http://www.cqpub.co.jp/hanbai/books/42/42891.htm
A-D/D-A変換ICの実用技術
アナログ・デバイセズ 著
黒田 徹 訳
B5判 640ページ
定価9,240円(税込)
JAN9784789842891
↑これ読んだ。
まずひとこと。
高い!
1万円近くしやがる!
というのが初対面の印象だったがね(笑)。
読後の今では、まあ大判で620ページもあるし、内容からすればそんなもんかなという気もしてきた。
この本のタイトルは「A-D/D-A変換ICの実用技術」とはなっている。
だが実はA-D/D-A変換ICの設計方法は記されていない。
アナデバからADCやDACを買ってきてそれを使いこなせるようになるための周辺技術を書いた本という立ち位置だ。
ぶっちゃければ
「うちのICは中身を○○という具合に作ってある。
こいつは○○のように使わないと性能を発揮できない。
だからこれを使うときは○○に気をつけて回路設計しろよ、わかったな?」
というような本だ。
だからIC設計者が買うとガッカリするかもしれんが、回路屋が買うぶんには悪くはない。
この本は総体的には悪くない。
日本語の技術書は、初心者むけすぎてヌルすぎる本か、大学教授の書いた数式ですべてを語る読みにくい本かしかないことが多いが、その間を埋めるポジションにある本だ。
この本はあまりケチをつけるところはない良い本だが、2か所ほどケチをつけたくなるところがある。
1つは電源レイアウトのところ。
この本に書いてあることは原理原則的には間違ってはいない。
いやそれどころか知識のない人に原理原則を叩きこむにはこの本のように説明するのが正しい。
しかしわたしはそのように設計しないことがよくある。
たとえば、アナログ回路用の電源にDC-DCコンバータを使わざるを得ないとき、配線のドロップで少し損失が増えることには目をつぶってでもノイズをなるべく落としたいというような設計のとき、この本の説明のようにありとあらゆるところをグラウンドプレーンに最短で接続するというようにはしない場合がある。
そういうとき、
「この本には○○って書いてあるんですが、なんで先輩はその原則をガン無視してるんですか? ひょっとしてそんなことも知らないんですか?」
なんて言わないように(笑)。
もう1つは伝送路のところ。
ホントは伝送線路理論で説明しないとちゃんとは説明できないところを、あえて伝送線路理論をガン無視して無理やり集中定数(抵抗とコンデンサとコイル)で説明しようとしている。
とはいっても伝送線路理論から説明しはじめるとそれだけでかなり物量を使いそうだし、そこまで深入りしないほうがわかりやすいので、これはやむを得ない。
でも、間違ってはいないけど、なんかなー・・・、と思わなくもない記述が少々。