AP通信などは20日、トルコ軍によるシリア北西部アフリンのクルド人勢力への越境攻撃に対抗するため、シリアのアサド政権派の民兵部隊がアフリンに進軍したと伝えた。この部隊がトルコ軍の砲撃を受け撤退したとの報道もあるが、トルコ軍とアサド政権側部隊による本格的な衝突の懸念が高まっている。シリア内戦でアサド政権はクルド人勢力と度々衝突してきた経緯があるが、トルコからの攻撃についてはクルド側と「共闘」し対抗する構えだ。

 トルコ軍は1月20日、国内の非合法組織・クルド労働者党(PKK)と連携しているとして、アフリンを支配するクルド人民兵組織・人民防衛隊(YPG)への攻撃を開始。現在も交戦が続いている。これに対し、アサド政権はシリア領内への攻撃を「侵略行為」として非難してきた。

 今回の民兵派遣についてアサド政権は「アフリン市民を守るため」と説明。一方、トルコのエルドアン大統領は20日の演説で「トルコ軍は近日中にアフリンの市街地を包囲する」と述べ、双方とも強硬姿勢を崩していない。アサド政権側の部隊の進軍で、トルコ軍との偶発的な軍事衝突に発展する恐れもある。

 これに先立ち、エルドアン氏は19日、アサド政権の後ろ盾であるロシアのプーチン大統領、イランのロウハニ大統領と相次いで電話協議。両首脳を通じ、アサド政権に対して進軍しないよう警告していた可能性もある。