Les Misérables (2012) - Epilogue Scene (10/10) | Movieclips
私がレミゼの"To love another person is to see the face of God.”の部分で感動するのは、一般的には決して幸福とはいえない人生を歩んだファンテーヌやエポニーヌやバルジャンが、最後にこの言葉を言うところにあるのですが(映画版ではエポニーヌの代わりにミリエル司教になっていますね)。 なんとなく気になってこの言葉を検索してみたら、映画版でバルジャンを演じたヒュー・ジャックマン(関係ないけど私はヒューが好き)のこんなインタビュー↓が出てきたのです。
I was struck in this iteration of Les Miz by how religious a story it is.
I like to think of it in modern-day sense — of course Hugo talks about Valjean undergoing not just a transformation but a transfiguration. He transforms in such a complete way that it’s religious in nature, not just emotional or physical. I think in some ways Hugo was attacking the church at that point, for being so exclusive. For Hugo, the line was “To love another person is to see the face of God” — that religion needed to be less about rules and sermons and more about practical love and the example of Jesus Christ. That’s the last line in the musical. I think it really annoyed the church! It was quite an attack.
Is Valjean someone we should learn from?
Yes, and for me, it’s the same example I got from my father. It’s a great honor to play someone like Jean Valjean, but it’s a daily reminder of how far you have to go as a person. It’s a really weird thing, playing Valjean and in between breaks going to your luxurious trailer just off set, like, Where the hell is my Evian? [Laughs.]
Tom Hooper said that it’s always difficult to play the good guy. How do you introduce complications to a character like that?
The trap with Valjean is that he can become kind of boring and saintlike after the first 10 minutes. He has a pretty massive transformation early on, going from being wrongfully imprisoned but still a kind of animal-like, voracious figure, and stealing from the man who gives him clemency and feeling the shame of that. The easy thing would be to play the saintlike figure throughout. That’s kind of dull. One thing that Hugo writes about at incredible length in the second half is Valjean’s relationship with [his adopted daughter] Cosette, and how complicated it is. Here’s this man at 51 who experiences love for the first time in his life — an avalanche of feeling and all the complications that come with that. As we all know, as human beings, once you know happiness, you’re terrified of losing it.
「"To love another person is to see the face of God.”の言葉は、実践的な愛やイエスの模範よりも規則や説教に重きを置きすぎて排他的になっていたカトリック教会に対する、ユゴーの痛烈な批判だったのだと思う。」と。 へえ、面白いな~。 日本人で無宗教の私は「キリスト教」とすぐに一括りにしてしまう悪い癖があるのだけれど、レミゼに限らず、こういう作品であちらの人達のインタビューを読むとさらに突っ込んだ解釈をしていますよね。キリスト教徒にとってもそうでない人にとっても、それだけキリスト教が日常に溶け込んでいるからなのでしょうね。 世界は知らないことだらけ。だから面白いのかもね。
