風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

火星に吹く風の音

2021-02-24 00:54:50 | 日々いろいろ



上記はNASAのtwitterですが、このニュースは最初は谷川賢作さんのtwitterで知りました。テレビというものを見ないもので
18日に火星に着陸したNASAの無人探査車「パーサビアランス(Perseverance)」が初めて捉えた”火星の地表を吹く風の音”だそうです。
しかしこれに似たニュースを私は以前に読んだことがあるような・・・と調べたら、2018年にNASAの探査機「インサイト(Insight)」が火星に降り立ったときに、やはり”火星の風の音”なるものを公開している。当時のニュースを読むと、それは探査機の地震観測用のセンサーが感知した情報をもとに地球で再現された音だったそうで。一方、今回の音はパーサビアランスのマイクロフォンが直に捉えたものなので、まさに火星の風の音そのもの、なんですね。18秒間だけですが、想像が広がります。

NASAのこちらのページでは、「Earth(地球)」「Mars(火星)」「You on Mars(火星にいるあなた)」の3種類の音のコーナーを楽しむことができます。「Mars(火星)」のコーナーは、今後更新されていく?のかな。
楽しいのが、「You on Mars(火星にいるあなた)」のコーナー。自分の声を録音すると、それが火星ではどのように聞こえるかを再現してくれるのです!なんて楽しい!火星に行くことはできないけれど、”火星で発せられたらこう聴こえるであろう自分の声”を聞くことができるんですよ。
で、早速やってみたのですが(ページのマイクのマークをマウスで長押ししながら喋るだけです)。
まあ、、、思ったほどの大きな違いはない(笑)
と初めは拍子抜けしたのだけど、考えてみると、結構ビックリです。火星にいても、地球にいるときと殆ど変わらずに自分の声を聞くことができるのですから。
NASAのページでも「Even though Earth and Mars are entirely different planets, it may be comforting to know that if you were on Mars, you might still sound pretty much like yourself. (地球と火星は全く異なる惑星ですが、火星でも自分の声がちゃんと自分の声として聴こえるとわかって、あなたはホッとするかもしれません)」とあります(例によってワタクシ訳なので、間違っていたらスミマセン…)。
ただもちろん完全に同じではなく、やっていただくとわかりますが、地球バージョンと比べると、より落ち着いた低く籠った声に聞こえます。私は割と高音の響く声なので、火星の自分の声の方が好みでした。火星には四季もあるらしいし、移り住もうかな(笑)

NASAの解説は続きます。
「If you were standing on Mars, you’d hear a quieter, more muffled version of what you’d hear on Earth, and you’d wait slightly longer to hear it. On Mars, the atmosphere is entirely different. But, the biggest change to audio would be to high-pitch sounds, higher than most voices. Some sounds that we’re used to on Earth, like whistles, bells or bird songs, would almost be inaudible on Mars.(火星では、あなたの声は地球にいるときよりも静かに、籠って聴こえるでしょう。そして音が届くまでに少し長く時間がかかります。火星の大気は地球とは全く異なりますが、最も顕著な違いは、人間の声よりも高い音において現れます。笛やベルや鳥の鳴き声といった地球上で慣れ親しんでいる音は、火星では殆ど聞きとることができません)」
これは、「Earth(地球)」のコーナーで聴き比べることができます。
確かに、、、鳥の鳴き声なんてほとんど聞きとれない・・・
移住はやめよう。
やっぱり地球は美しい星なのだな、と改めて感じますね。大事にしないと、ね。

先日近所の神社に梅を見に行ったのですが、美しいのだけど、なんとなく物足りない。
しばらくしてはっと気づいて、マスクを下げました(人が空いていたので)。
そう、この匂い。
梅は色や形だけでなく、その香りも含めて”梅”なのだなあ、と当たり前のことを新鮮な気持ちで実感したのでありました。
火星の匂いは、どんな匂いなのだろう。地球とは感じ方は違うのかな。火星で食べる団子の味はどんなだろう。
それを地球のPCの前にいて体験できる日も、遠くなく来るのかな。

話は戻りますが、賢作さんがパーサビアランスのニュースを沢山リツイートしている理由は、そう、お父さま(俊太郎さん)が書いた詩のせいですね

火星人は小さな球の上で
何をしてるか 僕は知らない
(或いは ネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ
 
万有引力とは
ひき合う孤独の力である

(『二十億光年の孤独』より)

