教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

豊かすぎる祝福のカンパネラの世界の謎

2010-09-08 00:36:23 | オタネタ全般


http://windmill.suki.gr.jp/product/campanella/world.html



祝福のカンパネラで描かれる剣と魔法のファンタジー世界。
この世界は異常に豊かすぎる。
・・・常々わたしはそういう疑問を持っている。



現代において我々が豊かなのには理由がある。
石油などを動力機関の燃料とすることで、本来非常に高コストとなる人力の作業のかなりの部分を代替できたから、人件費として上乗せで支払っていた物価が安くなった分だけ豊かになったのである。
現代において人力車で隣の県まで行こうとしたらそれこそ十万円以上も取られることになると思われるが、でも電車でいけば1000円程度で済むという意味だ。

古代ではどうか。
古代でも高コストとなる人力の代替が行われる環境にあった場合は豊かだった。
ようするに奴隷である。
古代ローマが庶民でも豊かだったのは、近隣諸国から金品と労働力を強奪し奴隷として働かせていたから豊かだったのだ。

祝福のカンパネラの世界ではどうか。
化石燃料を動力源として使えるほどの文明は有してはいない。
奴隷の存在も見られない。
日々プラプラして大して熱心に仕事をしているフシもなく、にもかかわらず比較的生活にゆとりがあるようにも見える。

なにかがおかしい。
この世界は異常に豊かすぎる。
・・・そう思うのはわたしだけではないだろう。



この世界と現実の古代世界が違う点はいくつかある。
公式サイトからIntroductionを引用してみたい。

> 舞台は海に囲まれた都市国家。
> 世界中から商人と冒険者が集う国。
> "世界の宝物庫"と呼ばれ、無限の可能性を秘めたこの町で、
> 多くの人々が夢を抱き、今日も生きている。
> これは、ある冒険者とユカイな仲間たちによって繰り広げられる、ちょっと不思議な物語。
http://www.mmv.co.jp/special/campanella/story.html

これを見ると貿易によって豊かになったかのようにも見える。
上空写真からも、沿岸のかなりの部分が港になっていることがわかる。
モデルケースは古代フェニキアだろうか。
しかしそれは主たる要因ではない。
それも奴隷という労働力あってのものだからだ。

もう1つキーワードがある。
"世界の宝物庫"と呼ばれることだ。

この世界では晶石の存在がある。
この晶石を使うことで動力機関を動かすことができる。
きっとアニエスの操る人形の関節も晶石を燃料としたアクチュエーターになっているに違いあるまい。
(現代だったらハーモニックドライブでも使うのだろうけど、どうやっているんだろうか。まあそれはおいといて・・・)

では。
このエルタリアは地下資源として晶石が産出するから豊かなのだろうか。

それも違う。
晶石をとりに隣の国の大陸にいき汽車で移動するシーンが何度も出ているからだ。
エルタリアには地下資源など無いと考えるのが妥当である。
むしろあったらあったで他国から侵略を受けるに決まっているし。

そこで考えられることは1つ。
晶石そのものは大した希少性があるわけでも何でもない。
恐らく、晶石を動力機関として使える技術力に価値がある。
主人公のレスターがやっているような、晶石を使った工業製品にこそ価値があるのだ。

晶石を使った工業製品はこの国でしか作れない。
それを諸外国に輸出して対価を得る。
その結果豊かになった。

仮に他国がその豊かさに目をつけて侵略しようにも、圧倒的なテクノロジーを誇る晶石駆動兵器の数々や、カネにあかせて世界中からかき集めた超古代兵器の数々と対峙すると思うと、誰だって怖気づいてしまうのは仕方あるまい。
古代世界においても、当時ダントツで世界最強だったラムセスII世率いる古代エジプトと辺境国ヒッタイトは製鉄技術があったからこそ互角以上に渡り合えたのと同じリクツである。
だからこそ(国防上では大変有利な地形にあるとはいえ)都市国家という小国にもかかわらず平和を維持できているのだ。

ひょっとすると、レスターが作る晶石製品にこそ真の価値があり、レスターにとっては金持ちの道楽で冒険者家業も兼任しているのかもしれない。
この作品は、諸外国に対し圧倒的なテクノロジーを有することの有用性をそこに暗に示してくれたのかもしれないとも思う。



我々技術屋は諸外国に対しテクノロジーで優位に立ち続ける義務がある。
だからこそ理系ばなれは非常にまずい。
今の日本は、やっかいだから晶石工学を学びたくないという学生が大勢いて、晶石テクノロジーについての優位性が失われつつある落日のエルタリアなのだ。

文系には理系ばなれが進みすぎないように制動をかけるようお願いしたい。