開化を説明して何になる? とこう御聞きになるかも知れないが、私は現代の日本の開化という事が諸君によく御分りになっているまいと思う。・・・どうせあなた方も私も日本人で、現代に生れたもので、過去の人間でも未来の人間でも何でもない上に現に開化の影響を受けているのだから、現代と日本と開化と云う三つの言葉は、どうしても諸君と私とに切っても切れない離すべからざる密接な関係があるのは分り切った事ですが、それにもかかわらず、御互に現代の日本の開化について無頓着であったり、または余りハッキリした理会(りかい)をもっていなかったならば、万事に勝手が悪い訳だから、まあ互に研究もし、また分るだけは分らせておく方が都合が好かろうと思うのであります。
そもそもなぜ「開化」ということが起こるのか、から漱石は話します。
それは、人間の本質として、面倒なことに対してはできるだけ活力を節約しようとする「消極的な活力節約」と、楽しいことに対しては惜しみなく活力を消耗しようとする「積極的な活力消耗」とが互いに並び進んで、コンガラカッて変化して行って、複雑極りない開化と云うものができるのだ、と漱石は考えます。
そしてまず、「一般的な開化」の性質について次のように言います。
元来なぜ人間が開化の流れに沿うて、以上二種の活力を発現しつつ今日に及んだかと云えば、生れながらそう云う傾向をもっていると答えるよりほかに仕方がない。これを逆に申せば、吾人の今日あるは全くこの本来の傾向あるがためにほかならんのであります。なお進んで云うと、元のままで懐手をしていては生存上どうしてもやり切れぬから、それからそれへと順々に押され押されてかく発展を遂げたと言わなければならないのです。してみれば古来何千年の労力と歳月を挙げてようやくの事現代の位置まで進んで来たのであるからして、いやしくもこの二種類の活力が上代から今に至る長い時間に工夫し得た結果として、昔よりも生活が楽になっていなければならないはずであります。けれども実際はどうか? 打明けて申せば、御互の生活ははなはだ苦しい。昔の人に対して一歩も譲らざる苦痛の下に生活しているのだと云う自覚が御互にある。否開化が進めば進むほど競争がますます劇(はげ)しくなって、生活はいよいよ困難になるような気がする。・・・この開化は一般に生活の程度が高くなったという意味で、生存の苦痛が比較的柔げられたという訳ではありません。ちょうど小学校の生徒が学問の競争で苦しいのと、大学の学生が学問の競争で苦しいのと、その程度は違うが、比例に至っては同じことであるごとく、昔の人間と今の人間がどのくらい幸福の程度において違っているかと云えば――あるいは不幸の程度において違っているかと云えば――活力消耗活力節約の両工夫において大差はあるかも知れないが、生存競争から生ずる不安や努力に至ってはけっして昔より楽になっていない。否、昔よりかえって苦しくなっているかも知れない。昔は死ぬか生きるかのために争ったものである。それだけの努力をあえてしなければ死んでしまう。やむをえないからやる。のみならず道楽の念はとにかく道楽の途(みち)はまだ開けていなかったから、こうしたい、ああしたいと云う方角も程度も至って微弱なもので、たまに足を伸したり手を休めたりして、満足していたくらいのものだろうと思われる。今日は死ぬか生きるかの問題は大分超越している。それが変化して、むしろ生きるか生きるかと云う競争になってしまったのであります。生きるか生きるかと云うのはおかしゅうございますが、Aの状態で生きるかBの状態で生きるかの問題に腐心しなければならないという意味であります。・・・早い話が今までは敷島か何か吹かして我慢しておったのに、隣りの男が旨そうに埃及煙草(エジプトたばこ)を喫(の)んでいるとやっぱりそっちが喫みたくなる。また喫んで見ればその方が旨いに違ない。しまいには敷島などを吹かすものは人間の数へ入らないような気がして、どうしても埃及へ喫み移らなければならぬと云う競争が起って来る。通俗の言葉で云えば、人間が贅沢になる。・・・かく積極消極両方面の競争が激しくなるのが開化の趨勢(すうせい)だとすれば、吾々は長い時日のうちに種々様々の工夫を凝し智慧を絞ってようやく今日まで発展して来たようなものの、生活の吾人の内生に与える心理的苦痛から論ずれば、今も五十年前もまたは百年前も、苦しさ加減の程度は別に変りはないかも知れないと思うのです。それだからしてこのくらい労力を節減する器械が整った今日でも、また活力を自由に使い得る娯楽の途(みち)が備った今日でも、生存の苦痛は存外切(せつ)なもので、あるいは非常という形容詞を冠らしてもしかるべき程度かも知れない。これほど労力を節減できる時代に生れてもその忝けなさが頭に応えなかったり、これほど娯楽の種類や範囲が拡大されても全くそのありがたみが分らなかったりする以上は、苦痛の上に非常という字を附加しても好いかも知れません。これが開化の産んだ一大パラドックスだと私は考えるのであります。
