ご存じ、今年8月にWEでクローズしたPhantom of the operaの続編でございます。
去年ロンドンへ行ったときに上演中だったんですけど、巷では「Love Should Die」というfacebookまで立ち上がりロイドウェバーもついにボケたか?と散々な評判だったし、なにより私自身が内容に全く惹かれなかったので観に行かなかったんですよ。
でも今回ロンドンから戻って、youtubeに山ほど上がっているbackstageの映像を観ていたら、やっぱり一度くらいは観ておいてもよかったかな?とも思ったり。なんかやたらと楽しそうだし(演じている本人たちが)。可愛いな、Sierra。でもこんなに仲がいいと、Raminの奥さん、心配じゃないんかな。
・・・・・ああ、でもやっぱりダメ(><)。やっぱりあり得ないわ、これ。ラウルの没落はまぁいいとして、百歩譲ってファントムとクリスのその後も許す(NYにいるファントムか…遠い目)。だけどだけど、マダム・ジリーのその後だけは、我慢できないっ。オリジナルのストーリーが破綻してしまうじゃない。
それにもしファントムのlairでファントムとクリスがアンナコトもコンナコトもしていたのだとしたら、最後のクリスのキスの重みが一気に軽くなってしまうではないですか(その前にもっとすごいことをしていたわけだから)。
LNDはプロットが三流の同人誌みたいって言っている人がいたけど、まったくそのとおり。
オーストラリア版のDVDもロンドン版のCDも出ているので、深く考えずに一度くらい観てもいいとは思うんですけどね。でも一度これを観ちゃうと二度と純粋な気持ちでオリジナルを楽しめなくなりそうで・・・。うーむ、どうしよっかなぁ・・・。
Ramin, Sierra and Joseph at the Stage Door
Ramin and Sierra arrive at the Adelphi Theatre
"Point of No Return"は、私がオペラ座の怪人の中で一番好きな場面です("Music of the Night"も同じくらい好きですが)。
もうどうしようっていうくらいセクシー(><)
このセクシーさは四季には絶っ対に無理!
念のため言っておきますが、決して四季全般を否定しているわけではないですよ。私も四季は観に行きますし。
でもこれは譲れない。
『劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい』というのが彼らの謳い文句ですが、3年前にロンドンの怪人を観て以来、このキャッチコピーを電車の中で見かけるたびに『ウエストエンドのオペラ座の怪人は凄いらしい(ていうか凄い)』と声を大にして言いたくなるのです。もっとも、この作品にセクシーさは不要という方にとっては、四季の方が性に合うのかもですが。
そして、映画。なぜ!なぜこの黒衣装をやってくれなかったのでしょう。なんなんですか、あの映画ファントムの怪人20面相みたいなダサい黒マスクは。この黒衣装の方が何百倍も色っぽいのに!このセクシーなシーンを露出のない衣装でやるからぞくぞくするのに!顔も体も隠して、手と声と仕草だけで怪人の感情が表現されるところが美しいのに!そりゃあジェラルド・バトラーはイケメンですから顔を隠すのが惜しかった監督の気持ちもわからなくはないですが、芸術的センスはゼロだと思います。あの映画はそんなに嫌いじゃないですが、あのシーンだけはいただけません。
と語りつくしてすっきりしたところで。
以下、ウエストエンドの(ここ数年の)4人のファントムによる、Point of No Return比べです。
こうして並べてみると、同じシーンなのにそれぞれ個性があって面白い。
この場面のファントムの何が良いって、クリスティーヌに触れる手つきのエロさ、そのくせ彼女から挑発的に誘惑されると戸惑いと歓びを隠し切れないその初心(うぶ)さ、そして追い詰められた小動物のような必死さでしょう。ああもぅ、このギャップがたまらない…!この緊張感がたまらない…!観ていて胸がきゅんきゅんしっぱなし(><)。このツンデレ君め。
(1)まずは3年前に観た、Ramin KarimlooとGina Beckのカップル。
