀建設は従業員数百三十四名、売り上げ百六十三億円(平成十八年度)を誇る沖縄県内でも屈指の大手ゼネコンである。同社取締役会長の呉屋守將氏は、沖縄建設業協会会長も務める地元建設業界の顔役だ。
「呉屋氏は金秀建設だけではなく、小売業やゴルフ場経営などいくつもの関連会社を持つ、金秀グループのトップでもあります。父親は自民党沖縄振興委員長を務める山崎拓氏の有力後援者。金秀グループは政治家との強いパイプを持っているために、『沖縄の政商』と呼ばれることもある」(地元ゼネコン関係者)
その政治力は、今回の沖縄訪問でも色濃く出ていた。
「呉屋氏は建設協会会長として、麻生さんと那覇市内のホテルで三十分近く会談を行っているのです」(前出地元紙記者)〉(32~33ページ)。
〈その会談内容について翁長政俊・自民党沖縄県連幹事長が次のように明かす。
「沖縄県は建設業界への依存度が高いので、公共工事についても県内企業が参入できるようにバックアップをお願いしていました」
呉屋氏は麻生首相に対し「小泉内閣で〃公共工事害悪論〃が出たが、そんな者は払拭しましょう」と持ちかけ、麻生首相も「自分も麻生セメントの経営者だった。建設業の回帰は他人ごとではない。一生懸命頑張ります」と応えたという〉(33ページ)
沖縄視察に一企業の車を使用し、上記のような会談を行った麻生首相の行為は、「便宜供与」の疑いを持たれかねないものだ、と同記事は批判している。
この『週刊文春』の記事を読んで思い出したのが、本ブログの4月11日で紹介した、県建設産業団体連合会会長の呉屋守将氏らが、在沖海兵隊のグアム移転に伴う整備事業への県内企業参入を目指し、新組織の立ち上げを3月30日に発表したことである。
麻生首相に面会した呉屋氏が〈県内企業が参入できるようにバックアップをお願いして〉いたという〈公共工事〉とは、沖縄県内だけでなくグアムにおけるそれも含まれていたのではないか。そう考えるのは自然なことだろう。麻生首相が来沖した3月7日という時期は、3月30日のマスコミ発表の約3週間前であり、呉屋氏らによる政財界への根回しも大詰めを迎えていたであろう。そういう時期に、自民党県連の依頼という形で呉屋氏が車を提供し、麻生首相と30分近く会談をしているのだ。
辺野古新基地建設に向けて、環境アセスメント準備書の作成、提出、閲覧、説明会が行われ、在沖海兵隊のグアム移転を進める協定が国会で審議される。日本政府の強硬姿勢によって次々とことが進められているが、それらはまだマスコミによって比較的報道されている。だが、米軍再編に伴う新基地建設の利権の問題はなかなか表に出てこない。麻生首相と呉屋会長の会談も詳しい内容は分からない。もどかしい限りだが、辺野古やグアムの新基地建設に向けて、県経済会の動きも活発化していることに注意したい。
沖縄の「利権」の問題については、次の記事も目にとまった。昨日(27日)の琉球新報朝刊二面の「単眼複眼」で大学院大学法案の問題が取り上げられている。「特別な学校法人」とする原案に対し、民主党は「国立大学法人」への修正を主張していて、今国会での法案成立が不透明になっているという内容である。その中に次の一節がある。
〈民主党参院側が法案に難色を示す背景には「大学院大学が一部与党議員の『利権』の温床になっているのではないか」との疑念が強いからだ〉。
ここで言われている「一部与党議員」とは、これまで週刊誌で何度も問題にされてきた尾身幸次氏であろう。大学院大学法案は5月中旬から衆院沖縄北方特別委員会で審議されるようだが、民主党や他の野党には尾身氏の「沖縄利権」の問題を徹底して追及してほしい。