竹心の魚族に乾杯

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釣具豆百科[構造部材編]

2020年03月31日 23時00分44秒 | 用語集

CFRP


カーボンクロスやシート、マットをバインダー(エポキシなど)で固めた構造材。2液性樹脂やUV/IR硬化樹脂を使う製法とあらかじめ樹脂含浸されたプリプレグを使う製法がある。バインダーがPETなどの熱可塑性樹脂の場合、ホットプレスによる後加工が可能。応用例:航空機部材、釣竿など。

CF強化樹脂


ナイロンなどの樹脂にあらかじめ短繊維カーボンを練り込んだもの(一般的に強化繊維の含有量を高めると成形性は低下しコストアップとなる)であり、CNT(カーボンナノチューブ)応用製品もある。各種難燃材と併用されることが多く、用途と成形方法に応じて多種多様なラインナップがあり、どのグレードを選ぶかが設計者の腕の見せ所である。もちろん選択を誤れば不良品の山を築くことになる。応用例:携帯電話、カメラ、自動車部品など。

PAN


ポリアクリロニトリル(通称アクリル)。還元焼成することで高弾性のグラファイト繊維(HOPG=高配向性熱分解グラファイト)を得る。

PET


ポリエチレンテレフタレート(通称ポリエステル)。強度はポリエチレンにやや劣るが、透明性と染色性に優れる他、良好な成形性を生かし各種ボトルに幅広く利用される。熱セット性に優れしわがすぐに取れることから衣料や縫製糸にも需要が大きい。また接着性も良好である。応用例としては、エステルラインやホンテロン(商品名)、Dacron®(DuPont)として道糸、ハリス、バッキングラインに、また熱可塑性CFRPとして特殊なソリッドティップなどに使われる。

SIC


炭化ケイ素(シリコンカーバイド;モアサナイト)。モース硬度9.5。ダイヤモンド、炭化ホウ素に次いで硬い。

アラミカ®


旭化成工業が1990年代に開発したポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)無方向性フィルム。液晶状態の原料から直接延伸されることが製法上の特徴。従来のDuPont Kevlar®織物よりも軽く薄く強度にも優れた補強材である(現在半導体向け需要の縮小により製造中止)。

アラミド


芳香族ポリアミド。DuPont Kevlar®やDuPont Nomex®に代表され、高強度、耐熱、難燃などの特徴を活かした繊維製品として利用される。

エンジニアリングプラスチック


PEEK®、ジュラコン®などの高付加価値樹脂の総称。通常は産業用として利用されることが多い。金属代替の場合、軽量化はできるがコストアップとなることが多い。またリサイクルの問題もある。汎用樹脂と比べ分子構造に芳香環や結晶構造を含む樹脂が多く、透明グレードは少ない。高強度のため、中間製品は板、丸棒、中空パイプなどで供給され、切削、プレスなどで後加工されることが多い。→対[汎用樹脂]

ガラスクロス


ガラス線維で織った織物。質量大だが非常に柔軟で衝撃に対して強い。焼却廃棄にコストがかかり、かつ焼却灰にガラス線維が残存することがある。船体などに使用される。

カーボンクロス


グラファイト繊維で織った織物。曲面追従性があり、シワ、ボイドを起こしにくい。またカーボン繊維が張り詰めた状態ではなく適度な遊びがあるため、カーボンシートに比べ弾性は落ちるが衝撃に対しては比較的強い。釣り竿ではリールシート周りなどに多用される。

カーボンナノチューブ


グラファイトの一種とも言えるが、筒状の分子構造を持つ点が異なる。理論的には軽量で鋼鉄よりも強いが、まだ建築材料や織物としては実用化されていない。現在は主に樹脂材料の強化材(CNT)として使用され、良好な成形性を有しており、応用製品は量産が可能である。

グラフェン


高音質イヤホンの振動板でおなじみ。海外で製造されているため詳細は不明だが、グラファイトのコーティングだと思われる(さすがに完全な結晶膜を量産する方法はまだ確立されていないはず、と思いたい)。近年ではこのようなシート状の素材を便宜的に「グラフェン」と呼ぶことが多いようだ(法的には問題ないでしょう)。

ザイオン (ZAION)


D社がリール筐体等に採用するCF強化樹脂。詳細は不明だが、「エンジニアリングプラスチック」と謳われている。CF含有率はかなり高いようである。ちなみに、CF強化樹脂は自動車部品やカメラ筐体などで一般的な材料であり、釣リールへの応用展開も目新しいものではない(古くは米Penn SpinFisher SSシリーズなどで採用)。なお樹脂材料では一般的に、コンパウンドの種類、フィラーの性状、供給元やグレード、諸物性等は企業秘密とされることが多い。前項[カーボンナノチューブ]も参照。

ザイロン®


ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール。商標名東洋紡Zylon®(注:旭化成ザイロンXyron™とは別の樹脂である)。DuPont Kevlar®よりも強く防弾チョッキなどに利用される。また、いったん紡糸した上でZFRPとしても使用される。応用例:磯底物ハリスなど。

サーメット


セラミックスと同じく共有結合を主体とする複合材料。代表的成分の炭化チタン、炭化タングステンともにモース硬度は9である。

ジーマ・メガロ


住友大阪セメント(株)の樹脂材料。タングステンをフィラーとして含み、鉛を超える高比重を実現する。成形性も良好で自由な形状に造形可能。応用例:ジグヘッドなど。

ダイヤモンド


炭素12Cの結晶であり、カーボンロッドでおなじみのグラファイトの同素体である。モース硬度は10。結晶中で光の伝播速度が低速になると主張する研究者もいる。

チタン酸カリウム


ウイスカー状セラミックス。モース硬度は4。微細形状を有する小物樹脂成形品のフィラー他、ブレーキパッドなどに利用される。工業化は大塚化学「ティスモ」(1979〜)、川鉄鉱業(現JFEミネラル)「タイブレックス」(1991〜)。応用例:ラインコーティング材。

