倫敦 とっかあた

ロンドン在住チェンバロ、ピアノ弾き のブログ。同居人は、不良猫と宇宙人かもしれないチェリストの旦那。

イギリスのEU離脱に思う事

2016年08月28日 | 日記

お気に入りのカフェで
久しぶりに
ブリオッシュや
コンフィチュールを
楽しみながら
ふと思う。


EU離脱後に
このベルギー系カフェは生き残るのだろうか?
ワッフルは勿論の事、
ケーキやパン類も豊富で美味しい。


ウェイターやウェイトレスの大半は
マルティリンガルのヨーロピアンだ。

17年前
ロンドンで
美味しいコーヒーの飲めるカフェを
見つけるのが至難の技であったと
以前にも書いた。
イギリスの食文化が
近年急激に豊かになったのは、
EUと移民のおかげだ。
今やロンドンでは下町的
南東部ですら、
洒落たフランス系のカフェを
楽しむ事ができる。


つい食いしん坊が先に立って
食べ物の事から始めてしまったけれど、
様々な面を
あれこれ眺め廻しても、
EU離脱が
イギリスにとって吉と出るとは
到底思えない。

EUは確かに、組織的な問題を
抱えている。
イギリスの国会で
イギリスの問題は決めたいという声も
多少は分かる。
けれどEUの抱える問題は、
イギリスにとっても
痛い問題ばかり。
移民、テロ、地球温暖化、
どれを見ても
イギリスのみが単独で
解決できる問題ではない。
EUと共に取り組むことが必然的な問題ばかりだ。

私の知っている音楽家達の90%が
離脱反対派だ。
音楽は言葉や国境を越えて
人々を結びつける。

身近なアンサンブルだけ見たって、
チェコ🇨🇿、ブルガリア🇧🇬、スペイン🇪🇸、が日英に混じっている。
スペイン人(カタロニア人)の同僚が果たして離脱後にイギリスで働き続けられる保障は今の所無い。酷い話だ。

自分も学生時代、
随分とヴィザには
悩まされた。
才能ある同僚達が多々
ヨーロッパで活躍したいという思いを
泣く泣く諦めて
帰国したりした。

そんな思いを
更に多くの若者達が、
EU諸国の若者達も含めて
味わうことになる。

あまり身近にはいないけれど、
メディアや、周囲を見回すと
離脱派の意見には
視野の狭いものが多い。
差別的、排他的な極端な意見を除いても、
EUへの批判のみが先立って
EUが抱える大半の問題は、
イギリスも抱えているという事を
踏まえていない。
踏まえていても、
イギリスのみで解決出来ると
思っていたりする。

ついでにEUの恩恵を
しっかり把握していない。
また食べ物に戻るが、
イギリスは日照時間が少ないから
野菜も果物も、豊富ではない。
イギリス産のトマトなどは
酸っぱくて食べれない物が多い。

新内閣とメイ首相が、
物資の流通は
EUと行うけれど
移民はNoだという交渉を進めようとした。
てんで相手にされていない。
そりゃあ当たり前だ。

そんな御都合主義は、
どこも相手にしてくれない。
イギリスは孤立する一方だ。

それにしても
離脱派のリーダー達は、
結果が出た途端、
後は野となれ原となれ。
無責任甚だしい。

離脱派の筆頭だったボリスなどは、
「EU離脱は、
EUと共に歩み、
我々はEUと常に交流し、、ウニャウニャ」
と、意味不明な声明を出す始末。

フェラージにあたっては、
イギリスでの政治活動は、
自分の人生を楽しみたいからと
引退しておいて、
今度はアメリカに
トランプの応援に
ノコノコ出て行く醜態。


EUにイギリスが払っていた
⒊5億ポンドはNHSに!というスローガンは
真っ赤な嘘だったと
フェラージは
しゃあしゃあと翌朝言ってのけたりもした。

離脱派の無責任さには
怒りを通り越し
呆れ果てる。
テレザ.メイ が
ボリスを外務大臣にしたのは、
「あんたが離脱だって言ったんだから
責任持ってやんなさい!」って事なんだろう。

離脱派の中には、
別に大丈夫じゃない!?って
今でも思っている人が多いらしい。

まだ離脱は初めの一歩も
始まっていない。
彼等は
始まって実際に痛い目に遭わないと、
離脱の意味を理解出来ないのかもしれない。
無知な大衆が
エゴイズムと排他主義に動いたとも言えるし、
中央集権の政治が、
地方の大衆への富の配分に失敗した結果とも
言えるかもしれない。

多文化的社会の
恩恵を味わっているロンドンでは、
過半数がEU留意派だった。
新ロンドン市長も留意派だ。

ロンドンに住む一市民として、
音楽家として、
EU離脱の行く末を憂う日々だ。





















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フランスバロック音楽講習レポート

2016年08月26日 | 音楽
朝6時起床
7時より、楽器積み込み移動:



動かした楽器 リスト
1-自分のフレンチダブルマニュアル


2- 友人のシングル


3-自分のヴァージナル


4- 旦那のバロックチェロ
5-旦那のガンバ

会場到着 8:45

調律開始 9:00

フランスバロック音楽に関するトーク
〜バロックフルート講師 兼
フランスバロックの研究者リゼッテ

ちょっと耳より面白いトークの一端:

