感想がたまりすぎているので、サクサクあげます。
アンスネスは、ずっと聴いてみたいと気になっていたピアニストだったけど、聴くのは今夜が初めて(以前チケットを買っていたのだけれど、公演がキャンセルになってしまった)。
数年前に村上春樹さんが現在好きなピアニストとしてペライアとアンスネスの2人をあげておられて、そういう意味でも興味がありました。
でもペライアと違って音自体にピアニストの個性を感じさせないのは、想像していたとおり。
そういうところ、ピリスと似ているなと感じました。
端正で誠実な音。でも、ちゃんと情熱的。
決して派手な演奏ではなく、どちらかというと地味な演奏なのに、ホールを支配してしまう空気感。
【シューベルト:ピアノ・ソナタ第14番 イ短調 D784】
この曲は、以前光子さんで素晴らしい演奏を聴かせていただいたけれど、暗みを強く感じさせる光子さんの演奏と比べると、アンスネスのそれは彼の”色のなさがこの曲に意外と合っていて(この曲でピリスと似ているなと感じた)、なるほどこういうこの曲の聴き方もあるのだなと教えてもらった気がしました。
アンスネスって意外と男性らしい音を出すのですね。そういうところは、ペライアとよく似ているなと感じました。
【ドヴォルザーク:《詩的な音画》 op.85 より I. 夜の道 II. たわむれ IX. セレナード X. バッカナール XIII. スヴァター・ホラにて】
いやぁ、どの曲も本当に素晴らしかった。。。。。。。
「夜の道」のあの空気感といったら・・・!!!自分がいま夜の道を歩いているような気分になりました。なんであんな空気が出せるのだろう。。。。
そして「セレナード」の温かな響きにうっとり。なんて優しさでしょう。。。。
「スヴァター・ホラにて」の神聖な空気もアンスネスの個性にとてもよく合っていました。
アンスネスは、『詩的な音画』という作品について次のように述べています。
“It’s a real discovery for me. It’s a major piano cycle of 13 pieces that’s rarely performed, even though it’s very imaginative, is full of melodic and harmonic inventions, and offers surprisingly colorful writing for the piano. Although Dvořák was not a pianist-composer, he uses the full range of the instrument convincingly.”
“It feels exciting to take Dvořák at his word, and I think he is absolutely right. I feel a very strong, wonderful narrative in the work. It’s a cycle of many stories but it also feels like one big story.”
(21C Media Group)
(20分間の休憩)
【ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 op.13 《悲愴》】
この曲も、本当に素晴らしかった。
優しい2楽章、うっとりと聴き入ってしまいました。
【ブラームス:7つの幻想曲 op.116】
アンスネスの男性らしい音のブラームス、いいですね!男性らしく、でも優しいブラームス。とてもよく合ってる。
そういう演奏ってありそうで少ないので。
うーん、改めてアンスネスの個性ってペライアとよく似ている気がする(音は全然違うけど)。
村上春樹さんの音楽や文学の好みって私と近いのです…笑
アンスネスはこの曲について、来日前のインタビューで以下のように語っています。
「ブラームスの後期の作品というと暗く憂愁に満ちているイメージがありますが、《7つの幻想曲》には深い喜びもあり、色彩や個性に富んでいます。ツィクルスではありませんが、全体をひとつの旅として捉えることができるでしょう」
【ドヴォルザーク:《詩的な音画》op.85 より IV. 春の歌(アンコール)】
これも素晴らしかったなぁ。
勢いのある春の芽吹きが目に見えるようだった。
【ショパン:マズルカ op.33-2(アンコール)】
【ショパン:マズルカ op.17-4(アンコール)】
アンスネスでショパンって意外だったけれど、こちらも甘くない渋いショパン。
マズルカ独特の重い舞踊感がとてもよい。
33-2もよかったけど、17-4の空気が素晴らしかったなぁ。美しく、暗みもしっかり出ていて。とても心に響きました。アンスネスのショパン、いいですね…!
さて、ここまで「空気」という言葉が何度出てきたでしょう。
アンスネスは本当に空気感を感じさせてくれるピアニストでした。
今後彼のリサイタルは絶対に行こう。
26日にはN響とのピアノ協奏曲も聴いてきたので、感想は改めて。
※インタビュー:7年ぶりの再訪を心待ちに
※研ぎ澄まされたタッチから生み出される透徹した音色に耳を傾ける(ぶらあぼ)
ピアニストの #レイフ・オヴェ・アンスネス が来日!
— ジャパン・アーツ(Japan Arts Corporation) (@japan_arts) October 19, 2023
10/21兵庫県立芸術文化センター、22所沢ミューズ、23東京オペラシティ コンサートホールでリサイタル、25、26、28はNHK交響楽団と共演。
5年ぶりとなる日本での演奏にどうぞご期待ください。https://t.co/E9s9m8fuCc@operacity_hall pic.twitter.com/OusKNRthcr