鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

鳥海山、ちょうかいざん、ちょうかいさん

2022年04月12日 | 鳥海山

 どうでもいい話を一つ。

 鳥海山は、「ちょうかいざん」と呼ぶのか「ちょうかいさん」と呼ぶのかという話がたまに出ますし、学者先生も庄内では「ちょうかいざん」、秋田では「ちょうかいさん」と呼ぶとほぼ断定しているようですが、どっちで呼んでも構わないでしょう。このブログの鳥海山近郷夜話は「ちょうかいざん」ですけど。大物忌神社の宝物に南北朝時代のものですが鰐口というものがあり、そこに初めて鳥海山という文字が現れます。ただしその時代どう発音していたかはわかりません。ある学者先生は音読だからちょうかいさんと読むのが正しいなどと言っていますがどちらが正しいと決めつけること自体無益な話です。


 (2020年は4月10日過ぎ桜が咲いていましたが今年は遅いようです。)

 よく、秋田県の岳人は“ちょうかいさん”と敬うように呼び、山形県の岳人は“ちょうかいざん”と親しみを込め呼ぶとまことしやかにいう方もいるようですけど敬うとか親しみを込めなどと強制的に意味づける必要はなく慣習でそう呼んでいるで良いと思います。でも絶対そうかといえば、毎週鳥海山に登ってくる秋田県象潟の方々は全員「ちょうかいざん」といっていましたし、象潟の強力、小屋番だったKさんも「ちょうかいさん」ではなく「ちょうかいざん」といっていたと思います。

 この辺で鳥海山を「ちょうかいさん」と発音するのは外来種の方か宣教師、NHKの番組ではそう呼ぶように決められているのでしょう、「ちょうかいさん」と発音しています。ちなみに「ちょうかいさん」と呼ぶ場合、アクセントは「かい」にあるようです。「ちょうかいざん」は抑揚のない発音です。濁音は方言、汚い言葉という思いがこの方々にはあるのでしょう。

 庄内で「ちょうかいさん」と発音しないかといえばそういうわけでもなく、歌で「月の御山と鳥海山の 中を流るる最上川」という歌詞がありますがこの場合は「ちょうかいさん」、この辺の学校の校歌は総べてを知っているわけではありませんが自分のいたところでは歌詞は「ちょうかいざん」で始まりました。高校は旧校歌は「鳥海七千餘尺」、山はつきません。新しい方は出だしが「最上川」で鳥海山があったか記憶にありませんし、今更調べる気もありません。

 鳥海山はかつて北山きたやま飽海ケ嶽あくみがたけ鳳鳥海山ほうてうかいさん北仙ほくせんたけきたやまと呼ばれてきましたし正解が「ちょうかいざん」であるということは決してありません。実際、昭和の始め鳥海山に詣でる人々は鳥海山を畏敬の念をもって「お北山」と呼んでいました。昔一緒に登った人に会うと「最近山行ったが?」と鳥海山は「やま」とだけ言っています。秋田大内町の女の子Yちゃんも「お山」と呼んでいました。

 一番ひどいのは、「広辞苑」では「ちょうかいさん」、「ちょうかいざん」で検索するとエラーになる、「百名山」も「ちょうかいさん」なので「ちょうかいさん」が正しいというやつ。岩波信者、広辞苑信者は邪教を信ずるものと変わりません。広辞苑に書いてあるから正しいと思うのはあまりにも勉強不足。本に書いてあるから正しい、だれだれが言っているから間違いない、というのは考えることをしない人です。それに「百名山」は山に関する本で登山者に一番悪影響を与えた内容の薄っぺらな本ですからそれを信じる人も薄っぺらな人ということ。

 鳥海山の地名も一定ではありません。文殊嶽はかつて曼珠嶽と書かれていました。文殊と曼珠は同じです。ついでに満州国の満州は曼珠菩薩の曼珠の音が満州という文字になっているのです。千蛇谷は古の記録に熔岩が流れるのを蛇が流れると記してあるから千蛇谷だという人もあるようですが古の記録に千蛇谷という名称はありません。千歳ヶ谷(せんざいがたに)、後に千者谷、そしていつの間にか千蛇谷です。「鳥海山の地名はそのうち纏めてみましょう。

 


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