以上が漱石のいう、日本に限らない「一般的な開化」の性質です。
漱石は「開化」そのものについては、人間の生まれながらの性質によるものであるとし、特に良いとも悪いとも言っていません。しかし遥か昔から今日までどんなに開化が進んでも、我々の心は大して幸福になっていないように思う、と言います。
そして日本の場合は、その上にさらに特殊な事情が加わる、と漱石は続けます。
一般的な開化(たとえば現代の西洋の開化)が長い時間をかけて内側から自然に進化してきた「内発的」なものである一方、現代(明治44年現在)の日本の開化は維新により西洋から突如もたらされた「外発的」なものである、と。
元々開化が甲の波から乙の波へ移るのはすでに甲は飽いていたたまれないから内部欲求の必要上ずるりと新らしい一波を開展するので、甲の波の好所も悪所も酸いも甘いも甞め尽した上にようやく一生面を開いたと云って宜しい。したがって従来経験し尽した甲の波には、衣を脱いだ蛇と同様未練もなければ残り惜しい心持もしない。のみならず新たに移った乙の波に揉まれながら、毫も借り着をして世間体を繕っているという感が起らない。ところが日本の現代の開化を支配している波は西洋の潮流で、その波を渡る日本人は西洋人でないのだから、新らしい波が寄せるたびに自分がその中で食客(いそうろう)をして気兼をしているような気持になる。新らしい波はとにかく、今しがたようやくの思で脱却した旧い波の特質やら真相やらも、弁(わきま)えるひまのないうちにもう棄てなければならなくなってしまった。
・・・これを一言にして云えば、現代日本の開化は皮相上滑りの開化であると云う事に帰着するのである。・・・しかしそれが悪いからお止しなさいと云うのではない。事実やむをえない、涙を呑んで上滑りに滑って行かなければならないと云うのです。
あのような開化はすべきでなかったとか、今からでも維新前の生活に戻るべきであるとか、そのような話は非現実的である以上(そして開化は止められるものではない以上)、議論しても仕方のないことである、ということだと思います。また漱石は維新前の日本を素晴らしいものであったと全面肯定しているわけでも、もちろんありません。
そして「現代日本の開化」に対して漱石の出した結論は――
開化と云うものがいかに進歩しても、案外その開化の賜として吾々の受くる安心の度は微弱なもので、競争その他からいらいらしなければならない心配を勘定に入れると、吾人の幸福は野蛮時代とそう変りはなさそうである事は前御話しした通りである上に、今言った現代日本が置かれたる特殊の状況に因って吾々の開化が機械的に変化を余儀なくされるためにただ上皮を滑って行き、また滑るまいと思って踏張るために神経衰弱になるとすれば、どうも日本人は気の毒と言わんか憐れと言わんか、誠に言語道断の窮状に陥ったものであります。私の結論はそれだけに過ぎない。ああなさいとか、こうしなければならぬとか云うのではない。どうすることもできない、実に困ったと嘆息するだけで極めて悲観的の結論であります。こんな結論にはかえって到着しない方が幸であったのでしょう。真と云うものは、知らないうちは知りたいけれども、知ってからはかえってアア知らない方がよかったと思う事が時々あります。・・・ではどうしてこの急場を切り抜けるかと質問されても、前申した通り私には名案も何もない。ただできるだけ神経衰弱に罹らない程度において、内発的に変化して行くが好かろうというような体裁の好いことを言うよりほかに仕方がない。
それならばなぜ、漱石はこのような講演を行ったのか。
それは「理解していた方が都合がよい」からということもありましょうが、なによりも突然の「開化」に盲目的に浮足立っている国民に対し、一度冷静にその性質を見つめ直し、自分達の現在ある状況をしっかりと理解しておくことが必要である、と漱石は言いたかったのだと思う。
