風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

五月文楽公演 第二部 @国立劇場(5月17日)

2015-05-21 00:13:29 | その他観劇、コンサートetc




今月は玉男さんの襲名披露公演。
口上のある第一部はあっという間に完売でしたが、私は第二部に行ってまいりました。
文楽の襲名公演を見るのは初めてだったけれど、ロビーが華やかで楽しかった♪
お花は、一番目立っていたカラフルなのが from 北野武さんで(Dolls繋がり?)、尾上右近君からの胡蝶蘭なども。
先月の大阪での口上の映像をロビーで流してくれていたのが、嬉しかったです。舞台下手から順に進行役の千歳大夫さん、勘十郎さん、和生さん、玉男さん、嶋大夫さん、寛治さん。玉男さんは和生さん、勘十郎さんと同期で、かつ勘十郎さんとは同い年でもあるのですね。寛治さんはご年齢からは信じられないほど張りのあるお声で話されていて驚きました。文楽では襲名するご本人は話さないんですね。全体的に歌舞伎より厳かな雰囲気に感じられて、カッコよかった^^ 周りのおば様方も「素敵ねぇ」と呟いておられました。普段の舞台では聞けない人形遣いや三味線の方々のお声を聞けたのも、映像とはいえ嬉しかったです。


【祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)】
~金閣寺の段~
大膳の台詞が直球でエロい笑。でも「よい返答聞くまでは蒲団の上の極楽責め」って別にエロい意味じゃないのね。つまらん。思わず、さっきまで俺のものになるか絵を描くかとか言ってたじゃん!なんなの実はとっくに俺のものにしちゃってんの?と軽く動揺してしまった。
ところで帰宅してからネットで知ったのですが、吉右衛門さん、この役やられてたんですね。この台詞言っちゃってたんですね。いや~ん聴きたかった~~~(>_<)

で、感想それだけかいって感じですが、すみません、、、この日は体調がよくなかったせいなのか(文楽観劇日はなぜか高確率で体調が悪い)咲甫大夫さんのお声が耳にガンガン響いてしまい言葉の意味が頭に入ってこず・・・泣、それに気をとられているうちに意識が・・・・・・・・・

~爪先鼠の段~
奥:千歳太夫さん。アト:希太夫さん。
このあたりで意識再浮上(ごめんなさい咲甫さん・・・)。
ネズミを描く姫の足捌き早っ(足はないが桜で表現)。さすが人形笑。
ネズミが可愛かった~。文楽の動物ってどれも可愛いですよね(滝に現れるゴールデンドラゴンも可愛かった)。ネズミが消えるときに桜色の花弁がぶわっと舞い上がるのもとってもキレイでした
この演目は初めて見たので、金閣寺の三層の仕掛けも子供のようにワクワク。背景の桜がどんどん見晴しよくなっていく変化が面白い~三層目では雲の上にいるみたいだった!二層目で藤吉がひょいひょいっと敵の手下をやっつける演出は今回復活させたのだそうです。 
竹のしなりを利用して慶寿院を下ろしちゃうアイデアもスゴイわ。さすが人形笑。
他にも藤吉が金閣寺の上から上げるモクモク狼煙など、視覚的に楽しい演出がいっぱいでした。

これで歌舞伎と合わせて、三姫制覇~。


【桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)】
~六角堂の段~
この段の和生さん(お絹)は出遣いじゃないのですね。

~帯屋の段~
嶋大夫さんの語りが・・・・・絶品
聴きながら、至芸っていう言葉が浮かびました。 
そして声の表情も豊かなら顔の表情も豊かで、「お半さんとナ、私とナ」のナの度にちょこんって首を傾げるの。ちょ・・・アナタ可愛いすぎ。
横浜能楽堂でお目々キラッキラさせて少年のように浄瑠璃のことを話されていた姿を思い出しました。
が、舞台に目をやったらやったで、そんな嶋太夫さんの声に人形さん達が生き生き動いていてこれまた絶品。今更ですが人形遣いさんと同じか、もしかしたらそれ以上に、大夫さんの声が人形に魂を吹き込むのですねぇ。
あぁ、文楽を好きになってよかった。。。。
歌舞伎でもバレエでも、心からこう思える舞台に出会えることが最高の幸せだなぁと改めて。

帯屋のセット。大人達がなんやかんややっている間ずっと「しなのや」の暖簾が下手に見えていて、長右衛門はこんなにピッタリ真隣に住む十四の子供に手を出しちゃったのねぇ、とダメ男ぶりが際立ってニヤニヤしちゃいました。

和生さん(お絹)はしっかり女房役が合いますねぇ♪ 凛とした品もあって素敵♪でも今回もやっぱり嶋大夫さんの声とは合わないように少し感じてしまった。。前回からの先入観だろうか。

後半は、英大夫さん。

玉男さん(長右衛門)&勘十郎さん(お半)の人形カップルは初めて見ましたけど、意外でしたが合いますねぇ!
今回のお二人の役が超相思相愛ラブラブカップルなわけじゃないからかもですけど。
勘十郎さんのお半、色っぽさが少ない分ちゃんと若い十代の少女に見えました。まぁ十四というよりは十七くらいに見えたけど。
ところでふと思ったんですけど、お半が遺書を煙草盆に置いていったのって、まさか長右衛門に追ってきてもらって一緒に死ぬつもりの意図的な行動じゃないよね・・・?そこまでの計算ちゃんなんてことないよね・・・?いや、なんかこのお半ちゃんなら悪気なくやりそうだから^^; 伊勢参りの夜の前例あるし。