Raminの演技は力強くて、なのに繊細で、引き込まれますね。そしてとても自然で、ファントムになりきってる。Ginaも顔も声も美しくてクリスティーヌの化身のようです。当時ロンドンでこれを観たとき、「目の前にファントムとクリスティーヌがいる」と本気で錯覚したことを覚えています。最後には自分がロンドンにいることさえ忘れたほどでした。
ただRaminは、クリスにマスクを剥がれた後の「Nooooo!!」のタイミングが、早すぎる気がするのでございます(25周年でも同様)。これではまるでマスクを剥がれるのが分かっていたみたいに見えてしまう。こういう場合、一瞬呆然となるのが人間の自然な反応ではないでしょうか。ほんとうに0.5秒位のレベルの話なんですけどね…、それでも気になる…。他の部分の演技が完璧なだけに。
(2)お次は、今回観たEarl Carpenter。Sofiaとの映像がなかったので、クリスティーヌはRachel Barrelです。
ってRachel、自ら指輪を取りに行ってる…!?上のGinaはRaminから嵌められてますよね。私もここはすっかりそういうものと思い込んでいたんですが(プチ混乱)。このシーン、クリスも意外と積極的ということか。まぁ、既に〝beyond the point of no return"なわけですしね。だとしても、このRachelの演技はちょっと積極的すぎる気がするが…。大事な指輪を取り返しているという解釈もできなくもないけど…(それならなぜ最後にファントムに返すのか)。ま、いいや。今はEarlです、Earl。
実際の舞台でも感心したけど、彼は手や指先の仕草が本当に美しい。Earlの手の指が長くすらっとした美しさに比べると、Raminのは指が短くて可愛い系(笑)であることがよくわかる。そしてEarlは非常に紳士的なファントム。演技もRaminとはまた違った意味で良い。フードをとられて慌てて去ろうとするけれど、目の前のカーテンを見つめ立ち尽くす後姿。このカーテンの後ろに何があるかをもちろん彼は知っているから。彼はもう後には引けないところまで来てしまっている(past the point of no return)のです。そして歌い始める『All I ask of you』。ああ…たまらない(><)。もっとも先日のEarlはこの頃とは色々な点で演技を変えていました。役者も一生懸命考えて工夫しているんですね。
あとEarlはクリスにマスクを剥がれる時の演技もいいと思います。一瞬唖然としてから、「No!!」。そうそう、こういうのが自然な反応だと思うのですよ。
(3)やはり今回観たScott Davies & Sofia Escobarのカップル(音声のみ)
(4)最後はJohn Owen-JonesとCelia Grahamです。
JOJ、やっぱり歌うまいなぁ。そしてやっぱり体は丸いな…。
あ、Celiaも自分で指輪を嵌めてる(Rachelほど露骨じゃないけど)。
"To love another person is to see the face of God."
ジャン・ヴァルジャンのような苦しみに満ちた人生を歩んできた来た人が、最期に言うのがこの言葉というのが・・・もう・・・。
ユーゴーの原作のラストを思いながら聞くと・・・うぅ・・・(T T)
大好きな言葉です。
ユーゴーが『レ・ミゼラブル』の着想を得たのは、1820年に死刑囚がギロチンにかけられるのを見たときだと言われています。それ以来、ユーゴーは、貧困から盗みに走った民衆が、過酷な法律によって更生への道を閉ざされ、最後はギロチンの露と消えるという現実に国民の目をむけさせる方法はないかと考えるようになりました。…ただ、ここでひとつ注意しなければならないのは、「愛」に目覚めたジャン・ヴァルジャンが、聖職者ではなく実業家になって、人々に生活の糧を与えたことです。これは、ユーゴーの説く「愛と正義の社会」がキリスト教でも共産主義でもなく、公正な原理に基づく資本主義だったことをよく示しています。…
ところで、ジャン・ヴァルジャン、ファンテーヌ、コゼットの三人が「レ・ミゼラブル」という言葉の片方の意味、つまり「虐げられた人々」をあらわしているとしたら、「レ・ミゼラブル」のもうひとつの意味、すなわち「見下げ果てた奴、憎むべき人々」を代表するのは、テナルディエ夫妻と刑事のジャヴェルです。
テナルディエは、貧困が生んだ負の側面を象徴する小悪党で、…ジャヴェルは、ジャン・ヴァルジャンとほとんど同じような悲惨な境遇に生まれながら、自らの出身階層を嫌悪し、その憎しみから権力に盲目的な愛を捧げるようになったという複雑な一面をもっています。