たとえその上滑りの開化の上に成り立つ将来が悲観的なものであったとしても(少なくとも漱石はそう感じていた)、国民が無自覚なままであるよりも遥かにこの国の未来のためになるであろうと思ったのだと思う。
漱石が和歌山でこの講演を行ってから100年。
世界における日本の立場も、日本人の自国や外国の文化に対する意識も大きく変わりました。
それでもなお、漱石の言葉や視点には現代の我々が読むべきものが、現代の私達にも通じるものが大いにあると、私は思うのです。
ちなみにこの講演の中で私のスキな言葉はこれ↓笑
学者は分った事を分りにくく言うもので、素人は分らない事を分ったように呑込んだ顔をするものだから非難は五分五分である。
※上記引用文は、読みやすいように句読点を足しました。
ぼくは、せっかくヨットがあるんだから、ヨットをあやつれるようにならなくちゃいけないんだ、と、ヘムレンさんは思いました。
でも、ヨットを習っているひまなんて、ちっともないんだ・・・・・・。
ふいに、ヘムレンさんには、なんだか自分は、朝から晩まで、あれこれ、もののおき場所をかえたり、人に、それは、どこにおくほうがいいなんていってばかりいるように思えてきました。
すると、ふと、自分がなんにもしなくなったらどうなるんだろう、という気がしました。
「たぶん、いまとちっともかわりやしないさ。ほかのやつが、また、だれか、せわをやきはじめるだけさ」
そう、ひとりとごとをいって、ヘムレンさんは、歯ブラシをコップの中にもどしました。
と、いま、自分のつぶやいたことに、自分で気がついて、ぎょっとしました。すこし、こわくなってきました。
*****
「きみに、うちあけることがあるんだよ。海に出たのは、こんどが生まれてはじめてなんだ」
(中略)
「ヨットって、おっかないんだ」
と、ヘムレンさんはいいました。
「死にたいくらい、気持ちがわるくなって、ずっとびくびくしどおしだったんだ。わかるかい」
ホムサ・トフトは、ヘムレンさんの顔を見ていいました。
「そりゃ、とってもおっかなかっただろうね」
「そうともさ」
と、ヘムレンさんは、そういってくれたのを、ありがたそうにあいづちをうちました。
「だけど、ぼくは、スナフキンには、そのことを、ちっとも気づかせなかったんだぜ。あいつは、ぼくが、大風をものともしないで、りっぱだと思っていたにちがいないんだ。ぼくは、正しくかじをとったからね。だけど、ぼくは、いまになってわかったよ。ぼくはもう、ヨットにのらなくていいんだ。おかしいだろう。もう、二度とのる必要がなくなったってことがわかったんだ」
ヘムレンさんは鼻をもちあげて、心の底からたのしそうに、大声をだしてわらいました。
彼は、ふきんで鼻をかむと、こういいました。
「さあ、また、からだがあったまってきた。くつしたと長ぐつがかわいたら、ぼくはさっそくうちへ帰るよ。うちには、おいしいソースがたっぷりあるんだ。かたづけなくてはならないことも山ほどあるし」
「そうじをするのかい」
と、トフトはききました。
「もち、するもんか」
と、ヘムレンさんは、大声をあげました。
「ぼくが、かたづけをするってのは、ほかの人のものなんだ。どうやってとっておけばいいのかわからなくて、そして、自分ひとりで、うまくかたづけられない人が、けっこうおおいんだよ」
(トーヴェ・ヤンソン 『ムーミン谷の十一月』)
そうして彼らは、ふたたび日常に帰っていく。
なにも変わらない、でもこれまでとはちょっぴり違う日常に。
そのためにヘムレンさんには、今ヨットに乗ることが、どうしても必要なことだった。
スナフキンにはそれがわかっていたんですね。
ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の定期演奏会に行ってきました。
今年2月のミューザでのバレンボイム×シュターツカペレ・ベルリンのブルックナー8番が少々消化不良だったため(4番はよかったです)、帰宅後リベンジのつもりで買ったのが今夜のチケットでした。日本の楽団の演奏会を聴くのは、これが初めて。
指揮者もオケも大変に集中力が高く、この作品への気合いが強く伝わってきた、とても気持ちのいい演奏会でした。
