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拝啓櫻井女史&ビルエモット殿:感想文「日はまた昇る」The Sun Also Rises

2006-03-14 11:54:00 | 教養・文化・歴史
数週間前に櫻井よしこ女史の著「何があっても大丈夫」を入手し読了した。同著、すでに我がブログ記事に取り上げた。それは、すなわち櫻井女史の学生時代の出来事の中、「歴史を学習(学問)」する、櫻井女史の見た「切り口」のあり方について触れた。その時、同時に入手し、すでに斜め読み済みの、英吉利「エコノミスト誌」編集長ビルエモット氏(Mr. Bill Emmott)の「日はまた昇る」について、手短に感想文を書いておきたい。
まずは、何故に手にしたか、その経緯から述べる。
数週間前の日曜日、パイプのオジサンこと竹村健一氏がレギュラー出演している朝の報道番組で、「べた褒め」していた「一冊」。是非、読んだ方が良い。読むべき一冊なり!と、我輩と本屋に同行した友人の推薦にて衝動買い的に入手。そして、購読する気になった。
「なんと、たわいもないこと。小さな一冊ではないか・・・」
そんな気分の衝動買いから始まった。
総量158ページ。文庫本を少し大きくした程度、マルボロ(煙草)の箱4ヶ分相当の小冊子。且つ、著作の内容は時事問題。新聞をまとめて読むつもりで、その日に読んだ。

そして、読後感、、、。
嗚呼、残念。
たわいもない不完全燃焼。
残るは、非?知的欲求不満。
などなど、
後味悪く、悪き後味を即座に直そうと、直ちに、櫻井よしこ女史著、女史の自伝半生を描いた「なにがあっても大丈夫」のページを開いた。

話戻って、ビルエモット氏のくだり、、、。
小冊子の割に、取り上げている中身は広く、恐ろしく浅く、触れるべき核心に触れているようで、全く触れられていない。
結果、読んでも読まなくても(少なくとも我輩には)何ら影響のない「平べったい本」!
ま、
竹村健一さんの著書も、この手合いが多い。
本を売らんが為!これ、パイプおじさん専門の「一大条件」にて。「一般人受け」する本ばかり書いているから、、、。もう、厭きた。厭きている、、、。でも、付け加えておくが、パイプオジサンの本は10数年前にわずか3~4冊、読んだ。が、いつも中途半端にて内容薄く、すべからく核心となるものは、皆無、、、。もう、パイプおじさんの本は他の平凡的自己啓発本の類いと一緒に、区民センター的(我が住まう)ご町内の集会所図書館に寄贈済。全て処分した。ま、「パイプおじさん」の薦める本、(実は、同・日曜日、竹村氏が本著を紹介する時点で、全くTVを見ていなかったのが間違いの根源であった・・・が、すでに後のまつり・・・)

日はまた昇る――日本のこれからの15年

草思社

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ビルエモット氏、、、
アングロサクソン人のジャーナリストに似合わず、奥歯にモノが絡んでモゴモゴと喋る書く(翻訳者が悪いのか?と、勘違いするくらい・・)、半端にして週刊誌的な本である。取り上げているテーマはバブル隆盛から崩壊まで、さらには、崩壊後から今日的問題まで、そして今後の15年間について、現代日本社会情勢を語っている。が、(たぶん)日本の新聞週刊誌TV報道を掻き集めて殴り書きした粗製濫造記事の羅列のみ、、、。
しかし、
きょうびの低俗偏見偏向TV局の作成する横一列?金太郎飴的な報道番組や、まともな神経を持ち合わせていない「新聞記者」の報ずる「安物記事」内容と比較対照すれば、かなり平常心にてサングラスをかけていない「あたり前」のモノの見方をしている。と、思って、さしつかえない。

さて、
締めくくりとして、本著の中から2点だけ抽出して、(私的な)意見を述べておかねばならない。(ここは一つ、流し読みしないで頂きたい!))

A)「靖国問題と歴史問題」が取り上げられている。彼の結論は、けっして三莫迦隣国寄りではなく、さりとて我国の「莫迦右翼的発言」でもない。が、消極的な発言をしている。要は、ヨーロッパの戦争歴史の現実的対応の歴史的事実と宗教思想を絡めた「例題」を出し、彼なりの私見を述べている。が、哀れかな、的が外れている。しかし、靖国問題と我国歴史認識と戦後処理の問題について、未知なる人物が新たに「このテーマ」の門戸を叩くとき、下手な日本人ジャーナリストの書いた「新聞&週刊誌的記事」の断片を積み上げるよりはよほどまし、、、。
しかし、氏は、やはり英国人。日本の歴史的背景の知識浅く、日本人の国民的遺伝子の特徴は到底理解に及ばない。だから、日和見的井戸端会議の傍観者風、三莫迦隣国に当たり障りのない意思薄弱児的平凡な論評に終わっている。