このように、『レ・ミゼラブル』は、善悪の差はありながら、いずれも、貧困ゆえに社会の荒波に翻弄される人々をえがいています。ユーゴーは、勧善懲悪の思想から『レ・ミゼラブル』を書いたのではありません。個人の意志を越えたところで、人々の運命を決めてしまう「貧困」こそが、あらゆる社会悪の根源だと訴えているのです。
今日でも、私たちの社会は、理想からはまだ遠いところにいることはたしかです。凶悪な犯罪は多いし、社会の不平等がなくなったわけではありません。一度、犯罪を犯して失敗した人が再び人生にチャレンジできるような仕組みにもなっていません。
しかし、それでも、わずかですが進歩はありました。ユーゴーのような人が、勇気をもって、社会のさまざまな「悪」を告発したからです。しかも、それが『レ・ミゼラブル』という、だれが読んでもおもしろい波乱万丈の物語によって行われたことに意義があります。
(岩波少年文庫『レ・ミゼラブル』解説より。フランス文学者 鹿島茂)
マイナーな話題ばかりですみません。
まだウエストエンド熱が冷めていないもので。。
またまたYoutubeですばらしい動画を見つけちゃいました!いやぁ、いい時代になったものですね。
O2ドームで昨年行われたレミゼ25周年記念コンサートは日本でもDVDが発売されていますが、その中の「Drink with me」のアンジョルラス(Ramin Karimloo)とグランテール(Hadley Fraser)の場面で、めっちゃ良いところでカメラが他の学生達へ切り替わってしまい、テレビの前で絶叫したお嬢様方は数知れず…のはず(少なくとも私は本気で編集者を呪いましたよ)。
そんな方達のための動画です。
これ撮った人、グッジョブすぎる。歌い手はとっくに他に移っているというのに、アンジョルラスとグランテールにカメラを固定しつづけたその根性。すばらしい。できればあともうちょっと頑張ってほしかったけど、それは贅沢というものか。
Drink with me (Les Miserables in Concert -The 25th Anniversary, O2 London, 3 Oct)
こんなの↓、見つけました。
旅行中にあちらでテレビ放映されていたものです。
最初の挨拶はご存じ、作曲家Andrew Lloyd Webber。
4人のファントムは、基本の立ち位置で、左から順にRamin Karimloo, Earl Carpenter, Simon Bowman and John Owen-Jones。
25周年ではサラ・ブライトマンが5人のファントムから「Sing for me!」と迫られていましたね。このシチュエーション、カッコいいのだけどなんか笑えてしまうのは私だけでしょうか。いや、会社の同僚もこのシチュは思わず笑いそうになったと言っていたので、やはりここは笑っていいところなのだと思います^^
ちなみにこのRaminの「grows stronger↑ yet」と"stronger”の語尾を上げる歌い方は彼特有のもので、当然3年前に観たときにもやっていたわけですが。これねぇ…、Rock調、というよりもまるで懐メロのムード音楽の歌唱のようで、私は全くいいと思えないんですよねぇ……(ファンには人気があるようですが)。ファントムの歌い方にしては俗っぽくないですか?3年前もこの瞬間だけ気持ちがぐいっと現代に引き戻されてしまったので、よ~く覚えています。本当に、ここだけは私とRaminの感性は全く合わない…。25周年ではやっていませんでしたが、その方が絶対にいいよー(泣)!
そしてEarlは相変わらず理想的なファントム*^^*
[PCDWorld.co.uk] Nicole Scherzinger - Phantom Of The Opera (Royal Variety Performance - 14/12/2011)
上のリハーサル風景。
JOJ、性格よさそう^^
そして、それぞれの服の笑えるほどの季節感の無さがいかにも欧米という感じ。
Rehearsals for the Royal Variety Performance
おひさしぶりです^^
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?
