竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

カギはアドレナリン受容体?

2009年02月09日 21時25分27秒 | やまめ研究所
水温低下がまだ続いていて、風も強かったんで、先週もお休みでした。
この分だとサッパが釣れ出すのはさらに1週間ぐらい先じゃないかと…

というわけで今週も、やかましい雑談ネタです


さて先週、天然の渓魚が空腹と酸欠状態を経験することによって鍛えられているんじゃないかということを書きました。

これを読んで、
「あれっ、おかしいなあ、自然の川で、なんで酸欠状態なんかになるんだ? 人工の池の方が、よっぽど酸素、少ないはずじゃないか」
と思った方もおられたことでしょう。


川の水は温度が上がったり、淀んだり、生き物の死骸や落ち葉がバクテリアによって分解されたりすると溶存酸素量は低下します。
反対に、水温が低くてバクテリアも少ないと溶存酸素量は高いです。瀬があったり滝があったり、はたまたラン藻などの植物プランクトンが繁茂して濁ってきても、やっぱり溶け込んでいる酸素は増えます。

普通に考えれば渓流域は上の条件を備えていますから、夏でも冬でも酸素量は充分に多いはずです。


じゃあ、一体どうやって酸欠状態を経験するっつーの??


それは、例の群れた稚魚のバトルロイヤルです。
水面に虫が落ちてきたときに、猛ダッシュで突進し、さらに餌をくわえたら一目散に群れから遠ざかるように泳がなければ、厳しい生存競争に勝てないのでした。(この争奪戦については以前書きましたね)


ここで、
それとこれとどう繋がるっていうんだ!
って話になると思うんですが、その説明はこうです。


競走馬は年とともにズブくなるって言いますよね。
2歳とかの若い馬だとどうしても、周りの他の馬がガーッと行くと、自分もつられてガーッて行ってしまう傾向があるわけです。また、群れの先頭を走ってる馬なら、抜かされたくないから全力で走ろうとします。

ところが7歳とか8歳とかになってくると、エンジンが掛かりにくいというか、闘争心がなくなってくるというか、ムチも見せたぐらいじゃ効かなくて、ビシビシ叩かないと走らないとか、いろいろあるわけです。

逃げ馬だと、やっぱり差しタイプに脚質転換しないとダメですよね。


同じように渓流魚なんかでも、小さい2年魚はルアーをガンガン追ってくるのに対して、ちょっといいサイズになると条件が揃わないとなかなか追いません。一方、滝壷の主みたいなヒネた奴だとルアーを何回も何回もトレースしないと食わないということが起きます。
同じ淵に2年魚から4年魚までズラッと勢揃いしている場合、大ざっぱな傾向として、若いやつから先にアタックしてくる、ということがあります。


「じゃあ、アドレナリンかなんかの興奮させる物質が、魚でも哺乳類でも、年とともにだんだん少なくなってくるんだろ」
って話しになるわけです。

ところが実際は、分泌されるアドレナリン(ノルアドレナリン)の量が不足してくるんじゃなくて、ノルアドレナリンの受容体が発達してきて、興奮しにくくなってくるらしいです。

まあ、似たようなものでしょうかね。

…でも、この話しは何だか自分にもすごく当てはまる気がしますね。ま・じ・で。


まあ、極めて自己弁解的な見方をすれば、受容体が発達してきてノルアドレナリン系のシステムの行き過ぎを調節しているんだゼ、エッヘッヘ。というところでしょうか。


それはさておき、ホント、ヤマメの2年魚、特に天然のやつは、ルアーとか毛針に対して、もう、キチガイみたいな反応をします。頭に血が上ってるんでしょうね。下流から上流に向かって動かしている毛針、とか、超ファーストリトリーブで引いてるミノーとか…。

それがまた面白いんですよね。


さて、アドレナリン(ノルアドレナリン)受容体はアドレナリン(ノルアドレナリン)をキャッチしてシグナルを次の神経細胞に伝える役割をしているわけです。アドレナリンとその受容体の働きは何かというと、哺乳類の場合は高度に発達しすぎていて単純に「これ」と言えるようなものではないようですが、基本的には蓄えられたエネルギーを爆発的に放出する働きがあります。ですからアドレナリンが出ると酸素をたくさん消費します。

魚よりも原始的な動物、例えばホヤの幼生でいうと、鳥とか魚とかの天敵にくちばしとかで挟まれたときに、全身の力を振り絞りバタバタ暴れて逃げる、こういう危険回避行動にアドレナリンは役立っていたんじゃないでしょうか。

それがだんだん進化して、今の脊椎動物のような高度な神経システムが出来上がったんではないかと。


そして魚の行動から思うに、まだ若いときは何かの理由でアドレナリン系のシステムが過剰に機能してしまう、そしてまたそうした行動を繰り返すことによって、だんだんとアドレナリン受容体が発達して成熟してくる、こんなふうに思いますがどうでしょう?


さて、人間の場合ですけど、アドレナリン(ノルアドレナリン)がたくさん出たときって、ガーッとエネルギーが出ますけど、その代わり、ドキドキして息が上がりますよね?

このとき平静を装ってクールな顔してると、、、息が苦しくなります。

それと、体温が上昇して暑くなりますね。

自分は隠してるつもりでも、顔が赤くなって額から汗が出ます。頭から湯気が出る人もいますが…。

そして、その後で疲労感が襲ってきます。筋肉に乳酸がたまるわけです。
で、たまった乳酸を処理しなきゃいけないわけですからまた酸素を消費します。
そうすると血液中の酸素はしばらく薄い状態になるわけです。


…ということは、生理的に見て、これも軽い酸欠状態と言えなくもない!

少々強引かも知れませんが…


魚も、基本的な生理は人間と同じだとすると、渓魚は稚魚期に、少ない餌を巡って集団で争奪戦を繰り広げて、押し合いへし合いしていますから、たとえ酸素の豊富な渓流であっても、こんなふうにして、案外いつも酸欠状態なのではないでしょうか?



そして稚魚期を過ぎて一人前になる頃には細胞に何らかの“変化”が起きていて、ちょっとやそっとの酸欠状態には耐えられるようになっている。そしてその頃には徐々に刺激に対して過度に興奮したりということがなくなっていて、おとなしくなっている。こういうことじゃないでしょうか…。
まあ、ミトコンドリアとか、ミオグロビンとか、、…ですね。


竹心の推理はこんなところです…



さて、魚に関して、ちょっと調べたいことが出てきましたんで、今週末は水族館と図書館に足を運んでみようと思います。

調べ物が済んだら、ボチボチ渓流釣りの道具でも紹介していこうかな。

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