ニュージーランドの島で何年もの間たった1羽で暮らし、「世界一孤独な鳥」として知られていた雄のシロカツオドリ「ナイジェル(Nigel)」が死に、同国の野生生物愛好者の間に悲しみが広がっている。

「仲間のいないナイジェル」とも呼ばれていたこの鳥は、ウェリントン沖にあるマナ(Mana)島で、野生生物を呼び寄せようと環境保護活動家らが設置したコンクリート製模型のコロニーの中で数年間にわたり暮らしていた。ナイジェルはこの模型の一つと恋に落ち、羽づくろいや巣作り、さらには交尾をしようとする姿も目撃されていた。

 同国自然保護局(DOC)の監視員クリス・ベル(Chris Bell)氏は7日、「ナイジェルはマナ島に住むことを選んだ。いつでも去ることができたのにそうしなかったので、彼が幸せだったことが分かる」と語った。

 ナイジェルは先月末、コンクリート製の「恋人」の隣に横たわり死んでいるところをベル氏に発見された。死因は今後の解剖で特定されるが、老衰とみられている。

 ナイジェルは、偽のコロニーの効果が現れつつある中でこの世を去ってしまった。ベル氏によると、昨年12月末には3羽のシロカツオドリがマナ島を訪れ始めた。3羽は現在も定期的に島を訪れており、コロニーの形成につながればナイジェルの遺産となるだろうとベル氏は述べている。

なんて悲しい