ノットさんがブルックナーに感じるという「クレイジーさ」@プログラムも感じることができましたし、金管は崩壊寸前まで鳴らしてくださいましたし(ぶらぼ~♪でもほんと崩壊ギリギリ^^;)、美しいところはしっとりと繊細に。ブルックナーの作品の心を大切にしつつ、決して無難な守りに入ることもなく(これ素晴らしいと思った)。
でも・・・私は残念ながら心の奥底から熱くなることはなく・・・
贅沢な願いではあるかもしれませんが、ここまで連れて行ってくださるのなら、あともう一歩先の景色まで見せていただきたかった、というのが正直な感想でございました(えらそうにすみません)。最後の一歩が内側にとどまってしまっているように感じられたんです・・・。日本のオケの限界なのかなぁ・・。
でも、本当に良い演奏会ではあったのですよ。
第3楽章なんて非常に美しくてうっとりしちゃいましたし。第四楽章も最後まで息切れすることなく、しっかり以上のものを見せてくださって。もっともこの辺りは2月のシュターツカペレ・ベルリンも割とよかったので、ブルックナーの楽譜の力によるところも大きいのではなかろうか、とも思ったり(いつかダメな演奏に出会ったらこの有難さがわかるのかもしれません)。好みという点では、今回の方が清廉さが感じられて好みだったかな。
そういえば、東京交響楽団の音はシュターツカペレ・ベルリンに比べて、明るく乾いた音に聞こえました。同じ曲でも全然違う風に聴こえて、素人の私には面白かったです。それぞれの良さも感じることができたように思う。
会場はすごい盛り上がりでしたね。3回目くらいのカテコ(って言わないのかな?)で席を立って、お手洗いに行って、出てきてもまだブラボーの嵐がロビーまで聞こえていました。一般参賀もあったそうで。自分との温度差にプチ疎外感(^_^;)
とはいえ生ブルックナーはやっぱりいいなぁ。鬱屈した気分のときに聴くと、心が洗われる。
第八番も、四楽章ラストのジャーン・ジャ・ジャ・ジャーンの繰り返しだけは野暮ったい感じがしてあまり好きではありませんが(最後が好きじゃないのって結構残念)、他は全部好きです。
今年はもうオケのチケットは買っていないのだけれど、今夜行ったらやっぱり楽しくて、もっと行きたくなってしまった。
あ、そうそう。ノットさんって、素敵な方ですね。指揮から誠実さが伝わってきて、その誠実な熱さは心に響きました。定期的に振ってくださっているみたいですし、今度はホームグラウンドのミューザにでも行ければいいな。
※今回はノヴァーク版第二稿でした。覚書。
I ♥ MUSICALS、昼公演に行ってきました。七夕の日に一日だけの開催
ピーターの音頭で「I love musicals」と会場中で叫んで始まった今回のコンサート。
・・・ワタシはここにいてもいいのかしら・・・?と少々戸惑いながらも、楽しかったです~
Prince of Broadwayもソロコンサートも行っていないのでラミンの生歌を聴くのは久しぶりでしたが、ラミン良かった~~~。
今回シエラが代役に決まったことでチケットを買ったのですけど(4starsのときの二人の雰囲気がとてもよかったので)、初っ端の「Why God Why?」で、ゴメンナサイあなたは単体でも十二分に価値のある方だったわ、ということを思い出しましたです。甘いのに力強い歌声と表情に一瞬で引きこまれてしまった。フルオーケストラ(東京フィル)のアレンジも迫力あったし、バックのヘリ映像も盛り上げてくれました~。
彼は4starsのときよりも今回の方が、なんだろう、寛いだ良い空気を感じました。そして相変わらずこの人はシエラと一緒にいるととっても楽しそう。3年前にも思いましたが、ラミンってシエラのことが大好きなのが表情に出てますよね。そしてシエラの方は相変わらず男前笑。今回の二人の「The Phantom of the Opera」、素晴らしかったぁ・・・。4starsのときはHer Majesty’sのラミンを思い出したものだったけれど、今回は25周年公演の感覚がもろに蘇りました(これは生では観てないけど)。二人とも、全幕ほどではなくとも、かなり役に入りきって歌ってくれましたね~。ロイヤルアルバートホールにいる気分になれた~。そしてやっぱりラミンの怪人はsensitiveでエロくて大好き!Her Majesty'sの夜から8年、まさか彼を武道館で観る日がくるとは思ってもみなかったなぁ・・。
ノームと歌った「Lily's Eyes」もよかった。秘密の花園、すごく観てみたいです。
