飲んだら乗るな、乗るなら飲むな。先日、広瀬すずの兄やデニス・ロッドマンが飲酒した状態で車を運転したとして逮捕された。日本の道路交通法では、2009年に飲酒運転にかんする処分が厳罰化されたにも関わらず、悲しい事故やニュースが絶えない。
飲酒運転の最低基準は、呼気1リットル当たりのアルコール量が0.15mg以上で「酒気帯び運転」とされており、0.25mg未満でも免許停止(※過去の事故や違反などで異なる)となる。公益社団法人アルコール健康医学協会のホームページによると、「ビール中瓶1本で0.1~0.2mgに相当するが、個人差があるため、1杯でもお酒を飲んだのであれば運転してはならない」とされている。それならば雰囲気だけでも……とノンアルコールビールを飲む人は多いと思う。しかしネット上には、このような噂が。
<“ノンアルコール”と銘打たれていても微量のアルコールが含まれている場合があり、飲酒運転で捕まってしまう可能性がある>
日本の酒税法では、アルコール分1%未満の飲み物は、酒類に含まれない。つまり、1%未満のアルコールが含まれていても、ノンアルコールビールを名乗ることができるのだ。要するに、知らないうちにアルコールを摂取しており、飲酒運転で捕まってしまうケースも考えられるだろう。また、甘酒やお酒入りのチョコなどでも同様の懸念がある。これは他人ごとではない。では、実際どうなのだろうか。今回は、その真偽を探ってみた。
◆国内主要ビールメーカーのノンアルコールビールは…
ノンアルコールビールやアルコールテイスト飲料は高速道路のパーキングエリアに売られていることもある。まずは、製造している国内の主要ビールメーカー4社の見解はどうなのか。各社のホームページやお客様相談室の回答をのぞいてみよう。
・アサヒビール株式会社
Q.運転前に飲用しても大丈夫?
「アルコール0.00%の炭酸飲料ですので、問題ありません」
・キリン株式会社
Q.ノンアルコール飲料の「零ICHI」や「パーフェクトフリー」、「ゼロハイ 氷零」を飲んで運転しても大丈夫でしょうか?
「アルコールは0.00%なので、問題ありません。また、警察庁科学警察研究所の論文を参考に、運転シュミレータでの実験を行い、運転能力に影響がないことを確認しております」
・サッポロビール株式会社
Q.ノンアルコールビールテイスト飲料を飲んだあとに運転しても大丈夫ですか?
「アルコール分0.00%なので問題ありません」
・サントリーホールディングス株式会社
Q.『オールフリー』を飲んで、運転しても大丈夫ですか?
「アルコール0.00%なので、問題ありません」
◆アルコール入りのお菓子や甘酒は運転NG
コンビニなどでも売られており、なにげなく口にするお菓子類はどうなのか。ロッテのチョコレート「バッカス」はアルコール分3.2%、「ラミー」はアルコール分3.7%が含まれている。
・お酒入りチョコレートのロッテ
Q.「ラミー」や「バッカス」を食べて車を運転しても大丈夫ですか?
「『バッカス』や『ラミー』には洋酒が入っていますので運転の前や運転時はご遠慮下さい。また、お子様やアルコールに弱い方、妊娠・授乳時の方もご遠慮ください」
また、飲みやすくておいしい森永の甘酒の場合は? 「甘酒に含まれるアルコール分は1%未満で、お酒ではありません」としているが、運転することについては大丈夫なのか?
・甘酒の森永製菓
Q.缶の甘酒に含まれるアルコール分について教えてください。
「缶の甘酒に含まれるアルコール分は1%未満であり清涼飲料水ですがお客様のご体質によっては、アルコールに対して敏感に反応される方もいらっしゃいます。アルコール分がゼロではないので、弊社としましては、運転前・妊娠中・授乳中のお客様
海外メーカーやお酒の割りモノのなかには…
つまり、甘酒やお酒入りチョコや菓子類などを食べた場合は、運転は控えたほうがいい。日本国内の主要ビールメーカーのノンアルコールビールやアルコールテイストの飲料であれば問題ない。しかし、日本の酒税法でノンアルコールビールと謳われていても海外メーカーのモノや、お酒の割りモノのなかには微量のアルコールを含んでいる可能性がある。雑誌ライターの傍ら、神奈川県の酒屋でアルバイトをしている男性がこう言う。
「たとえば海外メーカーのビアテイスト飲料。オーストラリアの『ブローリー』には0.9%、アメリカの『テキサスセレクト』には0.5%未満のアルコールが含まれています。日本の酒税法では1%未満でお酒ではなくとも、十分に気をつけたほうがいいでしょう」
◆警視庁によると…
では、ノンアルコールビールやアルコール入りの食料品などで飲酒運転になってしまった事例などはあるのだろうか。そこで、警視庁に問い合わせてみたところ、以下のような返答が戻ってきた。
Q.実際にノンアルコールビールや微量のアルコールを含むチョコなどの菓子類を大量に飲食して捕まってしまった人はいますか? または統計などはありますか?
「ご質問の趣旨に該当すると思われる統計データはありません」
このような事例のデータはない。では、飲酒運転の予防に向けてどうすればいいのか?
「道路交通法においては、身体に保有するアルコールの程度にかかわらず、車両等を運転する行為を禁止しています。アルコールを含む食品や『ノンアルコール飲料』の飲食であっても体質によっては酒酔い運転、摂取量によっては酒気帯び運転になる可能性もありますので、運転しようとする方ご自身でしっかりと確認してください」
要するに、たとえ呼気1リットル当たりのアルコール量が0.15mg以上とならなくとも、体質によって個人差があり、そもそも事故を起こしてしまっては元も子もないからだ。アルコールによって正常な判断を失い、万が一の事態に発展してしまえば、被害者の命、家族、お金、社会的な地位など、多くの「大事なもの」が奪われてしまうだろう。運転する前には、アルコールが含まれていないか、じゅうぶんに注意してほしい。悲しい事故が減ることを願っている。
はお控えいただくのが宜しいかと思います」
お酒に弱い人は