What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

「でも」と「だって」は、「戸締め言葉」

2012年07月05日 08時46分55秒 | 日常
 実家の兄と私は、六歳の年の差があります。なので幼い頃から私の内では、兄の存在は祖父母や両親と同じ「大人」でありました。

兄が中学校入学、私が小学校入学の時に、父の転勤で家族四人で東京は世田谷の上祖師谷の社宅に引っ越しました。三年居てまた仙台の家に帰ったんですが、私(よりも家族にとってですね)には波乱の時期の始まりでした。私が一~二年生の間、たびたび不登校になったからです。後に短大で児童心理学を学んだ時に、問題行動をおこす子供のテンプレに、自分が当てはまりすぎて、長年の疑問がすとんと溶けた気持ちになりました。

親からも先生からも「どうして学校へ行きたくないの?」と何度も聞かれたんですが、その理由が自分でわからなかったんです。当然ですよね(苦笑)6歳の子が「知らない土地で、知らない同級生になじめない」「社会性の発達が未熟で、他者とのかかわり方がわからない」なんて、判るわけありません。父は激務で土・日しか会えず、母は良くも悪くも考え方が”昭和の人”で、カウンセリングを受けるとか、子育てサークルに参加するなんて発想がまったく無かったので、ずいぶん悩んだろうなと思います。

そんな冬のある日(コタツがあったので、東京でも寒い季節だったはず)いつものように、学校へ行きたくないとごねてコタツにもぐりこんでいた私に、兄が声をかけました。当時の兄がどんな毎日を過ごしていたかは、自己中でいっぱいいっぱいの私にはさっぱり記憶が無くて、想像するしかないんですが、おそらく兄も私同様、新しい環境で四苦八苦していたと思うんです。

で、コタツから顔を出した私の顔に、ヤカンで水をかけたんです(中身は冷たい水でした)びっくりして、跳ね起きた私を見て「コタツから出れるじゃん」とすました声で兄は言いました。それ以前から、家の中で「子供」として扱われていた私は、お恥ずかしいんですが親に一度も叩かれた事も無く、兄から邪険にされた事も怒られた事も無くて、ましてやあたりがびしゃびしゃになるにも関わらず水をかけられるなんて、思いもしない事でした。

たぶん、兄はよっぽど私の態度に腹が立っていたんでしょうね・・・その日は、このショック療法が効いて(たぶん)学校へ行ったはずです。

その頃兄に言われたのが(当時の兄は、ごろごろしていた私を豚みたいに思ってたんでしょうね、名前+ぶーで呼ばれてました)

「○○ぶーは『でも』と『だって』ばかり言う」

でした。幼いながらに、心がズキリとしたのをはっきり覚えています。それ以来、絶対に言わないようにしようと気を付けて過ごしました。だからって、直ぐに問題が解決した訳ではなくて、結局自分としては高校生くらいまで、問題ありの子供だったなぁと思います。


その「でも」と「だって」の言葉が、昨日届いた小冊子のコラムに書かれていて、やっぱり!と思いました。


★「オルビス / カタログ7月号 今に生かしたい”江戸しぐさ”の粋 6」より引用

 会話は人づき合いの基本。これは江戸時代も現代も同じですね。よくない言葉づかいの筆頭が「戸締め言葉」です。

「でも」「だって」「そうは言っても」などがそれで、こんな言葉ばかり発していると、人の話を無視するような(=戸を締めて中に入れない)謙虚さが足りない人間だと思われたそうです。チクチクと当てこするようなを言い方をする「刺し言葉」、話に水をさすような「水かけ言葉」も然り。

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「言霊(ことだま)」って考え方が、日本には古くからありますよね?やっぱり「悪い」「汚い」「後ろ向き」等「よくない言葉」を使っていると、心もそれに染まってしまうと私は思ってます。

もの凄く視野が狭くて自分の前しか見えていないから、それこそ人の話を聴かない、他人と意見が合わせられない、自分の意見がとおらなくて面白くない(なんという無駄な上から目線!)etc.で、学校へ行きたくなかったんでしょう。兄は何気なく言ったのかもしれませんが、しょっちゅう「でも」「だって」と言い訳ばかりしてた私は、自分が嫌な事には向きあわず、ラクな方に逃げてばかりでした。結局、この後さんざん痛いめに遭って、社会性というものを当時よりは身に着けてきたと思っているんですが、実は、いまでも「でも」と「だって」はあまり言いません。兄の思い切った行動とセットで、心に「使っちゃいけない」と焼き付いているんでしょうね。

ブログは、文章でしか自分の気持ちを伝えられないので、いっそう「戸締め言葉」を使わないよう、気を付けたいと思います。



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