窒化チタン


金色を呈する金属窒化物。モース硬度9。セラミックスに対しては施工できず、主に金属母材の表面処理に利用される。600°Cで不安定、800°Cで酸化物となる。応用例:ガイド、スプールエッジなど。

超高純度鉄


純度99.9989%以上の純粋な鉄。通常の高純度鉄との比較でも特異な性質を持つ極めて柔軟な鉄であり、金属加工用のカッターでも切断することができない。詳細はまだ不明だが、圧力によって部分的に相転移が起き、再び元の相に戻る自己修復性を持つ可能性がある。工業化されれば極薄の補強用テープとして活用できる他、合金としても応用できると見込まれる。耐蝕性も極めて高い。現在研究活動は休止中。

ナノアロイ®


東レ社の独創技術の一つ。金属材料やセラミックスがこれまでブレンド技術によって進歩してきた一方、プラスチックは高粘度・高分子のためブレンドしても複数の物性を整合的に追求することが困難であった。ナノアロイ®では高分子をナノ分散させることにより、特性の異なる樹脂を組み合わせ従来技術よりトータル性能に優れた製品が提供できる。諸物性それぞれ単独の比較でも単体製品と比べ性能低下は起きないとされる。

熱硬化性樹脂


フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂など加熱により重合が進む樹脂。

バイオポリマー


明確な定義はないが環境負荷が小さいとされる樹脂である。2020年7月に施行された「レジ袋有料化法」において、バイオマス由来の樹脂と生分解性樹脂が除外されたため再び注目されている(バイオポリマーは容器包装リサイクル法の対象物質でありながら汎用樹脂のように税還付を受けられないというデメリットがあり普及が遅れている)。

バザルタ繊維


サプライヤー:(株)イシザカ。玄武岩を溶融・紡糸した繊維で主成分はSiO2。諸特性はガラス線維に近く、土木建築用途での鉄筋、鉄骨等の代替として有望視される。解体後は自然に風化されるクリーンな材料である(東京オリンピックで使えばいいのにね)。

汎用樹脂


PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート)、PA(ナイロン;ポリアミド)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル;メタクリル樹脂)、ABS(ABS樹脂)、PU(ウレタン;ポリウレタン)などの総称。低価格で流動性に優れ、射出、押出、延伸などの各種成形法に対応する。
※日本国内でナフサを化学合成の出発材料とした場合、税法上の特別措置が受けられ、PLA(ポリ乳酸樹脂)などバイオポリマーと比較し大幅に価格を抑えることができるという強みを持つ。

プラズマ窒化DLC


従来より耐剥離性を大幅に向上させたDLC(ダイヤモンドライクカーボン)。表面処理により、母材の表面にダイヤモンドとグラファイトの中間の非晶質の層を生成する。金属などの導電性材料に対して施工可能(エポキシは不可)。モース硬度9。岩に軽く当てた位では傷がつくことはない。応用例:ラインローラーなど。

プリプレグ


炭素繊維(グラファイト)の中間製品であり、カーボンシートやカーボンクロスにあらかじめエポキシ樹脂が含浸されている。自動車の外装部品や釣り竿などに幅広く利用されている。

フルオロカーボン


ポリフッ化ビニリデン樹脂。ナイロン繊維の代替として使用される。繰り返し衝撃にやや弱い面があるが、吸水性がなくバクテリアにも侵されにくい。

ポリアミド


アミド結合の繰り返しから成る高分子材料で高い耐衝撃性を持つ。1935年にDuPont社により世界初の完全合成繊維PA66が合成された(ほぼ同時に東洋レーヨンが独自にPA6の合成に成功)。その後PA12など様々なポリアミドが合成されるが、最初に開発されたこの2種類のナイロンが現在でも幅広く利用されており、共重合や改質剤などで応用範囲をまだなお拡大している。

ボロン繊維


高強度高弾性材料でBFRPとして利用される。タングステンの極細線上に液晶膜を形成させて得る。現状芯のタングステンを取り除くことはできていないが、むしろこのコア層のホウ化タングステンが強度向上に寄与している可能性はある。

マグネシウム


現在、射出成形可能な唯一の金属材料で、アルミニウムよりも軽く、また価格競争力もある。リサイクル技術も進歩している。短所は、自然発火、粉体爆発、水素爆発の危険性があることと、酸や海水に極めて弱いことである。カルシウムを添加することで難燃性を高めることができるとされる。応用例:ノートパソコンなど。

陽極酸化チタンコート


チタン材料を専用の電解液中で通電処理することにより、母材表面に酸化膜TiO2を析出させる表面処理。海水や熱に強いがモース硬度は窒化チタンTiNに劣る。また膜厚や不純物によりさまざまな色合いに発色させることが可能。
※酸化焼成ではなく電解により酸化物が得られるため、ワーク寸法の自由度が大きい。なお製法は電解メッキに似るが、金属ではなく酸化物のためメッキとは呼ばない(銀歯に最適だと思うんだけど、悪趣味かな?)。


レアメタル


貴金属でもなく卑金属でもない金属。採掘、製錬、加工に高度な設備が必要なものが多く高価である。チタン、タングステン、ボロン、ネオジム等が該当。チタンTiはレアメタルの中では比較的安価。

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