ヒューは8歳から男手一つで自分を育ててくれた父親をバルジャンと重ねていて、「So church was a big part of our lives, though I don’t think I ever really heard my father talk about God or religion necessarily. He was just one of those quietly religious people who believed actions spoke louder than words.」と。
そしてバルジャンは聖者のように演じてしまうと退屈な役になってしまうのだ、と。「One thing that Hugo writes about at incredible length in the second half is Valjean’s relationship with Cosette, and how complicated it is. Here’s this man at 51 who experiences love for the first time in his life — an avalanche of feeling and all the complications that come with that. As we all know, as human beings, once you know happiness, you’re terrified of losing it.」と。私もそのとおりだと思う。弱いところもある人間らしいバルジャンだから、私達も自分に重ね合わせて感動することができるのだと思います。
といってもこの作品がここまで世界中で愛されるようになったのはロンドンプロダクションを製作したCameron Mackintoshの手腕はもちろん、Kretzmerさんの書いた英語版の歌詞の素晴らしさによるところも大きかったろうと思います。 Kretzmerさんはインタビューで、「その作業はただ仏語を英語に翻訳すればいいというものではありませんでした」と。「言葉というのは一つの文化の中で共鳴するものであって、他の文化でも同じようにいくわけではありません。だから私はユゴーの小説から読み、自分の言葉でその物語を語り直したのです」と仰っています。 日本語版は歌えない私でも、英語版の”Do you hear the people sing?”は風呂場での定番ソングです(ええめっちゃ一人で歌ってますが何か?)。韻が素晴らしくてゾクゾクするんですよね。なのにわざとらしくなくて。 ミュージカル中盤の革命の場面で歌われるのも好きですが、エピローグで歌われるこの曲もとても好き。 今はもう死んでいる学生達の遠くから聴こえてくる微かな歌声が次第に力強さを増して、そこにバルジャン達が加わって。一人一人は弱い存在である彼らが一つの大きな力となってその歌声が高らかに響き渡るラストの素晴らしさといったら。 今ではすっかり代表的なプロテストソングとなり、香港デモなどでも繰り返し歌われています。 この曲がプロテストソングとなることが良いことなのかどうかはわかりませんが、自由を求めて巨大な権力と闘っている人達を世界中で勇気づけていることは確かでしょう。私も何度勇気をもらえたことか。
Herbert Kretzmerさんのご冥福をお祈りいたします(無神論者とのことですが…)。
Les Misérables " Epilogue . Finale
私の好きなエピローグの場面。和訳あり(ちょっと微妙な訳だが…)。 1995年にロンドンのロイヤルアルバートホールで行われた10周年記念コンサートより。 この10周年の出演者、みんないいよね。コルムさんもレアも素晴らしい。 何度も書いちゃいますが、バルジャンやファンテーヌやエポニーヌのような一般的には決して幸福とはいえない人生を送った人達が最後に「To love another person is to see the face of God.(誰かを愛することは神に出会うこと)」と歌うところに、涙。。。 これはキリスト教世界の物語で、私はKretzmerさんと同じく無宗教だけれど、愛は宗教を超える。。。
Les Misérables (2012) - I Dreamed A Dream Scene (1/10) | Movieclips
2012年の映画版より。"I dreamed a dream"。 決して好きな映画ではないけれど、これは好きな場面の一つです。アン・ハサウェイがアカデミー助演女優賞をとったのは、このシーンが理由だろうと思っている(ご本人はこの映画での演技に納得がいっていないそうですが)。 wikipediaによるとアンは「カトリック教で育ったため修道女になりたかったが15歳の時に兄がゲイだということを知り、兄の性的指向を認めない宗教には属せないと感じその道を諦める。それをきっかけに彼女を含めた家族全員がカトリック教会から離脱した。」とのこと。
先日ヤフーニュースで河相我聞さんのブログを知って、我聞さん懐かしいな~と読み始めたら意外な文才に思わず全部読んでしまった(我聞さんのブログはamebloとはてなブログの2つあります)。 その中にこんな記事がありまして、我聞さんはご自身が出演されたドラマ『未成年』の主題歌だった「青春の輝き」が大好きなのだそうで、それをカバーするためだけになんとピアノとボイストレーニングと英会話のレッスンまでしてしまったそうです。 ドラマ『未成年』。 1995年、私が大学一年生のときのドラマで、我聞さんを始め主役の役者さん達も私と同年代でした。 懐かしいというより、今でも時々現在進行形で思い出す、私にとって特別なドラマです。このブログでも以前ご紹介しました。 主題歌は「I Need To Be In Love(青春の輝き)」、「Top of the World」、「Desperado」など全てカーペンターズの曲。 ていうか「この曲を歌いたい」という気持ちだけでピアノや英会話までやってしまう我聞さん、ナイス。 わたくし、こういう人、好きです。 ご本人曰くこのカバーはまだ発展途上とのことで、確かにちょっとぎこちない感じはあるけど、我聞さんの声、優しくて透明感があっていいね。最後の笑顔もよい (我聞さんはリクエストで「青春の影」カバーや「香水」カバーも歌われていて、とても素敵なので皆さん是非聴いてください。「香水」はどうしてこの曲がそんなに人気があるのか全くわからないわたくしですが、我聞さんのカバーはよい。しかしかっこいいお父さんだなあ。)
こちら↓は、ドラマの主題歌でもあった本家カーペンターズの「I Need To Be In Love」。