ここで一つ、大きな大きな恥を晒させてください。。。
「万有引力とは ひき合う孤独の力である」
どうしてここで「万有引力」が出てくるのだろう、と実はずっと不思議に思っていたのです。なぜなら私、万有引力の意味をちゃんと理解していなかったので、「重力」とごっちゃになっていたのです。いかに学生時代の授業をいい加減に聞いていたか、というよりきっと世の中ではこんなことは常識なのよね。。。ああ恥ずかしい。。。

引力は、正しくは「万有引力」といいます。万有引力とは、「質量のある全ての物体同士の間に働く、互いを引っ張り合う力」のことです。
この万有引力が働いているからこそ、私たち人間は地に足を着けて歩けます。質量のあるものなら何でも引力を持っているということですから、もちろん人間も、身の回りにあるものも、みんな引力を持っているのです。
ただ、地球上では地球が最も大きな引力を持っているため、リンゴが人に引き寄せられてくっつくなんてことは起きません。
質量が大きいものほど強い引力を持ち、距離が開くほど引力の影響は小さくなります。これを証明した数式が「万有引力の法則」です。

地球の引力に引きつけられている物質は、地球の自転による「遠心力」の影響も受けています。この二つの力を合わせたものが「重力」です。
地球は南極と北極を通る軸を中心として自転しています。この地球の回転運動により、引力と同時に外向きに引っ張られる力を受けることになるのです。
厳密にいうと、引力と重力はこうした違いがあるのですが、地球の自転による遠心力の影響はそう大きくありません。そのため、地球において引力はほぼ重力とイコールであると考えてよいでしょう。
なお、地球だけではなく、月には月の重力が、太陽には太陽の重力があります。この重力が物質に及ぼす影響を計算する数式が「一般相対性理論」です。
(小学館HugKum「引力と重力の違いとは?」

ニュートンによる「万有引力の法則の発見」を“重力の発見”だと解釈してしまう例があるが、これは間違った解釈である。「リンゴが木から落ちるのを見て、ニュートンは万有引力を発見した」などとする単純化された巷に流布している逸話も、この誤解を広める原因になっている可能性がある。ニュートンは「リンゴに働く重力」を発見したわけではない。「リンゴに対して働いている力が、月や惑星に対しても働いているのではないか」と着想したのである。地上では物体に対して地面(地球)に引きよせる方向で外力が働くことは、(ガリレオなどの貢献もあり)ニュートンの時代には理解されていた。ニュートンが行った変革というのは、同様のことが天の世界でも起きている、つまり宇宙ならばどこでも働いている、という形で提示したことにある(そして同時に、地球が物体を一方的に引くのではなく、全ての質量を持つ物体が相互に引き合っている事と、天体もまた質量を持つ物体のひとつに過ぎない事)。「law of universal gravitation 万有引力の法則」という表現は、それを表している。
(wikipedia「万有引力」

高校の物理の教科書では重力は地球上どこでも同じと習いますが、実はそうではありません。 地球の自転による遠心力は、自転軸からの距離によって変わるので、緯度によってその値が変わります。赤道では回転半径が赤道半径と等しいため遠心力が最も大きく、その大きさは引力の1/300程度となります。最も遠心力の小さい地点は北極点および南極点で、遠心力は0となります。つまり、重力は両極点で最大の値となり、遠心力が逆向きに働く赤道で最小の値となります。
九州大学・物理探査学研究室


よかった、遅ればせながら谷川さんの詩の意味をちゃんと理解することができて。。。
私の学生時代はネットがなかったからなあ、と責任転嫁(笑)
冗談はともかく、ネットって本当にすごい。
火星にいる自分の声を家にいながら再現できちゃうのも、ネット時代ならではですよね。

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成城石井の『発酵バターのクロワッサン』

2021-02-20 16:13:27 | 日々いろいろ




お値段の割に美味しいと思うものシリーズ。
成城石井の『発酵バターのクロワッサン』

そのまま食べるとふにゃんとしていてあまり美味しさを感じられないけれど、トースターでリベイクすると大変身。パリっとサクっと発酵バターの風味も出て美味 今朝はホイルを被せるのを横着したので、いささか焼きすぎた
同じく成城石井の『くるみパン』もトーストすると大変身するパンで、飽きの来ない素朴な味なので、最近はクロワッサンよりもよく買っています。何もつけなくても十分美味しいですよ
『湯種のもっちり白パン』もレンジで温めると変身するらしいので、今度試してみよう。

