時期に合った写真ではありません
印象に残った温泉を紹介します。
各地に綺麗で大きな温泉施設ができて多くは賑わっています。それはそれでとても気軽に温泉を楽しめるのですが、のんびりしたい喧騒が嫌い、など温泉を温泉として楽しめるようにするには条件があります
まず温泉独り占め これ難しい
気さくなふれ合い 施設が無人なところってなかなか・・対応が微妙なところも・・・。
そんな条件を乗り越えたことができた温泉だったので記事にします。
地元小諸にある、菱野温泉薬師館、文豪島崎藤村の作品にも登場する山間の温泉だ。
行った日は祝日、週間の平日の祝日だったため宿泊客も少なかったのだろう、駐車場は空。
こういうところへ初めて入るには勇気がいる、ガラガラと玄関のガラス戸を開けると正面奥に浅間石で積んだ壁と暖炉が飛び込んだ。外観から想像つかなかった小奇麗なフロントに驚いた。
浴衣風の服装をした若女将と思しき女性が声をかけてくれ、「靴のままどうぞ」とフロントに招いてくれた。
そう、玄関には段差があり靴のまま上がるには抵抗があるほど手入れがされていた。
「600円です」 「鍵のかかるロッカーがありませんので貴重品はこの袋に入れてください。」
スマホはそのまま、携帯電話と車の鍵を袋に入れて預けた。
若女将は「お風呂は右手奥にあります」と右手をすっとあげて暖炉のほうを指した。そして「あっ、バスガイドをやっていたものでつい」とつけ加えた。私も心の中で案内する姿がそう見えたのでとっさに思ったのだが、付け加えた言葉がコミュニケーションを取ろうという思いで出たものと感じたので気を使ってくれているなぁとありがたく思った。
こういう心遣い、言葉だけだけどいいなぁ。
フロントまわりも綺麗だったので写真に撮ろうかと思ったがここは先ず先を急ごうと「浮島風呂」と付けられた浴室へ急ごう。
浴室までの道のり、洞窟の中を行くようだ。ちょっと踏みとどまって写真を撮っていたら、若女将がやってきて「手ぬぐいありますか?」 「持ってます」私が小さな手ぬぐいをポケットにいれていただけだったので心配になって来てくれたのだと思った。続けて 「無料だよ」と言った。 私が遠慮しているのかと思って付け加えてくれた。言い方が何とも好意的だ。遠慮せずに貸してもらうことにした。もうここまでで私のリラックス温泉条件をクリアしている。笑
脱衣場に入るとなんと誰もいない 「温泉独り占め」状態 これはまたリラックス度マックス。
菱野温泉は冷泉だ。入浴法が書いてあり、3段になった浴槽を順番に楽しむ方法が書いてあった。
一、上段のお湯に浸かり体を十分に温める
二、最下段水風呂に足首まで十五秒浸かる
三、中段温湯に三十秒浸かる
四、最下段水風呂に腰まで十五秒浸かる
五、中段温湯に三十秒浸かる
六、最下段水風呂に腰まで三十秒浸かる
七、中段温湯に浸かり体を温める
上段は気持ちの良い私的に丁度の湯温の湯船、中段の湯船は御一人様が入るだけの小さな湯船でぬるーい湯温、そしてガラスが斜めになったところにあるのが源泉の冷温の源泉の湯船、温度は15度くらい。浮島風呂はガラスの直下が旅館の池に張り出して作られている為でそう言うのだと後で知った。
大きな湯船で充分に温まった後は下段の冷泉に体をこわばらせながら我慢の最上級で10数秒、だぁっと上がって中段のぬるい湯船に入ると何とも言えない心地よさ。もう、ただただ参りました!
ここに入って温度の違う湯船に繰り返し入ることをして小一時間。この間もただ一人。
小綺麗なフロントロビー周りはレトロな装飾も残されていて、昔の鏡の隅に書かれたペンキの文字や飾られた看板を見るだけでまたもリラックス。
600円で極上の時間を過ごせたのだった。