裏切られたからって、裏切るつもりはない。他人に褒められようが捨てられようが、そんなのはただの結果だ。おれはそんなことのために働いているんじゃない。……戦う理由は、他人から与えられたり押しつけられたりするものじゃない。自分で見つけて、自分でつかみとるなにか……。自分にしか触れられないなにかのため……甲斐を守るために、戦うんだ。……生き甲斐だ。生きてて良かったって思えるなにかだ。それがあるから、人は生きていけるんだって……そう教えてくれた人の言葉を、おれは信じる。
(福井晴敏『亡国のイージス』下p111)
この本は、好きですねー。読んでいてとても楽しかった本です。
好きな本トップ20?くらいには入るかも(古典除く)。
ああそれなのにそれなのに……。同じ作家の『終戦のローレライ』は私の嫌いな本トップ20に入るんですよ、実は。はっきり言ってしまえば、嫌悪感が走るくらい。理由は色々ありますが。イージスを読んだときは素敵な作家が出てきたと嬉しかったのになぁ。残念…。
さて。話をイージスに戻しましょう。
ローレライが苦手な理由の一つにこの作家の戦争観がどうにも私と相容れないということがあるのですが、この点イージスのテーマは戦争というより防衛なので、さほど抵抗なく読むことができました。それに、このお話の核となるのは主人公達の内面で、その描写がとっても爽やかで良いのです(この作家の文章は良くも悪くも爽やか)。このお話で特に好きなのは、主人公二人が「絵」でつながっているというところ。芸術って人間の中の最も純粋な部分の表れだと思うので、そういう感覚で通じ合える関係ってすごくいいなって思います。
ローレライも、せめて上下巻位できちんとまとめてあればまだ読めたんだけどなぁ…。色々詰め込みすぎだ。福井さんはあれだけの長編を描くには筆力がまだ足りないように思うのです。
写真は、横須賀の海上自衛隊。
ちなみにイージスを読むとむしょーに千葉の白浜町へ行って太平洋を眺めたくなります(笑)