紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

教科書の短歌を読む。

2008-06-30 18:48:16 | ファミリー
 中2のKちゃんが定期テストを目前に控え、「おかーさん、ちょっと短歌の感情表現とか意味をおしえてほしいんやけど」とかわいらしいことをお願いして来たので「オッケー」と快諾する。なんのかんの言っても、まだおかーさんのこと、たよりにしてるんや。うふふ。

 くれないの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる(正岡子規)

 「うーん、春ですねえ、っていう歌やねえ」
Kちゃん、ずっこける。「あのねえ。先生は針と春雨がかかっている、っていわはったけど」
 そういえば「やはらかに」も針にも春雨にも共通してるみたいな。

 不来方(こずかた)のお城の草に寝ころびて
 空に吸はれし
 十五の心 (石川啄木)


 おおー! 石川啄木やん! しかしなんで教科書はもっと面白い啄木の歌、載せへんのやろ。
 「そんなんいいから、どういう意味やの!」
 「おかーさんな、偶然さっき発見したんやけど、この歌ってRCサクセションの『トランジスタラジオ』にそっくりやん! 忌野清志郎、啄木ファンやったんやろか?
 ♪授業をサボって~ 屋上で~ ホットなメッセージ 空に溶けてったー♪(注:いいかげん)
絶対啄木授業をさぼって、草の上に寝ころんで空をみてたんやで。もうちょっと時代が遅かったら、啄木もヒットナンバーの作詞とかしてたかもなあ。

 「そんなん、知らんから(怒)」

 死に近き母に添ひ寝のしんしんと遠田(とほだ)のかはづ天に聞こゆる (斎藤茂吉) 

 これ! これ、『ちりとてちん』におんなじシーンあったし!! 退院して来た草若師匠が余命幾ばくもないときに、小草若が黙って草若師匠の部屋に入って来て、黙って草若師匠の蒲団に入って、しくしく泣く所あったねん! まさにこれやね!」
「ほいで、お母さん泣いてたんやろ(呆)」
「そやねん!! めちゃめちゃええシーンでなあ! 思い出しても泣けてくるわ!」
「フー(ため息)」

 結局、「おかーさんに聞いたの、間違いやった。時間の無駄やったわ」とKちゃんに結論づけられてしまったが、唯一貢献できたと思われるのは

 眠られぬ母のためわが韻(よ)む童話母の寝入りし後(のち)王子死す (岡井隆)
 

という歌の中の「王子が死ぬ童話」が、ひとのいいツバメさんを道連れにして息絶えた、身ぐるみ剥がして貧しい人々に金目のものを分け与え、彼らのために涙を流し続けた『幸福の王子』の話にちがいない、というのが判明したこと。ぜひクラスメイトに教えてあげてください。



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