私は一昨日ロンドン旅行から帰ってきたところです。
仕事の合間を縫っての旅行だったので、たったの4泊6日でしたが。。
というのも先月映画館で「オペラ座の怪人25周年記念公演@ロイヤルアルバートホール」をふと観てしまったのが全てのはじまり。
オペラ座の怪人は昔ブロードウェイで観たときはさほど感動せず(当時は英語がわからなかったせいもあるが)、劇団四季を観てもやはりイマイチ心動かされず、ロンドン留学の帰国直前にウエストエンドで観て大変感動した作品です。そしてそのときに怪人役だった方(Ramin Karimloo)がこの25周年公演で怪人を演じておりまして、映画館で観ながらウエストエンド熱が再熱してしまい、翌日にロンドン行きの航空券を衝動買いしてしまったというわけです。
思えば一昨年日本に帰ってきて、去年の秋にフィンランド&ロンドン旅行をして以来、今年は海外に行っていなかったんですよねー。
今回の目的はずばり、ミュージカルだったのですが、大満喫してまいりました!
4泊6日で6本鑑賞。自分でも阿呆じゃないかと思いますが、いいんです、好きなんだもの。今ここでお金を使わないで、どこで使うというの!
Her Majesty'sで隣に座った中国系シンガポール人の男の子も5泊7日で8本観る予定って言っていたし、意外とそういう人って多いのでは?と思うのですが。
以下、今回の鑑賞記録です。半分自分用の覚書。
興味のない方にとってはまっっったく面白くない内容なので、スルーしてくださいませ~。
それと飽くまで私の好みに基づいて書いていますので、よろしくです。音程がどうだとか、そういうことはあまり重要視して観ておりませんので。。
まず1日目。
ヒースローに着いたその足で、昨年秋に観て感動して2日連続で通ったPriscillaをソワレで鑑賞。
しかしメインキャスト3人のうち2人が変更になっていたせいか別作品のようにビミョーな出来になっており・・・
昨年観たキャストは、Ben Richards, Oliver Thornton, Don Gallagherのトリオだったのですが、このうち今回もいたのはOliver Thorntonのみ。Don Gallagherはこの日はおらず、代役だったのです。この代役の方は女性らしさが出すぎていて、私の好みではなく・・・。
何より、ミッチー役のBen Richardsが抜けたのが・・・(チケット取った時点で知っていましたが)。昨年も彼見たさに連続で通ったようなものでした。BenとOliverの仲のいい兄弟みたいなじゃれあいがとっても微笑ましくて。現ミッチーのRichard GrieveとOliverとの間にはそういう雰囲気が見られず。。。
また今回は全体的に客の年齢層が高く、それはまぁよいのですが、なんだか品がなかったのです・・・。昨年はBen&Oliverファンの若い女の子達がたくさんいて、劇場の雰囲気がすごく良かったんですよ。それに今回の観客、『町から出ていけオカマ』ってスプレーされたプリシラ号を3人が見つけるシーンで大爆笑。。。欧米ではよく遭遇するこの現象。昔アメリカで映画タイタニックを観たときも、傾き始めた船の甲板でカルテットがあの感動的なメロディを演奏するシーンで爆笑が起きて、吃驚したものです。ときどき彼らのユーモアの感覚が本気でわからなくなるワタクシ・・・。まあそういう人達ばかりでないことも承知しておりますが。
というわけで今回は£65捨ててしまったようなものだけれど、キャストによってこれほど出来が変わるということがわかってよかったかも。昨年2回観ておいて本当によかった。
プリシラはウエストエンドでは今月末でクローズです。
★昨年のキャストによる動画は、こちら。
2日目は、ソワレでLes Miserablesを鑑賞。
