通勤時間に
地下鉄の喧騒から
広大な自然、神秘的空間へと
旅する切符。
美しい文体で描かれた
幻想的な世界と
そこに流れる思想や哲学を
ゆっくり噛み締めつつ
読み終えました。
忘却の上に築かれた平和、
戦争によって生まれる負の連鎖。
残酷な過去の真実と向き合う勇気。
許すとは何か。
重く難しい課題が
ファンタジーというフレームの中で
より分かり易く
身近なものとして描かれています。
登場人物達が
敵、味方という立場を越えて
互いに示す人間愛。
老夫婦が暗い過去と
忘却に立ち向かい
互いを労わり許そうとするプロセス。
正義の為の戦争で
大義名分の元
両方の側で繰り広げられた
非情で残酷な行為の数々。
それらを強制的に忘却させられる事で
維持されていた平和。
忘却していない方側に
生まれ育まれる復讐への感情。
最終的に
忘却の魔法から解かれ
許し という課題に立ち向かう登場人物達。
真実を探求し、
向き合って初めて
真の許しへの一歩が
踏み出させるのだと感じました。
結末には様々な解釈が
飛び交っています。
Axl も旅の終焉に
許しへのフィナーレを
独りで歩み出したのではないでしょうか。
歴史修正に躍起になったり、
国を守ると盛んに宣伝して
武力行使をまるで愛国の証の如く触れ回る
何処かの国の首相に
是非読んで欲しい1冊です。
彼には難し過ぎて
理解出来ないかもしれませんが。