竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

がま渓流弧空硬調530

2019年08月19日 22時39分59秒 | インプレ
目標は自分で考えて決める。自分だけのルールを自分で決めて自分で設定する。これがこれからの釣りスタイル、自然との付き合い方。

飽きてきて、面白味が薄れてきたら縛りを追加する。
例えば細糸は使わない、明るくなってから渓に降りる、暗くなる前に竿を畳む、目印は4個まで、等々。あくまで相手は他人ではなく自然。

竿だって、必要な要求スペックは自分で設定する。手に入る材料で実現可能か子細に検討する。材料を調べる。自分で組み立てる。強度が足りなければ補強する。折れたら自分で修理する。

回し振りせずにガン玉8号で振り込めるか、長手尻で風のある日に振り込んでも折れないだけの強度があるか。反動抜きがしやすいか。パワークラスはハリス0.25号にマッチしているか。カツイチV長良LTR 6.5号の線径とマッチしているか。食い波に仕掛を馴染ませてくれるかどうか。亜成虫のハッチ・イマージングを演出できるかどうか。

一応、個人的には、これらの要求スペックを満たす竿というのはすでにあるんです。サクラの金剛テンカラ4.4m朱紋峰凌5.1mとかね。探せば他にもまだあるのかもしれません…プライムTTとか弧渓とか本式とか(でもね、本式は反則ですよね、いろんな意味で。だから自分の中ではまだ、小遣いが足りないから本式は買えませんってことになってます)。


さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題、がま渓流弧空硬調

発売は2004年。全長5.3mで120g、12本継、適正ハリス0.2〜1号というカタログスペックとなっています。実際のパワークラスは53でナイロン0.3号ぐらいだと思います。

2002年だか2003年だか、宮田の郡上あまご買おうとして岐阜まで電話したら奥さんが出て主人は他界しました、竿は全部売れましたって。そんな時がまの展示会で見て一番近いかなって買っておいたのがこの弧空というモデル。賛否両論あるかと思いますが、使用しているブランクスはかなり異質なもので、調子だけでなくカラーリングも歴代がま渓流の中では異端児的存在です。はっきり言ってコレ嫌いな人の方が多いかも。

硬中硬の方は購入後新品のまま即改造でした(硬中硬の方が瀬の釣りにマッチしていた)。硬調の方はサツキ狙いにいいだろうと塩漬けにしてありました。

最近になって、同じくタンスの肥やしになっていたD社雪渓の穂持が奇跡的にぴったり合うということに気付きまして、使ってみたら想像していた以上に飛びがよくなって使い始めたという次第です。もうとっくにアフターが切れてるモデルですので、ご自身のお好みでカスタムして使われるのが一番じゃないかと(予備パーツ確保済)。ちなみにこれまで使用してきた硬中硬で破損等のトラブルは一度もないです。


穂持って渓流竿の要とも言える節でありまして、この良し悪しが竿の出来を決めるといっても過言ぢゃないです。渓流竿にとって最も負荷が掛かりいちばん仕事をするセクション。強度を持たせなくちゃならない反面、曲がる時は柔軟に曲がらなくてはならない。それでいてバネも利かなきゃならない…まさに技術の粋です。

これだけのパーツをグラム何円でしか価格設定できない現在の販売体系ってどうかしてると思うんですよね。これじゃメーカーは技術を売ることができません。工業組合とか何とかあるんでしょうけど、#2〜#3節はもっともっと高く設定していいんじゃないでしょうかねぇ。自分たちで自分たちの首を絞める必要はないんじゃないかと。株主達はどう思ってるか知りませんが。まあ、それはともかく穂先・穂持は海外製よりも日本製の方がいいです。これだけは確実に言えます。

細かい細工が得意なメーカー、強度のあるブランクスが得意なメーカー、粘りのあるブランクスが得意なメーカーなどなど、メーカーによってそれぞれ得意にする分野があると思います。


今回の、G社のベリー〜バットにD社の穂持を組み合わせるアイデアですが、ホントに全くの偶然の産物でして。買ってから10年以上のつきあいになりますが、恥ずかしながら今まで全く気付きませんでした。まあ、ジグソーパズルみたいなものですな。