Ramin Karimlooによるジャン・ヴァルジャンと、25周年でグランテール役だったHadley Fraserによるジャヴェールです。これは素晴らしかった!正直Raminのヴァルジャンってどうなのかな…と期待半分不安半分だったのですが(若すぎるし)、かなりよかった!DVDで観た25周年ヴァルジャンのAlfie Boeは19年監獄で過ごした男にしてはソフトすぎるような気がしていたので、より厳しい雰囲気が漂うRaminヴァルジャンは私好みでした。伸び放題の髭とぼろぼろの囚人服がやたらと似合っていて、鬼気迫る演技が素晴らしい!この冒頭シーン、もっともっと観ていたかったな~。そしてファンテーヌをベッドに寝かせるときの優しい仕草。また少女コゼットを相手にしていても何故かセクシーなRamin、さすがだ笑。『Bring Him Home』も美しくて優しい声で良かったです、感動しました。『One Day More』はもうちょい力強く歌ってほしかったかな(この曲は全員が力強く歌ってほしい)。Ramin、出そうと思えばもっと声でるはずなのに、なんでだろう。ああいう演技なのかしら。Raminの声で力強いOne Day Moreがもっのすごく聴いてみたいなぁ。
Hadleyも相変わらず素晴らしい声。彼の声、大好きです。聴き惚れる。演技も素晴らしかったよ。
そしてマリユス(Craig Mather)が、すんごい良かった。25周年のNick Jonasよりちゃんと革命家っぽく見えました(青年の初々しさと革命家っぽさを兼ね備えた演技って結構難しいと思うんです)。声も顔も演技も文句なしの理想的なマリユスでした。
コゼット(Lisa Anne-Wood)も特記する所はないけど、悪くなかったです。
エポニーヌ(Alxia Khadime)も、あれはあれでアリだと思う。声量があって、歌も上手。ソウル風な歌い方なのが気になったけど。
ファンテーヌ(Sarah Boulton@2nd cover)と司教(Adam Linstead)は微妙でした・・・。
アンジョルラス(Liam Tamne)は、声と顔はいいんだけどカリスマ性が・・・皆無で・・・(25周年のRaminが良すぎたせいか・・・)。学生達に付いていきたいと思わせるような魅力が全然ないのでなんでリーダーなのか不思議だし、彼が演じると6月暴動もただの無謀な若気の至りに見えるので、ラストの学生たちの死も感動が半減してしまいます。。。
テナルディエ旦那(Cameron Blakely)は、すごく良かった。品がある。矛盾しているようですけど、どんな下品な役でも品のある演技をする人が私は好きなのです(人間的に味のある演技というんですかね)。25周年のMatt Lucasも良かったけど。
学生は、フイイー役のScott Garnhamがとてもよかったです。声もよくとおってて。アンジョルラスの1st coverもしているんですね。観てみたいなー。
グランテールは、悪くはなかったけどまあ普通かなぁ(25周年のHadley Fraserが良すぎたせいか・・・)。って今キャストを調べたら、グランテールと司教は同じ俳優さんがやっている事実を発見(驚)!そういえば顔が同じだったわ(くちゅんとしたクマさん顔)。あ、でもこのAdam、バリケードでの演技は繊細でよかったです。ガブローシュを気にかける感じや、その他諸々。
クールフェラック(Christopher Jacobsen)はヴァルジャンの1st coverもしている俳優さんですが、あれ?なぜだ、あまり記憶にない。
全体としてキャストは大満足だったのですが、なんとなんとRed&Blackの曲の最中で音声トラブルが発生し(異音とオケの音が混じってメチャクチャ)、公演が中断。その後再開したもののオケが少々不安定で、やっぱりきちんと通しで観たいという気持ちは抑えきれず。
そして迎えた3日目。
朝イチでレスタースクエアのtktsへ行き、Les Miserablesのマチネを購入。
前から7列目の中央£85の席が£39。役者の目の表情まではっきりとわかる最高の席でした。しかも6列目にまったく人がいなかったので、視界が開けてすごく贅沢な状態(役者の真ん前すぎて、絶対に欠伸とかできない!って変な緊張もしてしまったけど)。このpremium seat、定価が高すぎるから当日まで売れ残るんですよね。私の右に座った中国人の女の子も、左に座ったイギリス人?のおじさまも、二人ともtkts購入者でした。彼らのようなミュージカルやコンサートを一人で観に来ている人って、なんか好きです。本当に好きなんだなぁって。
