正面に月を据えたる秋の酒 一龍斎貞鳳
点字
ここに僕らの言葉が秘められている
ここに僕らの世界が待っている
舌先と唇に残ったわずかな知覚
それは僕の唯一の眼だ
その眼に映しだされた陰影の何と冷たいことか
読めるだろうか
星がひとつ、それはア
星が縦にふたつ、 それはイ
横に並んでそれはウ
紙面に浮かびでた星と星の微妙な組み合わせ
読めるだろうか
読まねばならない
点字書を開き唇にそっとふれる姿をいつ
予想したであろうか・・・
ためらいとむさぼる心が渦をまき
体の中で激しい音を立てもだえる
点と点が結びついて線となり
線と線は面となり文字を浮かびだす
唇に血がにじみでる
舌先がしびれうずいてくる
試練とはこれかー
かなしみとはこれかー
だがためらいと感傷とは今こそ許されはしない
この文字、この言葉
この中に、はてしない可能性が大きく手を広げ
新しい僕らの明日を約束しているのだ
涙は
そこでこそぬぐわれるであろう
「闇を光に」 著者 近藤宏一さん
1938年 11歳で長島愛生園入所
2009年 83歳で没する
2007年 英国救らいミッションがハンセン病問題の啓発に貢献した人物に贈るウェルズリー・ベイリー賞を受賞
札幌国際芸術祭
札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。
http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf