紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

障子を張りかえる

2007-09-19 21:12:43 | 家事
 そもそも障子の張り替えなんて思いついたのは、職場で仕事中に受入れたばかりの本をぱらぱらとみていたことから始まる。

平野恵理子『修繕の女王』(ヴィレッジプレス/刊)の中に、雪の結晶模様の障子のイラストを発見した。折しも2階のサッシの窓の内側にある障子は、にわか雨に濡れ茶色くみじめに破れている。これは「ときは今!」という神の、もしくは明智光秀のお告げであろう。早速お告げに従い、おとといから昨日にかけて障子の張り替えを決行した。

 ところで障子の張り替えは今まで冬場、大聡怩フ一環として2、3回したことがある。誰に言われた訳でなく、自分の勝手な固定観念なのだった。大聡怩ノ障子の張り替え。きれいな障子でお正月。これだね!

 むろん作業の30分後には、激しく後悔することになる。「なにが悲しゅーて、こんな寒い中で障子紙はがして桟を洗わなあかんのやろ。忙しい最中でなかなか乾かへんし」と心中ぶつくさだった。だから次回は必ず夏にリベンジ!!と固く誓ったわけである。いや、誰に対するリベンジかは私にとって不利になるので訊かないで欲しい。

 最後に障子の張り替えをしたときに、何より大変だったのは古い障子紙の撤去である。桟に残さず綺麗に除去する。これが大変手間のかかる作業なのだった。
 ところが今回、平野さんより大いなる福音をいただく。障子紙をきれいに取り除く製品があるというのだ。その成分は「非イオン系界面活性剤」らしい。

 ん? 界面活性剤? それって食器洗い洗剤の成分じゃないのか? と「非イオン系」という接頭語は思い切り無視して、濃いめの洗剤液を作り、紙が桟にのり付けされた箇所をャ塔ンと丹念に濡らしてゆく。全ての箇所に洗剤液が塗られたら、ゆっくりと紙を剥がしてゆく。

 んんん?! 面白いようにきれいに取れてゆくではないか! あっぱれでござるぞ!と、思わず会心の笑みがこぼれる。先代の古くしつこい紙ですら、アイスの木のしゃもじで引っ掻けば、あっけなく取れていく。やったね!

 こうしてシーズンオフのため3割引でホームセンターで入手した、紙吹雪のような色紙がほどよく散りばめられた障子紙を落ち着いて貼ってゆく。乾かして、余分にはみ出た所をカットすれば完成である。

 2階の窓の障子張りがご機嫌に終了したので、翌日おばあちゃんの部屋の大きな障子も1枚張り替える事にしてみた。こういうのは、勢いが大事なのだ。修繕前はべろりんと一部はがれて、お化け屋敷に相応しいような障子が、かわいい五色豆を散らしたような障子に変わる様は、魔法のようである。こうして2枚の障子を張り替える事ができた。 
 
 完成すると比喩でなく小躍りして喜ぶ。会う人ごと(もちろん家族だが)に「みてみて~!!」と完成品をみてもらう。皆さん心得たもので内心「どーでもいいしー」と思っていても、私の機嫌を損ねないよう、もしくは落胆を招かないよう、ほどよく反応してくれる。さすがは家族である。

 今日職場で一緒に仕事をしていたNさんにこの話をすると、「リンスでもよくとれますよ~」と新たな情報を教えていただく。ああ~リンスという手もあったんだ。「でも、リンスは匂いが強いのがありますから、その辺が難しいんですけどね」と、親切に補足情報も追加してくださったのである。

 障子の張り替えで思い出すのは、忘れもしない田辺聖子さんの小説である。(って、タイトル忘れてるやん!) 美人のOLさんが「障子の張り替えに行く」というのを聞いて、意味がわからず怪訝なカオをする美人じゃないOLさん。
 その小説を読んで初めて私は「処女膜再生手術」というものが、この世に存在することを知ったのである。しかし果たしてこの手術、いまも健在なのであろうか?(とても健在とは思えないが)
 ま、たしかに障子の張り替えみたいなもんかもな。いろんな意味で、いかにもお聖さんがいいそう。うまいこと、いわはるわ、やっぱり。