当時は指揮者という概念はなく、
スティックを持った監督が、
オケの前に立ち、
拍と規律を保っていた。
つまり、公演の途中で
一杯ひっかけようと、腰をあげるオーボエ奏者や
ペチャクチャおしゃべりのヴィオラを
ゴツン!っとスティックで
戒める必要があったってことです。

セッション開始!
歌手はまずはバロックジェスチャーから。

オックスフォードでバロックジェスチャーを研究中のディオニソスのとっても楽しいジェスチャー指導。

バロック時代の美の概念や
演劇、演技の概念なども学びつつ
実際にジェスチャーを皆で実践。
その後は、ジェスチャーを取り入れながらの
歌手のセッション。
私も伴奏とヴォーカルコーチングで
お手伝い。

器楽奏者は、分かれてセッション。
弦楽器はニコレット. ムーネン
管楽器はリゼッテ.ダ. シルバ
両方共に
フランスバロック音楽に精通するベテラン。


昼食時間は、マフィンをかじりつつ
調律。

午後はクリスチャン.カーニンによるマスタークラス。


歌詞をいかに生かしつつ
表現をしていくのかが
やはり焦点。

勿論装飾法にも触れますが
大切なのは常に
そこにある感情を
どう伝えるか。
装飾はあくまでその為の道具ですから。

締めくくりは夜の演奏会


終演後は、クリスチャンとニコレットが
聴衆とアットホームな
公開トーク。

我々はひたすら
チェンバロなどの包装。

全ての楽器を積み込み
積み下ろし終了夜10時過ぎ。

移動中のヴァンから眺めたロンドンの夜景が
妙に美しく感じました。

素晴らしい先生方の
懸命で楽しい指導。
生徒の皆さんが、
スペシャルな1日を過ごせたことを
願い、ほっと一息。


こういったイヴェントを支えたのは、
汗だくになって
楽器搬送に勤しんだ運転手レブや、我旦那様、
企画、資金集めに奮闘してきた
ダイレクターなどの
縁の下の力持ち的努力である事を
忘れてはいけません。


皆様お疲れ様!







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ロンドンの公園ライフ

2016年08月17日 | 日記
交通機関が止まる。
タダだけど時折怖い
半崩壊中の国民医療制度。
高騰する物価。
行方もしれぬブレクシット。

そんなロンドンの
オアシスは
公園ライフ。

年間で多分約一週間くらいの夏日和。
待ってましたとばかりに
皆公園に繰り出します。

というより、
日光浴をしてヴィタミンDを吸収せねば!
と、必死。

イギリス人がこぞって
スペインなどに
夏季休暇を取って行くのは
日照時間の少なさ故。

光に集まる蛾の如く
太陽の方へと
引き寄せられます。

私の中で
ロンドン市内の
お気に入りの公園ランキングは:
1位 〜 Regent's Park
2位〜 St James Park
3位〜 Hyde Park
4位〜Greenwich
5位〜Southbank テムズ河畔

かなり私情が入り?
リージェンツパークは、薔薇園。



セント.ジェームズパークはペリカン。
ハイドパークは広々した空間と
サーペンタイン池。
グリーニッチは天文台。
サウスバンクのテムズ河畔は黄昏時と夜の散策。

それぞれ魅力満点。


上記の様に有名でなくても、
各地域に必ず満遍なく
公園は散りばめられています。

暗くなってから1人ウロウロは
避けるのが賢明ですが。


残念ながら、
長い冬の間は
公園の魅力も半減もしくはゼロとなります。
寒くて暗くて憂鬱です。

今のうちに存分に
公園を満喫しなければ!という
強迫観念に追われ
ジョギングに励む日々です。


















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フランスバロック音楽講習会

2016年08月14日 | 音楽

この夏は、
ロンドンで開催の
フランスバロック音楽の講習で、
講師として
歌手をコーチングする事となりました。
去年は伴奏で参加したのですが、
今年は教える側に
まわることになりました。


クリスチャン. カーニーや、
ニコレット.ムーナンなど
偉い先生方に混じって、
私はお手伝いという感じですが、
精進したいと思います。

当日は早朝から私のチェンバロと
ヴァージナル、そして
友人のチェンバロも
動かして調律もする段取りです。

8月25日は、
かなりハードなスケジュールとなりそうです。

チェンバロを動かすのは、
主に旦那ですが、
猫もお手伝いに馳せ参じます。


更に旦那は、
ガンバとチェロ両方での
通奏低音のお手伝いです。
大丈夫かな、、、。💦
弾く前にヘトヘトになりそうです。


午前中は、歌手、器楽に分かれて
コーチングセッション。
午後は、クリスチャンのマスタークラス。
夜が参加者のコンサートというメニューです。

レパートリーは、
Rameau, Clérambault, Charpentier などなど。

盛り沢山の1日となりそうです!

詳細は下記の通り:

http://www.rameau.eu/summerschool
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新鮮な一冊

2016年08月13日 | 日記
モーツァルトの姉ナンネルに
焦点を当てた面白い本に
巡り合った。

ナンネルも
コンスタンチェも
アロイジアも
未亡人となって
ザルツブルクで晩年を送ったという
興味深い偶然が
この本の出発地点。

モーツァルトの人生を
周囲の人間、特に女性に
焦点を当て伝記的に
描いている。

オペラの役柄と
それぞれの与えられた音楽が
友人や家族、特定の歌手達を
念頭に形成されていった経緯も
分かって嬉しい。

今まで数多く
モーツァルト関係の本を
読みあさったけれど、
これは新鮮な一冊となった。

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