竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

魚はどうやって酸欠に耐える?

2009年02月02日 21時52分30秒 | やまめ研究所
このところの水温低下で、先々週、先週と修行をサボりました

で、昨日のおかずはカモ鍋。

たまには肉食もいいですね~  パキッ


これで水温が落ち着いてくれば、今週末あたりからサッパが出始めるでしょう。堤防サビキですね。運が良ければルアーでサバかな?

そして来週は赤城に登って撃沈してきましょうか。まあ、浅間山の余震が続くようなら山中がいいかな?


さてさて、今日の雑談は先週の続き。

婚姻色の出たハゼは、なんだか元気がないし、あっさり絶命してしまう、放流されたヤマメも最初は元気だけど、あっけなく死んでしまう、これには何か共通するものがあるんじゃないのかってことでした。

盛期のハゼだと、ブクブクの入っていないバケツに入れておいてもしばらく生きていますし、また、とりわけ注目すべきことは、水がなくても何時間かは生きているということです。タッパーの中に水を入れないでハゼだけ入れて、それをクーラーボックスで冷やして持ち帰ると、ほとんどのハゼは元気に生きています。あまりに元気すぎてしかもヌルヌルするんで、捌くのに苦労するぐらいです。

水がなくても生きていけるということは、たぶんエラとは別に呼吸することのできる器官があるんでしょうけど、これほどまでに生命力の強いハゼでも、婚姻色が出た後のオスのハゼでは、釣り上げて数分であっけなく死んでしまうという事実に非常に興味をそそられますね~

婚姻色の出たオスのハゼは産卵のための穴を掘るわけですが、口がシャベルのように変形し、下あごの周囲は黒くなって“お歯黒ハゼ”などと呼ばれることもあります。
また体形も逆三角形のマッチョなオスハゼから、ひょろっと細長いスマートなハゼに変身するようです。

ところでこのオスハゼが掘る産卵のための穴なのですが、ただでさえ溶存酸素量の乏しい海底に穴を掘るわけですから、産卵穴の中は酸素不足で、とうてい卵を孵化させるには適していない状態になっていると思われます。

といいますのは、渓流に棲むカジカなどでは、酸素が非常に豊富な、目詰まりのない小石底の早瀬を選んで卵を産み付けていて、このことから、ハゼ類の卵が死なないで順調に細胞分裂を続けるためには、安定した酸素の供給が不可欠なんだろうと思われるからです。

ですから婚姻色が出てスマートになったマハゼのオスは、卵が孵化するまでの間、産卵穴の底と入口の間を頻繁に行ったり来たりして、新鮮な海水を送り込んでいるんじゃないかと想像しています。

それとオスハゼがあれほどまでに体力が弱くなってしまうということを考え合わせると、もしかすると、オスハゼの体に何らかの変化が起きていて、酸素の欠乏に対していちじるしく抵抗力がなくなっていて、そのことによって産卵穴の酸素の状態をいち早く察知しているのかもしれません。自分が苦しくなるから穴の入口まで泳いでいく、そして戻る、その時に水流が起きて穴の中の水が撹拌されますから卵に酸素が供給される。卵を守るためにわざとそのような体になっているんじゃないかと…。


それと、話は変わりますけど、渓流のヤマメの話です。

天然のヤマメと放流のヤマメをバケツとか活かしビクに入れて放置すると、放流物から先に死んでいく。
それほど暑くない初夏ですと、放流物が5分とか10分で絶命してプカーッと浮かんでくるのに対して、天然物の方はまだまだ元気で、15分とか20分ぐらいは生きています。それくらい顕著に差が出ます。

これは酸素の欠乏に対して弱いから死んでしまうのかも知れないし、あるいはまた、温度の上昇と水が循環していないことによる“低温やけど”なのかもしれません。まあ、酸素の欠乏が妥当な線でしょう。

じゃあ、天然物は酸素の欠乏に対して強いのか、ってことになります。

ちょっと一言、ここで言う天然と放流というのは、科学的な呼び方、じゃなくて釣り人的な呼び方です。ですから“天然”というのは原種とか野生というのとは違います。
これは「芦ノ湖でネイティブトラウトを釣る」とか言うのと同じですね。

これもちょっとおかしな表現です。
本当にネイティブだったら捕まります…  パキッ


さて、“天然”が小沢から落ちてきた正真正銘の天然物とか発眼卵放流から育ったヤマメなどで、“放流”は成魚放流とか稚魚放流から育ったヤマメのことです。ですから、この際、天然物と放流物が交配して生まれた個体は強制的に“天然物”というカテゴリーに含めてしまいましょう

このような俗称“天然物”ですと、冬に卵から孵化して最初の夏を源流部で過ごし、その秋に徐々に下流に下って大きな淵で集団で越冬するというのが大半の個体の行動パターンです。そしてその他に、春に渓流・本流に下るもの、秋になって海まで下ってしまうもの、渓流域でずっと過ごすものなどがいます。

で、稚魚放流ですと初夏とか、秋になるまで人工の餌で大きくして、それから放流ということになるわけですけど、どっちにしても秋になれば下流に下っていって天然物と一緒に生活するわけです。棲む場所も同じ、食べるものも同じです。周りにいる魚と同じものを食べようとするのは魚の本能からして当然ですね。

そうなると幼魚期の生活環境の違いが成魚になってからも体力の違いとして現れてるとしか考えようがないわけです。

けれども、天然物があれほどまでに酸素の欠乏に対して強くなる要因というのは、探しても探しても見つからないというのが正直なところなんです。なんせ水温の低い冬ですから、暑い夏と違って酸欠になるということはあまりない。

ですから「天然物は自然の過酷な環境の中で酸欠状態を経験する。だから自然と酸素の欠乏に対して強くなるんじゃないのか??」という可能性は消えるわけです。

そうなると、かなり強引なのですが、やっぱりカジカの卵が出始める前の、ユスリカぐらいしか食べるものがない晩秋~初冬での暮らし方、生活習慣の違いぐらいしか思いつきません。運動、摂取カロリー、水温、等々…。

で、ここでミトコンドリアを持ち出してしまうと、いささか話が飛躍しすぎかも知れませんけど、ちょっと他にありそうな線がないというか、まあ、単に竹心が勉強不足なだけなんでしょうけどね。

というわけで、答えはまだまだ見えてきません。修行は続きます…

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 天然物=健康体、放流物=メ... | トップ | カギはアドレナリン受容体? »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

やまめ研究所」カテゴリの最新記事