竹心の魚族に乾杯

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バッタの飛蝗?非行?

2009年04月14日 21時45分11秒 | やまめ研究所
先日もちょっと触れましたが、イギリスの研究チームの研究で、バッタの孤独相から群生相への移り変わりと神経伝達物質セロトニンとの関連が明らかになりました。

【バッタが群れとなる原因は脳内物質セロトニン、英研究】
(AFP BB News の記事、日本語)

それまでお互い距離を保って生活していたバッタが、実際に神経のちょっとした変化で、群れで生活するようになるというのは興味深いです。行動パターンが、180度方向転換しちゃうんですね。


それにしても、セロトニンが少ないときに一人になりたいというのはよくわかるんですけど
セロトニン3倍で人恋しくなってしまうなんて、バッタさんの気持ちは良くわかりません。

イヌとかサルとかヒトとかでは、「待ち続ける」ということにセロトニンが関係していたわけですから、ちょっと意外というか、「鳴かずんば、鳴くまで待とう」の心意気でその場に踏みとどまろうとする方が自然のような。



バタ蔵「ちょいとバタ吉どん!なんや後ろ足がかゆうてかゆうてたまらないんじゃ。かいてくれぬか」

バタ吉「どれどれ。ここかいな?ポリポリ」

バタ蔵「はあ~~気持ちいい~~。バタ吉さんもどうじゃ?気持ちええど~」

バタ吉「こりゃええワ~~。かいてもらったらなんだか元気になったわ~村中のみんなに教えたろ~」


…てなわけで、茶色くなったバッタさん達はみんなでツンツンして励まし合ってるのかもしれませんね~。


励まし合ってなかったら、砂漠の真ん中でくたばった??


冗談はさておき。

バッタが群生相になることで、体色や行動が変わるだけでなく、長距離の飛行ができるようになるわけですから、身体の中の代謝の仕組みにも何か変化が起きているはずだろうと想像できます。

ちなみにバッタやゴキブリの筋肉は、炭水化物と脂肪の両方をカロリー源とすることができるのだそうです。これは人間と同じですね。

哺乳類の場合
グリコーゲン→グルコース(ブドウ糖)→ピルビン酸
中性脂肪→中性脂肪→脂肪酸
昆虫の場合
グリコーゲン→トレハロース→ピルビン酸
中性脂肪→ジグリセリド→脂肪酸


そして通常の緑のバッタ(孤独相)は、葉っぱに停まっている時間が長く、立て続けに飛ぶことはあんまりしません。
明らかに、インターバル長いですね。ネコやライオンみたいです。

一方で群生相のバッタは、何時間もぶっ通しで飛び続けることができるといわれています。
トライアスリートみたいですね。

この孤独相から群生相への転換は、炭水化物と脂質両方を利用できるバッタ類に特有の現象ということなので、相の移り変わりとともに、炭水化物中心の代謝(人間でいうとグリコーゲン)が、脂質中心の代謝に切り替わっているんじゃないでしょうか。


ところでこのバッタの“飛蝗”ですが、詳細に研究した人が日本にいます。
茅野春雄さんという方で、昆虫における脂質輸送タンパクを見つけた人です。
詳しいことは下記の文書をどうぞ。


さて、群れと単独行動といえば、やっぱり魚。

川魚のなかでもヤマメは縄張りを持ち、常に他のヤマメとの距離を充分に保って生活しています。夏場は自分のエリアに入ってきた別の個体を、ときには噛みついてまで追い払おうとするほどです。ところが冬場は深くて薄暗い淵に10数センチの小型から尺を越すものまで集まって、集団で身を寄せ合ってじっとしていることがよくあります。

あれほど気の強いヤマメが、ひとつの淵で仲良く冬を越すなんて、なんだか矛盾してるような気がしますけど、バッタの相変異みたいに、切り替えのスイッチがあるとすれば、別に不思議ではないのかもしれませんね。





※茅野春雄さんの研究のダイジェストはこちら。
【昆虫の生きている仕組みを追う】
(JT生命誌研究館のアーカイブ)

詳しくは
茅野春雄「昆虫の生化学」東京大学出版会(1980年)

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