「One Day More」で彼のアンジョが聴けたのも嬉しい驚きだったけど、個人的にはヴァルジャンの思いっきりな「ワンデーモォー――――!」が聴けたのが嬉しかった。私がウエストエンドで観たときはこの声がまだ出し切れていない感じだったので、ああこれこれ、これが聴きたかったの~~~!と。それにしてもこのメンバーでのOne Day Moreのスペシャル感&ゴージャス感ときたら・・・。
というわけでラミンも素晴らしかったけど、シエラ!今日の怪人のタイトルソングのあの感動はシエラあってこそ!喉の調子も絶好調でしたね。そしてそして「Love Never Dies」のあの歌声・・・。同じ会場にラミンはいるし、さっき二人でPOTO歌ったばかりだし、「僕にとってクリスティーヌは彼女だけです」なんて紹介されてから歌うものだから、これを聴いてウルっとこない方がムリというもの。演技もしっかりLNDのクリスティーヌとして歌ってくれて、やっぱりシエラ大好き~。正直数年前より一回りたくましい体になったかナ・・・?とか感じましたケド、「Part of Your World」も変わらずキュートだったし、「Cabaret」かっこよすぎでしたし(こういうの似合う!)、新妻さんとの「I Know Him So Well」もすんごく素敵で、んもうシエラ好き好き!プログラムでジャベールをやってみたいって言っていたけど、絶対似合うと思う
新妻聖子さんも、素晴らしかった。今回は、「日本人もすごい!」って心から思いました(そういう気概で舞台に立ったって、公演後のインタビューで仰っていましたね)。「命をあげよう」のキムも、「Tonight」のアニタもよかったけど、個人的に「おお」と驚いたのは、「One Day More」のエポニーヌ。歌声を聞いた瞬間に「ああエポニーヌだ」って感じました。帰宅してから知りましたが、エポニーヌは彼女の最初の出世作だったのね。オーディションで5000人の中から選ばれたのだとか。この曲ではピーターと一緒にテナルディエ夫妻も兼任して(二人とも可愛え)、盛り上げてくださいました
ノーム・ルイス。日本は初めてとのことでしたが、すごく楽しそうな笑顔で歌ってくれて、なんて素敵なジェントルマン!なのに、「Stars」のジャベールではジャベールそのもので(25周年のあの声~~~) 。本当に皆さん持ち役を歌った途端にオーラが変化する様はぞくぞくします。ほんっと素晴らしくて、だからこそ、この曲はフルで聴きたかったわ・・・(ラミンのBHHも・・・)。
シエラとの鎌倉リトルマーメイド写真&長谷寺小芝居動画@インスタも可愛かったですね~二人とも大好き!
ピーター・ジョーバック。このI Love Musicalsは、元々は彼があちらで主催しているコンサートシリーズだったんですね。ピーターはPOTO25周年のときはあまり好みのタイプの声ではないかなぁと思っていたら、今日の「Gethsemane」・・・!おお、この人の魅力はこういうところにあったのか・・・ ラミンも「自分にはとてもこの曲をこんな風には歌えない」と言っていましたけど(台本で)、まさにこの曲では一人で武道館を制していましたね~。ブラボー!そんな衝撃的&感動的なパフォーマンスの直後に、ラミンとのあのコント笑(ラでも俺の方が歌上手いけどね~、ピでも俺はBWとWEの両方で怪人やったんだぜ~、ラ俺なんかALWに直々に25周年の怪人に指名されたし~、ピ俺はトニー賞で歌ったんだぜ~、ラ俺なんかトニー賞にノミネートされちゃったからね~、ピでも取れなかったよね?etc)。からの「You're Nothing Without Me」。二人ともなんてなんてカッコ可愛いの!この曲の後だったと思いますが、ラミンがピーターに敬意を表すようにしっかり頭を下げて握手していたのが印象的でした。
彼は、新妻さんと歌った2曲もよかったなぁ。とても合ってた。「Last Night of the World」は4starsでラミンとレア・サロンガが歌ったのがごっつぅ好みだったのですけど、今回の二人はまた違う雰囲気で、ピーターが優しそうなクリスで、こちらも愛があってよかったです。
みんなそれぞれ忙しい中での来日でしょうに最高のパフォーマンスを全力で見せてくれて。鳥肌がたつほどの迫力なのに、舞台上の5人の空気はとてもフレンドリーで温かで、お互いが尊敬し合っているのが伝わってきて。「本物のプロフェッショナルのエンターテイナーだなぁ」と感じました。とても楽しい時間でした。ありがとう!またぜひみんなで来てね(*^_^*)
