DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

風(48)

2020-08-17 14:54:32 | ButsuButsu


滋賀県や大津市も「気候非常事態宣言」を出すべきだという市民運動が始まっている。
確かに、数多くの自治体が「気候非常事態宣言」を出している。
https://www.es-inc.jp/ced/

一方、それに反対する声明もある。
しかし、よく読むと、かなり強引で恣意的な意見に思える。
http://ieei.or.jp/2020/07/sugiyama200702/

気温の上昇をグラフで見ていると、確かに変動が多くて明確な判断を下しにくい。
しかし、琵琶湖の湖底水温のような外的ノイズの少ないデータから、非常に面白いことがわかる。
ここに示したグラフは、彦根気象台で測定された1月から3月までの平均気温と、琵琶湖湖底90mの年平均水温の変化を表したものである。

驚くほど、よく似ていることがわかる。
湖底の水温の方が、気温より約2.5℃高い。
つまり、琵琶湖の湖底は暖まりにくく冷めにくいのである。

それでもなお、徐々に水温が上昇している。
1985年から1990年の第1期上昇と、2019年から始まった第2期上昇に着目してほしい。
水温は、単調に上昇するのではなく、このように段階的にジャンプして暖かくなる。

そして第1期より、第2期の方が水温上昇率が大きい。
なぜこのようなことが起こるのだろうか。
それは冬期の冷え方に原因している。

温暖化の進行に伴い、大気には琵琶湖を冷やすだけの十分なエネルギーがないのだ。
1960年代から2020年にかけて、琵琶湖湖底の水温は約2.5℃上昇した。
このことは、湖底付近の生態系や水質に大きな影響を及ぼす。

滋賀県も大津市も、これに対する明確な回答を持ち合わせているとは思えない。
それでも「気候非常事態宣言」を出すべきなのだろうか。
地球規模で始まった温暖化の波は、こうして地方にも確実に影響を及ぼし始めている。

当面このような事態を回避する緩和策と、人類の生存をかけて克服すべき解決策の両方が必要だろう。
「気候非常事態宣言」への勧誘を受けて、さてどうしたものかと思案している。
宣言するのは簡単だし、何らかの示威行動も難しくはない。

しかし、具体的な成果を求めるには、もっと厳しい対策をどう提示するかだ。
その覚悟なしに「非常事態」だと言っても、気休めにしかならない。
今日も40℃越えの熱波が日本列島を襲っている。

新型コロナウィルスとか熱中症とか、歓迎できない事態に振り回されている。
かつてソ連の共産圏が崩壊したように、劇的な気候変化は政治や経済の体制を崩壊に導く。
私たちがすべきことは、まず第一に被害を最小にする緩和策の実践だと思う。


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