今回は音声トラブルもなく、RaminもHadleyももちろん前日同様の熱演(手抜きの無さは客に伝わりますよね)。それと昨日のStall左端の席と今日のStall中央の席とではオケの響き方が段違いでした。この後行ったHer Majesty'sもStall左端の席はやはり音的に酷かったですし、中央の利点って眺めだけじゃないんですねぇ(端の席は楽器の音が偏って聞こえる)。クラシックやジャズのコンサートだと好きな楽器の近くの席を取ったりしますが、ミュージカルの場合はやっぱりバランスよく聴きたい。
というわけで今回は、大大大満足の3時間でした。
興奮冷めやらぬまま、お次はThe Phantom Of The Operaのソワレへ。
White Hallのデモ隊の波に呑まれTrafalgar Sq.へも辿り着けず、警官隊に迂回路を教えてもらってようやく劇場に到着(遅刻するかと思った・・・)。騒然とした雰囲気でしたが、ポリスは皆にこやかに応対してくれました。
Phantom役はScott Davies(standaby)。彼は歌唱力は素晴らしいのですが、Phantomの解釈がなんというかオリジナリティに溢れすぎていて、うーん、どうなんだろう・・・。一言でいうと“女にまったく免疫のない純粋100%な、子供のまま大人になってしまったようなファントム”なのです。ファントムとは本来そういう人だし、過剰な官能性はもちろん不要なのですが、とはいえ少なくともカリスマ性は維持していてほしいと思ってしまう私には、このファントムは少々物足りない。決して悪くはないんです。ただ、スタンダードなファントムを何度も鑑賞して食傷気味になってきた頃に、偶にはこういう変り種もいいかもね、という位置づけかなぁ、私の中では。ケーキばかり食べていると偶には煎餅も新鮮でいいよね、みたいな・・・。だってたとえどんなに芸術的に優れていてもクリスティーヌが惹かれるような男性にはとても思えないんだもの。同情・憐憫こそあれ。そんななのでラストは、かつて観たどのファントムよりも哀れで惨めで不憫でした(しかしファントムという役は哀れなだけではいかんでしょう…と私は思うのだ)。でもオリジナリティある演技をしようという気迫はとても伝わってきましたし、大変な熱演でしたので、好感度は高い役者さんでした。
一方、クリスティーヌ役のSofia Escobarは、声も顔もとても可愛らしいクリスティーヌでした。旅行前にYoutubeで観たときはイマイチな印象だったのですが、実際に舞台で観たら全然問題なかった。YoutubeのJOJファントムとの組み合わせが合っていなかっただけなのかな(Raminとも合わなそうだけど)。Sofiaは、このScottや翌日観たEarlととても似合っていました。ただラストの指輪の返し方はGinaの方が好きだな。Sofiaは全体的に少し無邪気すぎる。
ラウル役のKillian Donnellyもなかなかよかったです。声も通ってましたし。ただ、あまり私好みの俳優ではないのよね・・・。帰国後に彼がアンジョをやった映像を観たときもそう思ったので、本当に好みじゃないんだと思います・・・。顔というより演技がどうも・・・熱すぎて・・・。決して嫌いなわけではないんですけどね(レミゼ25周年のクールフェラックはよかった)。
あとこの日はカルロッタ役が25周年でカルロッタを演じていたWendy Fergusonだったのですが、とってもキュートで魅力的でした^^。支配人役のお二人も25周年と同じ俳優さんで、こちらも素晴らしかった(このお二人、3年前に観たときも同じだった気がする)。
そして最終日の4日目。
どんなに歌がうまく独自性があっても前日のファントムがどうにも消化不良だったため、リベンジすべく朝イチでマチネのチケットを目指してBox Officeへ。なぜtktsじゃないかというと、もちろん本日のキャストを確認するためです。昨夜劇場で買ったパンフレットによると、現ファントムはEarl Carpenterとのこと(John Owen-Jonesが数日前に降板していたことは現地で知ってプチショックでした。一応有名だったので観てみたかった)。
しかし扉を開けてみると、ボードには昨夜とまったく同じキャストの名が・・・。