――とはいえ。
これも毎度のことですが、、、やっぱり彼らの全幕ものの舞台が観たくてたまらないですーーー・・・・・・。コンサートではなく、全身全霊で演技をしている彼らが観たい・・・。それならまたあっちに観に行けばいいのだけれど、最近はテロ的な意味でも気が引けるし、お財布的にもすでに限界超えだもの・・・
そうそう。ラストの「Climb Ev'ry Mountain」、前にも書きましたが1年間のロンドン生活を終える最後に観た色んな思い出のつまったミュージカルで、あれから8年目にしてこの曲をこの人達の歌声で聴いて、なんか、もう一度しっかり頑張んなきゃいけないなぁと思わされました。感動というより、かなり耳に痛かった うん、頑張ろ
あ、もいっこ書き忘れていた。ファントム3人による「Music of the Night」は至福の言葉以外にないひとときでした。美しかった・・・。
セットリスト(60分~休憩20分~80分)
【Act 1】
1. Everybody Says Don't (『エニワン・キャン・ホイッスル』 ) ピーター、ノーム、ラミン、シエラ
2. Overture
3. Why God Why?(『ミス・サイゴン』) 昼:ラミン
4. Last Night of the World(『ミス・サイゴン』) 昼:ピーター、聖子
5. 命をあげよう(『ミス・サイゴン』) 聖子
6. Part of Your World (『リトル・マーメイド』) シエラ
7. Out There(『ノートルダムの鐘』) ノーム
8. Luck Be a Lady(『ガイズ&ドールズ』) 昼:ラミン
9. ガーシュウィン・メドレー ~I got Rhythm / Nice Work If You Can Get It / Fascinating Rhythm シエラ、ピーター、ノーム
10. Lily's Eyes (『秘密の花園』) ラミン、ノーム
11. Being Alive(『カンパニー』) 昼:ピーター
12. A Boy Like That / I Have a Love (『ウエスト・サイド・ストーリー』) シエラ、聖子
13. Tonight(Quintet) (『ウエスト・サイド・ストーリー』) 全員
【Act 2】
1. 『キャバレー』&『シカゴ』メドレー~Willkommen ピーター / Cabaret シエラ / All I Care About ノーム / All That Jazz 聖子
2. Kiss of the Spider Woman (『蜘蛛女のキス』) ピーター
3. The Phantom of the Opera(『オペラ座の怪人』) ラミン、シエラ
4. The Music of the Night(『オペラ座の怪人』 ノーム、ラミン、ピーター
5. I Know Him So Well(『チェス』) シエラ、聖子
6. Overture / Nothing Gonna Harm You / Johanna(『スウィニー・トッド』) ノーム、聖子
7. Gethsemane(『ジーザズ・クライスト=スーパースター』) ピーター
8. You're Nothing Without Me(『シティ・オブ・エンジェルズ』) ラミン、ピーター
9. Entr'acte, Sunset Boulevard(『サンセット大通り』) ラミン
10. Love Never Dies(『ラブ・ネバー・ダイ』) シエラ
11. I Got Plenty O' Nuttin'(『ポギーとベス』) ノーム
12. Come What May(映画『ムーラン・ルージュ』) ピーター、聖子
13. 『レ・ミゼラブル』メドレー~Stars ノーム / Bring Him Home ラミン / One Day More ラミン(アンジョルラス&ヴァルジャン)、シエラ(コゼット)、ピーター(マリウス&テナルディエ旦那)、聖子(エポニーヌ&マダム・テナルディエ)
14. You'll Never Walk Alone / Climb Ev'ry Mountain (『回転木馬』『サウンド・オブ・ミュージック』) 全員
4Stars Medley
3年前の懐かしの映像。ラミンもシエラも若い!
