DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

道(60)

2016-05-26 10:37:50 | ButsuButsu


福島第一の凍土壁、1割凍結せず 東電、追加工事の方針

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やはりな、と思う。

そう、忠告したはずなのだが。

強引に工事を進めてきた経済産業省、東京電力、鹿島建設には大きな責任が伴う。

どう償うつもりなのだろうか。

これから気温も上昇するし、条件は余計に悪くなる。

凍らすために1568本ものパイプを打ち込み、凍らないからコンクリートを流し込むという。

それでも完全にふさぐことはできないだろう。

水と熱の恐ろしさを知らない人々がなしうる、愚かな行為はとどまるところを知らない。

すでに345億円もの予算が注ぎ込まれたという。

もうかったのは建設会社だけなのだろう。

もしうまくいかなかれば、返金するのだろうか。

この話には、悲しい結末が予想される。

知り合いが政府の担当課長だっただけに、苦い思いがする。

やめたほうがいい、という忠告を聞くことができないこの国の仕組みは、やがて崩壊へと進む。

困った、だけではすまされないだろう。

http://www.elneos.co.jp/1310sf2.html

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福島第一原発における凍土遮 水壁設置にかかわる意見書

日本陸水学会(1931年設立)は、2011年3月11日に発生した東日本大震災 以降、関連するさまざまな場所や分野において精力的な調査研究活動を実施して参りました。中でも私たちが特に関心を持っているのは、福島 第一原子力発電所付近における放射性物質による深刻な地下水汚染の問題です。これに関連して取り組むべき重要なことは、(1)海洋汚染を 最小限に食い止めること、(2)放射性物質を安定な状態で長期間封じ込めること、(3)将来において処理可能な形で放射性物質を保存することです。

報道によると、放射性物 質による汚染地下水対策として「凍土遮水壁」による方法が浮上しているようです。この手法は,パイプを地下に敷設してマイナス40度~50度の冷媒を 循環させて土壌を凍結し凍土の壁を作りますので、一時的な便法としてはよいかもしれません が、長期間にわたって地層を凍らせるのは正しい選択ではないと考えています。水と泥の膨張率が異なることから凍土遮水壁に不均質な応力が 加わり遮水壁に突然大規模なクラック(裂け目)が入る可能性があります。

一方、凍土遮水壁では、 炉心の温度や気温の変化、また地下水の流れの変化によって凍土の一部が凍結と溶解を繰り返します。北極圏の事例によれば、このような土地 に道路・家屋などを建築しても、地面が傾き用をなさなくなります。これは,凍結融解が不均一に起こり解凍した地盤が弱体化するからです。 また土壌水が凍結するとそれによる地盤の体積膨張に加え、未凍結領域から凍結面に向かう水の動きが生じてアイスレンズが成長を続け凍上 (とうじょう)の現象が起こります。凍上によって貯蔵タンクや建造物が傾く可能性も高くなります。特に、日本のように温暖で降水量が多い 地域では、凍土を長期間にわたり安定した状態で維持することは困難ですが,加えて,炉心からの伝導による熱流を上回る莫大な冷却熱を排出 する必要があります。また、近年の海水温上昇に伴う陸域での雨量増加は地下水や地表水の流れを増加させています。地下水の流れがある場合 には,流れによる凍結面からの熱の散逸を上回る大量の冷却熱を排出する必要があります。豪雨時など地下水流が急激に増加する場合には凍土 遮水壁が急速に浸食される可能性もあります。

さらに、何らかの事故で 冷却がストップしたり設備が破損した場合、冷媒が周辺に漏れ出たり、凍土が溶解し大量の放射性汚染物質が海中に放出されるなどの危険性が 常に付きまといます。実際、北極圏では近年の地球温暖化の影響で永久凍土が溶解し、多量の溶存有機物が海洋や湖沼へ流入しているという研 究報告もあります。また、氷結の過程で放射性物質が不凍水中に取り残され高濃度の汚染溶液が生成される可能性も国内外から指摘されていま す。泥粒子表面の吸着水やこのような高濃度の溶液は極低温でも凍らないと言われています。

このように凍土遮水壁で は放射性物質を長期間完全に封じ込めることが出来ないだけでなく、より大きな事故を引き起こす可能性が高いと言えます。本事故処理に関しては海外における水問題の専門家が注視しており、わが国の科学技術の真価が問われています。関係各位におかれましては、凍土遮水壁の敷設ではなく、地下水の流路変更や他の工法(たとえば運河方式)による原子炉及びその周辺施設の完全な遮蔽を含んだ抜本的な対策についてご一 考いただきますようお願い申し上げます。

2013年9月20日
日本陸水学会