それでは再度鑑賞しても無意味なため、カウンターの男性スタッフに「これは今日のマチネのキャストですか?」と聞いてみると、「いや、今日のキャストはまだ決まってないよ」と。「誰を観たいの?」と聞かれたので、「昨夜Scott Daviesを観て素晴らしかったけれど、他のファントムも観てみたいので」とフォローを入れつつ答える。「2時間前に決まるから、12:30にまたおいで」と言うので、テートギャラリーをぶらぶらして、13:30に劇場に戻る。しかし壁のキャストリストには何の変化もなく・・・。さっき対応してくれた男性はいなくなっており、代わりにいた女性スタッフに再び「あの、このボードに書かれたキャストは今日のマチネの分ですか?ファントムとクリスティーヌを演じるのが誰か知りたいんですけど」と聞くと、「わからないわ…」と。え、だって今開演1時間前でしょ、もう控室に役者いるでしょ?と内心でツッコミつつ、「2時間前にはわかるってさっき言われたんだけど」と言うと、「そこのリスト、誰の名前が書かれてる?」と逆に質問される始末(彼女がいるBox officeの中からは位置的にリストが見えない)。おいおいと思いながらボードの名前を読み上げると、彼女はどこかに電話をかけて「Hello!今日のファントムとクリスティーヌは誰?」と聞いている。そして初めて「ファントムはEarl Carpenterで、クリスティーヌはSofia Escobarよ」との回答を入手。「じゃあ、チケットください」と私が言っている傍らで、ようやくキャストボードのリストを入れ替え始めるスタッフ達。このボードの配役を見て当日券を買った人(あるいは買うのを止めた人)もいるのではないかしら…と、つい要らぬ心配をしてしまいました。うーん、とってもイギリスらしい、、、懐かしい、、、(と、もはやイギリスに住んでいない今だから言える)。しかし私より前に今日のキャストを確認した客がいなかったという事実も衝撃でした。キャストってものすごく重要なのに、なぜ!?四季と同じでキャストの確認はしないのがWEのマナーなのだろうか。でもレミゼの方はちゃんとwebに主役キャストの出演日が上がってるし(劇場のキャストボードは役名の記載がなくて不親切だけど)、確認したい人は直接BOX OFFICEまでってどこかで読んだんだけどなぁ。
ちなみにチケットはRoyal Circleの前から2列目中央で、£65のものが当日割引で£40。
そしてEarl Carpenterによるマチネを鑑賞。これがね、すばらしかったのですよ!実に私好みのファントムだったんです。登場早々から「お、いいじゃないの」と目と耳は釘づけ。演技はRaminほど熱すぎず、とはいえ老成しすぎず。声も高いキーはちょっと微妙でしたが、低いキーはとてもセクシー。背がすっと高く痩せていて、仕草も紳士的。外見・声・演技力を兼ね備えたEarlは、3年前に観たRaminと共に私のイメージどおりの理想的なファントムだったのでした。もっとも正論を言ってしまえばファントムは想像を絶するほど醜い顔だから地下で生きてきたわけで、カッコいいファントムなどというのは本当は間違っているのはわかっているのです。でも一方でこのお話はファンタジーでもあるわけですから、そこまでのリアルさは不要なのでございます、私は。
他にEarlの特記するところは、手の形と動きがとても美しかった。ラスト、ラウルが地下にやってきて柵を上げるシーン。片手ですっと上げる仕草がめちゃくちゃ素敵でうっとりしちゃいました。これは今まで観たファントムの中で一番。
もういっこ。ラストの「I love you~」。Earlは、クリスティーヌから返された指輪を、“跪いて”彼女にそっと差し出しながら言うのです。これ、なかなか新鮮でした(他のファントムの呆然気味に立ち尽くすあの演技もかなり好きなので甲乙つけがたいですけど)。
日本に帰った後で知ったのですが、Earlは怪人25周年でオークショナー役、レミゼ25周年では司教役で特別出演されていたんですね。そして来年3月からのUKツアーではJOJとともに怪人役を演じるのだとか。