ちなみにこの写真を撮る際にコーヒーカップが傾き、コースターがびしょぬれに 高いものではないけれど北欧から買ったハンドメイドのお気に入りで(本来の用途はたぶん鍋掴み)、慌てて洗って事なきを得たものの、私にはインスタは無理だと実感。。。まあスマホじゃない時点で無理なんだけど。

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金木犀の花びらジャム

2021-02-19 20:55:58 | 日々いろいろ




金木犀好きな私のために、友人が「金木犀の花びらジャム」なるものを送ってくれました。
山梨の南アルプス市で作られているジャムだそうで、金木犀のジャムって珍しいですよね
コロンとした瓶もカワイイ(写真は何回か食べた後なので少し減ってます
原材料はもちろんホンモノの金木犀の花びらで、人工着色料は使われていません。ジャムというより、シロップ漬けに近い感じ。
味は杏ジャムのように甘酸っぱく(これは花自体の味ではなく、グラニュー糖+クエン酸によるもの)、ほのかに、でもちゃんと金木犀の香りが薫るんです。この強すぎない薫り加減が絶妙。
お湯に溶かして金木犀茶にしたり、炭酸水に溶かして金木犀ソーダにしたり、ヴィジュアル的には無糖ヨーグルトにかけると可愛くて最強です。気分が上がる
山梨の道の駅で購入できるそうなので、機会がありましたら是非

でもなにより、私が金木犀を好きだということを覚えていてくれて、こういう贈り物をしてくれる友人の気持ちが嬉しかったです。日常の中で人から与えてもらっているもの、教えてもらっているものの多さと大きさをつくづくと感じている最近です。。


※同じシリーズで「桃の花びらジャム」なるものも出ているようです。ネットからも買えるみたい。今の季節にぴったりですね


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しらす丼withオリーブオイル

2021-02-16 00:02:38 | 日々いろいろ




2017年9月にベニシアさんの『猫のしっぽカエルの手』で紹介されていた、オリーブオイルをたっぷりかけたしらす丼。
親から「騙されたと思って!」と言われて試してみたら、すんごい美味しい
番組で紹介されていた山田オリーブ園さんのレシピはこちら。上の画像もお借りしました。
ほんとに美味しいので、オリーブオイルがお好きな方は騙されたと思って食べてみて!
ポイントは、しらすたっぷりと、オリーブオイルも怖がらずにたっぷり、です。
あと、薬味は必須(葱と大葉の両方がオススメ)。
今日のお昼に久しぶりに食べたら「やっぱり美味しい」と感動したので、感動のお裾分けでした

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1868年(明治元年)パリにて、渋沢栄一の言葉

2021-02-15 12:06:52 | 




昨夜から新しいNHK大河が始まり渋沢栄一がトレンドのようなので、以前ご紹介した1868年(明治元年)パリでの渋沢の言葉を再掲

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一体あんた方は今の御国元の事を何と思って居られるか。
御国の大変で留学の送金が絶え、喜望峰廻りで帰され様とするのを、ともかくそうしたみじめな目にあはないやうにと計ってあげた。
これを、ただにあなた方の苦しさをすくほうと云ふ猫っかはいがりから出た事だとうぬぼれて居なさるなら、大きな間違ひで、日本から留学生を派遣しておきながら、国内の騒動に夢中になって帰国の始末もつかず、荷物扱ひで送り帰されたとあっては、日本の名誉にかかはると思へばこそ、当方でも今後御国元からどの程度に送金のあるものやら、無いものやら知れず。・・・・・・
そこらの意味も苦衷も御察し出来ないか。
失礼ながら学問と云ふものはそんなもので無い筈だ。ただ知識を多く集得なさっただけで得々として居られるか。そんな思慮の足りぬ性根の腐った人を作ろうと、日本は苦しい中から留学生を派遣しなかった筈だ。私は日本の為になげきます。
ここで厭ならすぐさま出て行ってもらいましょう。御国の大乱のこのさい、よしんばどんなやはらかい床へ寝られたにもせい、心には臥薪嘗胆の〆めくくりがあってしかるべきだに、まして何のベッドの上で産まれやしまいし、わづかの歳月ヨーロッパの風にふかれたと思うと、フロアの上もないものだ。

(宮永 孝『慶応二年幕府イギリス留学生』)