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (紙魚子)
2007-09-21 11:36:19
askaさん
>すごい収益あがること間違いなしですよ(笑)!
人気は見越せるとはいえ、「すごい」枚数の障子の調達をしないと「すごい」くらいの収益はむずかしいでしょう(笑)うちは2枚くらいなら破れて帰って来てもオーケーかな。というか、全く破れていない障子って、あったっけ?
返信する
Unknown (aska)
2007-09-21 00:44:49
お聖さんの本の件、ありがとうございます。了解しました、また探してみますね!

障子紙ゲーム、そんなのがあったとは驚きです。でもこれって考えたのオトナですよね(笑)やっぱり皆好きなんだー♪
あと3年のうちにまたやってほしいな。もちろんオトナの参加もOKてことで。すごい収益あがること間違いなしですよ(笑)!


返信する
Unknown (紙魚子)
2007-09-20 22:26:29
>askaさん
思い出しました!「日毎(ひごと)の美女」です! 美女にメロメロの男性諸氏の生態を女の目からクールにコミカルに眺めた佳作です。絶版かもしれないので、古書店か図書館を探してみてください。
『芋たこなんきん』はハードディスクや DVDでなく、自分のマナコと脳みそにくっきりと焼き付けました。ときどき脳内リプレイして楽しんでます。よかったよねぇ!

 ところで障子紙破りって、なんであんなに快感なんだろう!? 
 かなり前、11月のバザーの日に、小学校のゲームで、障子紙を一枠破って手を入れ、そこの番号の景品をゲットするというゲームがありました。その年1回きりの障子紙ゲームでしたが、凄くテンションあがりました。(私は大人だからできなかったけど・・・)
返信する
Unknown (紙魚子)
2007-09-20 21:17:59
>☆紗さん
滋賀県の面積の広範囲を占めている琵琶湖は、近畿の水瓶ともいわれています。だから環境問題には敏感で30年くらい前から県をあげて真摯に取り組んでいました。「せっけん運動」(合成洗剤をつかわない運動)が高まり、廃油で石鹸をつくる講座もあちこちでありました。運動を盛り上げる熱心な中心人物は県下の専業主婦の皆さんでした。ちなみに彼女らは「子どもに本を」と声を上げ、学校の図書室、市町村の図書館設立などにも尽力されました。PTAを母体とする「読書会」も次々にできました。
 というわけで、エコな取り組みや図書館の充実はなかなかな県だと思います。

 ただ、我家の場合、おばあちゃんは他県の人の上、当時珍しい共働き(しかもフルタイム)で超多忙だったため、そのへん、かすりもしなかったようで、我家のせっけん事情はエコではありません。滋賀県では意識が高い人は確かに多いですが、「みんな」ではないですし、それぞれエコをする場面が違ったりします。生活すべてエコはやはりしんどいですからね。
返信する
Unknown (aska)
2007-09-20 08:07:00
私の専門は、張り替え前の障子に「おりゃあぁぁ!」って指でぷすぷす穴を開けること(笑)、そしてうちのチビの専門は、張り替え直後の障子の隅っこに「ぷすっ」と穴を開けること(爆)。

お聖さんの小説に、そんなのがあったとは知りませんでした。ま、らしいと言えばらしいですけどね。タイトル思い出されたら教えてくださいね!
芋たこなんきん、もう一度みたいなぁ。。。
返信する
Unknown (☆紗)
2007-09-20 07:20:34
以前、環境問題に真剣に取り組んでいる方から、滋賀県の人は琵琶湖保護のために、界面活性剤入りの洗剤やリンスは使わないと聞いたのですが、実際には使っているんですね。クラスの2~3人が持っていると「みんな持っている」と言うのと同じかな。
返信する

コメントを投稿