4Stars 6/21
こんなのも見つけた♪ 城田くん、今回も夜の部の客席にきていたそうですね。シエラも帝劇にエリザベートを観に行ってましたし、本当に仲よしさんなのね^^
※West End Frame Big Interview: Ramin Karimloo
"Love Never Dies" LND LONDON CAST!
よ~~~~~うやく観ましたですよ、『Love Never Dies』のDVD@メルボルンキャスト。
今週木曜日のI LOVE MUSICALSの予習です(行きます!)。
まあこの作品については山ほど言いたいことはございますが・・、不覚にも涙が出てしまった。。
涙ポイントはやっぱり、ファントムの「Till I Hear You Sing」と、クリスティーヌの「Love Never Dies」ですねぇ。
マダムジリーやメグやラウルが、最後にちゃんと自分を取り戻して終わる(よね?)のもよかったな。その代償は大きすぎましたけどね・・。
オリジナルキャストのラミンとシエラがウエストエンドでこれをやっていたとき、私はロンドンに行っていたのよねぇ・・。当時少し迷ったのだけれど、どうにも内容が受け入れ難かったのもあり、プリシラを選んだのであった。あのプリシラキャストはほんと~~~に素晴らしかったので後悔は微塵もないけれど、やっぱりこの二人のLove Never Diesも観てみたかったナと今回のDVDを観て少し思いました(もちろんメルボルンキャストはとてもよかった!)。まあ慰めは、当時のウエストエンドの演出がメルボルンの演出とは違っていたということですかね。メルボルンのあの豪華演出だったとしたら、やはり少し後悔していたかもしれない。そしてロンドンキャスト版をyoutubeで見られるのは嬉しいかぎり。7日には生で聴けるし(シエラのPart of Your Worldもまた聴ける~)
そしてつくづく思ったのは、Andrew Lloyd Webberはやっぱりすごい人なのだなぁ、と。この作品を作ったと聞いたときは「なに血迷ってんのよ、おっさん」と思ったけれど(正直今でも少し思うけれど)、やっぱり音楽に感動させられちゃうのだものなぁ。舞台をマンハッタンではなくコニーアイランドに移した攻めの姿勢にも感服です。やっぱり全然只者じゃないのだわ、この方は。
一方でちょっと俗な想像で申し訳ないのだけれど、「これはこの人自身の希望の物語でもあったのかなぁ」とか思いながら観てしまった。彼のサラに対する気持ちに重なる作品だから、二次創作のような陳腐なストーリー(原作も彼が執筆依頼しているのね)だけどミュージカル化したかったのかなぁ、と。ファントムの心の闇と救いの部分も含めて。ちょうどサラと別れた1990年に制作を開始したようですし。考えすぎですかね。いずれにしてもALWにとって芸術と愛情は強く結びついたものなのだろうな、と感じます。一方サラはどうであったか、それはわからないですけど(と、25周年のときの表情に思う)。男性はロマンチストですよね。・・・元も子もない纏め方でスミマセン。
ところで最近知ったのですが、ALWはラファエル前派の熱心なコレクターなのだそうですね。わ~、なんか嬉しいわ!その動画も貼っておきますね。
【I LOVE MUSICALS 予定セットリスト(一部)】
♥ オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera) 『オペラ座の怪人』より
♥ ミュージック・オブ・ザ・ナイト(Music of the Night) 『オペラ座の怪人』より
♥ ラブ・ネバー・ダイ(Love Never Dies) 『ラブ・ネバー・ダイ』より
♥ 世界が終わる夜のように(The Last Night of the World) 『ミス・サイゴン』より
♥ 神よ 何故? (Why God Why?) 『ミス・サイゴン』より
♥ パート・オブ・ユア・ワールド (Part of Your World) 『リトルマーメイド』より
♥ カム・ホワット・メイ (Come What May) 映画「ムーラン・ルージュ」より
♥ トゥナイト (Tonight) 『ウエスト・サイド・ストーリー』より
♥ 『レ・ミゼラブル』メドレー(「夢やぶれて」「星よ」ほか) Les Miserable - Medley (I Dreamed a Dream, Stars, and more)
Ramin Karimloo Love Never Dies Till I Hear you Sing