そんなわけでEarlファントムがすっかり気に入ってしまった私は、そのまま勢いでソワレのチケットを買うべくBox Officeへ(だって翌日には帰国なんだもの、泣)。念のため「今夜のソワレはマチネと同じキャストですか?」と確認したところ、またもや「それは何ともいえない」との回答。「何時になったらわかる?」と聞くと、今度は「随時変わるから、なんとも…」とのこと(出た、人によって回答が異なるイギリス人)。しかし私も最後の夜なので引き下がれない。「今、確かめられない?」と聞くと「随時変わるから」と同じ返答(変わるって言ったって、もうソワレ開演の2時間前よ)。変更の可能性だけでも知りたいんだけどなぁ。仕方なく「マチネとソワレで配役が変わることってよくあるの?」と聞くと「普通はそういうことはあまりない」というので、もう賭けでソワレを購入。今度はRoyal Circleの最前列をゲット(ほぼ満席だったせい?なのか割引はなし)。ちなみにこの劇場はStallよりもRoyal Circleが俄然オススメです。Stallだと劇中の演出でファントムの声が天井の上から聞こえてきて、Royal Circleは真後ろで聞こえます。またオペラ座の屋上の場面も、Royal Circleはファントムの姿を真正面に見られます。
結果的に、ソワレでのキャスト変更はなく、大大大満足の公演でした。
とはいえあれだけ人気のJOJファントム、やっぱり一度は観てみたかったな~。
そして、翌日に帰国。
ふぅ、満足満足。
ミュージカルの合間にはナショナルギャラリーやテートギャラリーで素敵な絵もいっぱい見られたし、至福至福の4日間でございました。
White Chapel Galleryのマーク・ロスコ展を見逃したのは少し心残りでしたが。3年前のロスコ展も見逃してるし…。ま、いいや。川村美術館へ行くから。
ところで今回、ロンドンの雰囲気がやたらと荒んでいる気がしたのは気のせいでしょうか。落ち着きがなくピリピリしているというか。3年前は一年間過ごしても本当に不快な経験をしたことって数えるほどだったのに、今回はたった4日間だったにもかかわらず不愉快な思いをあちこちでしました(不快だからここには書きませんが)。不景気のせいかしら…。まあ生活するのと旅行するのとでは行動場所も異なるので、そのせいもあるのかな。
いずれにしても、日本ののんびりさはやっぱり私には心地いいです。留学から帰ってきたとき、ここはパラダイスか?って思ったもんなー。おかげであれから日本が大好きになった。こんな風に自分の国の良い面&悪い面を客観的にみられるようになることは、海外生活で得られる最大の利点だと思う。
Les Miserablesが上演されているQueens Theatre
天井も素敵です
Phantom Of The Operaが上演されているHer Majesty's Theatre
ようやく情報を入手した、本日のCast。
そういえばこのHer Majesty's、やたらと写真撮影に厳しかったです。日本人観光客の女の子達、注意されまくり(なんか日本人、集中攻撃を受けていたような…)。そして"No photos, please!!"の英語が聴き取れないのか彼女達はそれでも撮り続ける、無視されたスタッフはキレる、の悪循環。Queens Theatreは休憩時間は写真撮り放題だったけどなぁ、それでいいと思うのだけれど。でもまあ規則ならちゃんと従うべきですね。そしてそんな光景を延々見せられた私は、この写真↑を撮るときロビーは撮影OKに決まっているのに怖気づいてしまい思わずスタッフのお姉さんに確認しちゃいましたよ、「内部が撮影不可なのはわかってるけど(←ここ強調)、これの写真は撮っていい?」って。「これを撮りたいの?」って何故か吃驚されたけど(なんでだ?何度も言うけどキャストは私にとって重要なんだってば!)、Yesって答えたらニッコリと「どうぞ」って。なので皆さんも、写真を撮っていい場所かどうかわからなかったら、まずはスタッフに確認しましょう。なーんてえらそうに言っている私も、今回Tubeでフラッシュをたいたら(禁止なの忘れてた)、注意されました。前から不思議なんですけど、なんでロンドンの地下鉄ってフラッシュ撮影NGなんですかね?もしご存じの方がいらっしゃいましたら、左上の拍手から教えてくださいm(--)m
クリスマス仕様のTrafalgar Square。ロンドンオリンピックのカウントダウン・クロックが設置されていました。
ツリーの周りにやたら蛍光イエローの警官が写っているのは、デモ直後のせいです。
またがんばってお金貯めるぞー。