B)エコノミスト編集長の割には、経済問題の分析が、甘い。(一般受けを考慮し、敢えて専門性を避けるため、そうしたか?)加えて、的を外した記事にしている。なぜなら、彼は紛れもないアングロサクソン?(だと思うが、違うかもしれない)要するに、英国国籍保有者である。
ナナ、何と、その英国人にして、「日本円を基軸にした汎アジア経済」を語っている。つまり、中国経済の隆盛に対抗し、日本の優位性を継続維持するため、アセアン諸国をはじめとしたインドやパキスタンにまで及ぶ、"All Asian Countries"を包括した「日本円ベースの共通通貨」を如何に早く構築するか!21世紀、15年後の日本国の存在可能とするか、あるいは消滅に向かうか?は、実質的なアセアン諸国且つ広域アジアの経済的統合の中軸になれ!米ドル、ユーロに匹敵する、日本円基軸なるアジア共通通貨を構築するか否か?それに掛かっているというではないか!
我輩、この一点に関し、ビルエモット氏に最敬礼し且つ深く謝辞を述べたい。
氏は、解っている。日本円主導による「アジア共通通貨」の構築実現は、必ずや米国経済と中国経済に第三次世界大戦ぼっ発に匹敵するか、はたまた両国に対する核爆弾炸裂以上の(経済的・政治的な)大打撃を与えること、必定。日本人ジャーナリストや経済評論家が、触れたくてもさわれない??なぜか、触れようとしない?すなわち、21世紀の日本経済発展成長の「究極の論点」に触れてくれた。
これが、うれしい。
この一点、ビルエモット氏は、これを本著で言い切っている。何故、彼にして「云いきれる」のか。それは彼がヨーロッパ人あり、英国人であるからだ。彼は、英国人としての彼の立場は、やはりヨーロッパを中心としたエゴイズムから「全ての発想」が湧き出でている。日本の今以上の経済的台頭による支那経済振興への牽制と、米国経済(今尚強すぎる米ドルのユーロに対する悪しき影響力)への歯止めと圧力は、アジアに於ける日本円の隆盛による天秤的バランス感覚にて、日本円を応援しているに過ぎない。そして彼の背景には、英国の国益保持のエゴイズムとポリシーが潜んでいるのだ。しかし、それであたり前、英国人(世界に共通する)の常識なのだ。

以下、余談的、雑感として、、、
私論であるが、英国人が英国の一流政治経済週刊誌エコノミスト誌の記事を書き、(英文の)本誌に掲載する場合、必ずといって良いほど「英国人の、英国人のための、英国人にとって有利となる」記事掲載により、世界規模世論と英国内世論を動かすべく、記事を書く。しかし、偏っているとは云わない。伝統的に英国ジャーナリズムは、公平且つ冷静な記事を書くと付け加えておかねばならない。しかし、しかし、国際的ジャーナリストである前に、ジョン・ブルの気概と精神とエゴイズムが、その根底にとうとうと流れている。と、信じてやまない。

そして我輩、櫻井よしこ女史は、いまや日本の誇る超国際級レベルの経験と見識、真の良識的バランス感覚を備えられ、奥行きのある日本のエゴイズムを、勇気と自信を持って世間にさらけ出せる人。意思堅固にして、しなやかなジャーナリストである。と、絶賛する。
ならば、かのビルエモット氏分析による一冊に高き評価を加える以前に、日本人ジャーナリスト櫻井女史の「論評」に対し、ますますもって、しっかりと目見開き、冷静に耳を傾けたくなるのである。櫻井よしこ女史の半生を描いた著「何があっても大丈夫」は珠玉の一冊。上述した櫻井的論評は、如何なる基盤に立ち発信しうるか?見えてくる。そして、女史の発信なさる「論評」の包括的深遠さ、より一層吟味理解可能となる。「自伝・櫻井よしこの半生=何があっても大丈夫」に、もう一度目を通す。そして今週末?乃至は来週早々には、少し気合を入れた感想文を書きたい。と、思う、、、。

<あとがき>
*さて、ビルエモット著「百聞よりいっけんにしかず!」。良かろうと悪かろうと、有名になってしまった「氏の一冊」。今や、超ド田舎の本屋さんにも平積みされている。前評判の大きい映画も同じく、そうなのだ!まずは自身の目で確かめ観てみないと「程度は如何に?自分好みなのかどうか?」さっぱり解りません。

{The Attached Photo}:(Over 36 tall ships participated in the 200th anniversary of the Battle of Trafalgar in Portsmouth, part of the fleet of 167 naval, merchant and tall ships from 36 countries,,,
・・・「from wikipedia, Tall Ships」