これは今回は歌ってくれないのかしら。4 starsのときにも聴いてるけど(ワンフレーズだけだけど)、あのときもシエラはいたけど、せっかくDVDを観たから改めてちゃんと聴きたい。しかしラミンのファントムはやはりええのぉ。私の好みからすると少々人間的にすぎるのだけれど、それでも惹き込まれてしまう。メルボルンキャストのBen Lewisも素敵だったけど
Sierra Boggess Recording Love Never Dies
Sierra Boggess: Phantoms Never Die (Part 1 of 2)
1/4 A Passion for the Pre-Raphaelites : Andrew Lloyd Webber
近くにIKEAがあるので、散歩がてらときどき遊びに行きます。
家具に惹かれるものはあまりないのですが(安かろう悪かろうな傾向もあるし)、たまに食べるにはフードコートも悪くないですし(サーモン好き♪)、雑貨も使えるものが意外と多いのです。夏至祭など、日本に馴染みのない季節のイベントを楽しめるのもいいところ。
日本のスーパーであまり手に入らないものの一つが、こちら。
SILL DILL酢漬けニシン ディル入り¥399
玉葱入りなど、数種類あります。
北欧の甘~~~い鰊の酢漬け。初めてヘルシンキのホテルの朝食で洗礼を受けた、思い出の味です。
そのときの写真。見えずらいですが、サーモンの上にあります↑
もっとも、この思い出がなくいきなり日本でこれを食べていたら、この甘さは私にはちょっとキツかったかもしれません
フィンランドの食べ物は何でも甘いというのを旅行前に片桐はいりさんの本(『かもめ食堂』撮影の裏話がのっている)で読んでいたので、あちらで初めて食べたときは感動しちゃったんです。ほんとだ~~~って笑。まあイケアはスウェーデンですけど、これは同じ。
日本では、食パンにオリーブオイルを塗って、薄くスライスした玉葱をのせ軽く塩胡椒(クレソルが美味)してトーストし、最後にこれを数キレのせて食べるのがお気に入りです。サワークリームやクリームチーズをのせてオードブル風にしてもGood。
今ではイケアに行くたびに買ってます。
何でも甘いといえば、これ。ベリーのジャム付きのミートボール。写真は『かもめ食堂』ロケ地でもあったKahvila Suomiにて。ここで食べたものがあまりに美味しかったので、イケアレストランのものでは満足できなくなってしまった。イケアのもすごく不味いわけではないんですけどね(^_^;)。ちなみにKahvila Suomiは今はオーナーが日本人に代わり名前がRavintola Kamomeとなって、内部もリニューアルされたそうです。
※かもめ食堂ロケ地めぐりの楽しみ方
さて、イケアに話を戻して。
SAFT FLÄDER濃縮エルダーフラワーシロップ¥550
たまに買います。エルダーフラワーはイギリスで初めて知りました。これもいきなり日本で飲んでいたら美味しいと感じたかどうかは、、、どうだろう 私は炭酸水で割って飲むのが好きです。
他によく買うものは~。
ISTADプラスチック袋, アソートカラー¥ 299 / 50 ピース
中身が見えてサイズや色も豊富なので、食品だけじゃなく、旅行のときなどの小物の分類に大活躍。機内へ液体容器を持ち込む際の袋にも使えます。
この柄も北欧ぽい♪
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調味料の分類に便利。サイズも小さすぎず、お値段も4つで199円と激安~。
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お値段がお値段なのでちょい緩めですが、気軽に使えて便利です。色も可愛い♪
KALAS カトラリー18点セットアソートカラー¥ 199
KALAS ボウル, アソートカラー ¥ 199 / 6 ピース
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これ!プラスチックですがすごくしっかりしていて、何度でも洗って使えるんです。しかもレンチンOK。ちょっと食材を和えたり、軽いのでピクニックのときなどにも。ビタミンカラーも楽しい♪
TILLRÄCKLIG 台所用スポンジ, アソートカラー¥ 129 / 9 ピース
小さめですが色も可愛く、気軽に使えますよ~。
以上、なぜか突然思いたった、私的イケアのオススメ商品のご紹介でした
「さあ、あしたもまた長い、いい日でしょうよ。しかも、はじめからおわりまでおまえのものなのよ。とても楽しいことじゃない!」
(トーヴェ・ヤンソン 『ムーミンパパ海へいく』)