実釣では粘りこそ硬中硬に劣るものの、当該の硬調の弾性には目を見張るものがあります。多少力を入れる必要がありますが、ビシッと鋭く矢のように向かって行く飛び方は刀翠ZE硬調に近いものがあります。

ピンポイントを撃つのもできますし、風のある日にも向いています。

これはオモリが着水した直後の道糸の状態なんですが、天野さんばりの振り込み・流しをやるのに、このS字ループが作れるかどうかって結構重要なんですよね。ビシッと決まった振り込みに続く流しで食ってくることが多いですので。ちなみに、着水前には軌道修正、着水後にはラインメンディングを激しくやってます。その後はできるだけそっとナチュラルに流しますが…
(穂先・穂持換装後の弧空硬調全長5.1mにて。ガン玉6号、水中糸ナイロン0.4号使用、7月30日撮影)
※フライのロールキャストに似てますが、逆です。オモリに引っ張られたラインが空気抵抗を受けてこのような形になります。


硬中硬と違って硬調では、ハリス0.25号程度でバットを押し込んでのやりとりは厳しいですが、それでもブランクスの特性でハリス切れを十二分に防いでくれます。テクニカルでありながら魚の暴れも比較的少ない印象で小針・スレ針でも安心感があります。ただしファーストテーパーですので泳がせ・くぐらせはやりにくいので注意が必要です。

かの刀翠ZE、仕掛の飛びで優れるといってもアチラは高弾性。小針での慎重なやりとりは苦手だし、引抜きも、ある程度釣り人が腕力で、それもそーっと柔らかく加減しながら抜いてやらないと無理です。
その点、この弧空硬調(改)は、竿としての基本的な粘り・バネがありますから寄せ・抜きは竿任せ。それでいて仕掛の飛びの方もまずまずで悪くないです。ただ単に低反発・高強度なだけだったらこんなに飛ばないでしょう。


それでは具体的なレシピを見ていきましょう。決められたルールで遊ぶのは古いゲーム。遊び方を考え出すのがこれからのゲーム。


用意するものはD社の雪渓硬調MZ(廃盤モデル)。これだけです。長さはどれでもOK。

注意すべき点は、同じMZでも日本製と韓国製があるということ。言うまでもなく日本製の方が断然いいです。バネもありますし。まあ当然のことながら、生産移管したからってそう簡単に技術まで国外に出さないですよね。
とはいえ、韓国製でも充分使えます。

こちらは韓国製のMZ。

弧空の穂先・穂持を外し雪渓の穂先・穂持を入れます。

オリジナルの穂先・穂持は耐久性高いですが調子は犠牲になっています。潔く捨てましょう。
この釣り方だと、どれだけ大事に使っていても遅かれ早かれ腰がヘタって来ますんで。
(ちなみに、硬調の穂持を硬中硬に入れるっていうカスタムもアリです。4.5mの方はそれで釣っています)

完成。細工不要。

金は掛かりますが、鉄ホイールからアルミホイールに履き替えた位の差は充分期待できます。


さすが技術のD社。小継カーボン竿でこれだけきれいな曲がりってなかなかないかも。
弧空も雪渓ももともと耐久性の高いモデルですのでそう簡単には折れないはず。
※ちなみにノーマル弧空より20cmほど先が詰まります。


〔反動抜きのしやすさ評価〕
ノーマル弧空硬調(5.3m)…………★☆☆☆☆
雪渓#1〜#2換装後(5.1m)…………★★★★☆


おまけ。何だか淋しいので。

何の変哲もないがまの尻栓(※)なんですが…

なんとっ、慎重に接着剤を剥がしていくとキレイに外れるんですよねぇ。

で、こんなふうに、

2Bのガン玉を3つほど入れてます。もちろん、これって持ち重りの軽減が主なネライなのですが、こういうのってイザという時に役に立つんですよねぇ…ふっふっふ。
(これは最初に弧空買ってすぐピピッ!って来ました。※旭仙翠・旭仙峰以降のノンズームモデルで採用)




同硬中硬の方のインプレはまた後日ということでご勘弁を。
それまではこちらをごらんください。


硬中硬の方のインプレもアップしました。こちらをごらんください。


関連記事:渓流竿の性能比較(〜2019)

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