徳川幕府が崩壊し、日本に帰ることになった幕府派遣の欧州留学生一行(イギリス、オランダ、フランス)。
しかし帰国費用さえままならない。
世話人ロイドはイギリス留学生達を賃金先払いで喜望峰廻りの貨物船に載せ、横浜で金と引き換えに引き渡す計画を立てた。
当時徳川昭武(慶喜の弟)の付き添いでパリにいた渋沢栄一は、そのことを知り、昭武の留学費用からどうにか金を都合し、彼らをマルセイユから船に乗せるよう取り計らう。
こうして欧州留学生達はパリに集合し、昭武の借家の広間が彼らの宿となった。
しかし英国組の林董らは、「人をフロアに寝かして豚扱いしている」とブツブツ文句を言う始末。
渋沢はそれを聞き、彼らのところへ刀を下げて怒鳴り込んで行き、叱り飛ばした。
上記はそのときの言葉。
林らは道理が道理だから一言もなく謝り、後々もこのときのことを思い出しては「激しい小言だった」と笑ったそうである。
ちなみにこのときの渋沢の年齢は、28歳。
立派なものです。。。

※N響のtwitterで知りましたが、指揮者の尾高忠明さんって渋沢栄一のひ孫だったんですね!今回のテーマ音楽も指揮されています。




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八千草 薫 『あなただけの、咲き方で』

2021-02-07 22:39:00 | 




 ビオトープというのは、地道に自然を造っていくものなので時間がかかります。とても興味はあるものの、これから何年生きていられるか分からないのに、今から造っても無駄かなとも思ったのです。そんなある日、そのことを話した友人が「やるべきよ、やらないよりずっといいいじゃない」と強く後押ししてくれました。・・・
 今現在も作っている最中ですから、生きている間に私が思い描くような光景を眺めることはできないかもしれません。でも、ビオトープを作るという新しい挑戦は、これまでに十分過ぎるといっていいほどの感動をもたらしてくれました。めだかや蛙、虫たちが集まってくるのを眺めていると、童心に返ったようなわくわくとする気持ちを味わうことができて、今ではあのときの決心は間違っていなかったのだと実感しています。
 考えてみれば、どんな年齢の方も、先のことは分かりません。何かを始めても、もしかしたら志半ばで、終えてしまうこともあるでしょう。でも、だからといって臆してしまい、そこで諦めてしまえば、人の可能性はそこで止まってしまいます。
 たとえ最後までできなくても、その過程で得られる喜びを噛み締めながら、新しいことへの挑戦を楽しみたいと思います。

(八千草薫『あなただけの、咲き方で』)

2019年に亡くなられた八千草薫さんの『あなただけの、咲き方で』(幻冬舎。2015年1月)を読みました。
書店で平積みになっていたのを立ち読みしたら素敵な文章だったので図書館で予約したところ、なんと数か月待ち
先日、ようやく読むことができました。

シャイな八千草さんが女優を続けてこられたことのお話、自然や旅行が大好きで19歳上のご主人と登られた冬山の静けさのお話、木の温もりを感じさせる家具を大切に使われているお話、クラシック音楽がお好きだというお話、お庭に造られたビオトープのお話、自然に囲まれた暮らしがしたくて富良野の倉本聰さんのお宅の隣の土地を買われたり(結果的にはその土地は倉本さんに譲り、八ヶ岳に別荘を買われたそうです)。
ドラマなどで拝見する八千草さんの雰囲気そのままの飾らなく、上品で、凛とした文章たち。こういう女性になりたいな、こんな風に年齢を重ねられたら素敵だな、こんな風に人生を生きられたらいいな、と感じる本でした。

私の好きなテレビドラマ『愛し君へ』(2004年)で、八千草さんは視力を失っていく病に冒されたカメラマン(藤木直人さん)の母親役を演じられていました。以下は、最終回のドラマの中での言葉。原作はさだまさしさんの『解夏』です。

あの二人の結婚式を見ながら考えていたことがあります。それは、もしも俊介が病気になっていなかったらどうしていただろうということです。俊介は写真の仕事を続け、四季さんは病院で働き、別の人生を別の幸せを手にしていたのでしょうか。ところが、病気という経験を通して、二人は同じ道を共に歩むことになりました。私は夫を亡くし、次男を亡くし、自分の人生を恨んだこともありました。でも、二人の結婚式を見ながら思ったのです。どんな人生にも行き止まりはなく、道は続いていくのだと。前に進めば必ずそこには道がひらけているのだと。
それは今、四季さんと俊介の笑顔が証明しているのではないでしょうか。私は幸せな人生を送ってきたのだと、今、心から思います。

(『愛し君へ』 第11話)




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