長右衛門がお半を抱きしめるところ、よかったなあ。この瞬間は二人の間に激しい感情の高まりが見えて、今回は基本がさっぱり色気少なめ系な二人だったから一層ぐっときた。。。てかきゅんっとした。
しかしこれで二人で心中じゃお絹さんが可哀想すぎだ。

他、おとせ(文昇さん)、繁斎(勘壽さん)、長吉(簑助さん)、儀兵衛(簑二郎さん)と、皆さんお役にぴったりで素晴らしかったです。

~道行~
わ~~~床が大夫5人&三味線5人!待ってましたの大向こうもかかってテンション上がる~~~(って、ときどき歌舞伎のこういう場面で「待ってました」かける方々がおられるのは、文楽の感覚でかけてるのかなやっぱり・・・。歌舞伎だと殺意を感じるのだけれど)。
心中場面なのに派手で華やか。このギャップがたまらない!
最初は床でたっぷり聴かせてくれて、浅黄幕が落ちると夜の美しい桂川と、中央にはお半を背負った長右衛門。わ~~~~ステキステキステキ(>_<)
The 文楽な心中場面を華やかに踊る同い年のお二人(の人形)の姿に、文楽がこれからもいっぱいいっぱいお客さんが入って、明るい未来が続いていくといいねぇと心から感じつつ、客席の片隅より襲名をお祝いさせていただきました(^_^)

20時20分終了。
初夏を感じさせる夜風のなか、充足感と爽快感と幸福感で胸がいっぱいに満たされた半蔵門への帰路でございました。



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世界一美しい星空の見える村 ~ニュージーランド星空紀行~ BSジャパン

2015-05-20 00:37:00 | テレビ




「本能で星空を美しいと思うということと、その星空が私達を生んでくれている、あるいはその星空の世界が私達の世界のスケールを遥かに超えた壮大な世界であるということ、その二つはなんか私達に他のものには代えられない感動を与えてくれている気がしています」

「(今回の撮影は)天候に恵まれなかった面もあるんですが、逆に雲と星空の対比とか、やはり夜空に現れるのは星だけじゃなくて雲だとか色んなものが現れますよね。単に星空だけを見るんじゃなくて、この地上の風景とか周りの空気感というものがとても印象に残りました。たとえばニュージーランドの空を再現するのであれば本当は星を見る上では邪魔な雲とか周りの景色の変化とか、もしかしたら風とか温度の変化とか、そういったものとセットになったときにはじめて「ああ、ニュージーランドの星空なんだな」と感じることができると思うので、僕はそういうその土地ならではの土地の感覚を表現することができたらいいなと思いましたね」

(プラネタリウム・クリエーター 大平貴之)





職場で鬱々する出来事があってかなり参っていたのですが、この番組とNZの思い出のおかげで少しだけ浮上することができました。。。 星空は心が洗われますね。。。

こちら↓は昨年の旅行で私が撮った写真@テカポです。
普通のコンデジの割に頑張ったと思いません笑?






で、こちら↓は一緒に行った友人が一眼レフで撮ったもの@クイーンズタウン郊外。
やっぱり一眼レフは違いますね^^;

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遠くから聞こえる声のようなもの

2015-05-14 19:08:06 | 




「日常から離れた、遠いところから聞こえてくる音とか声とかが好きってことなのかもしれない。はっきり論理的に聴こえてくるものと違う、何かわけがわからないものが聞こえてくる方が好きだから、それが“遠い声”だったりするのかもしれないね」
(谷川俊太郎)

こちらの記事より。

"今は何もかも聞こえ過ぎるような気がするから"
"生きることを物語に要約してしまうことに逆らって"

小説ではなく詩を読みたくなる時って(あるいは何も読みたくなくなる時って)まさにそういう時だけれど、この詩人が詩を書きたくなるのも(そして書きたくなくなるのも)そういう時なのかな。
書きたい。いや書きたくない。ただ感じていたい。ただ感じているこの感じを書きたい。
言葉にした瞬間に全てが嘘になってしまうことを誰よりも自覚しつつ、そのパラドックスと戦いながら。
しかし機械オタクな谷川さん、やっぱり素敵な爺さまだわ^^


夜のラジオ
 
半田鏝を手にぼくは一九四九年製のフィルコのラジオをいじっている
真空管は暖まっているくせにそいつは頑固に黙りこくっているが
ぼくはまだみずみずしいその体臭にうっとりする
 
どうして耳は自分の能力以上に聞こうとするのだろう
でも今は何もかも聞こえ過ぎるような気がするから
ぼくには壊れたラジオの沈黙が懐かしい声のようだ
 
ラジオをいじることと詩を書くことのどっちが大事なのか分からない
まだ詩と縁のなかった少年のころに戻って
もういちど埃っぽい砂利道を歩いてみたいと思うが
ぼくは忘れている
まるで時間などないかのように女も友だちも
 
ただもっと何かを聞きたいもっと何かが聞こえるはずだと
ぼくは息をつめ耳をすませてきただけだ
入道雲が湧き上がる夏ごとの空に
家族が集うしどけない居間のざわめきに
 
生きることを物語に要約してしまうことに逆らって

(谷川俊太郎 詩集『世間知ラズ』より)

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英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 『シンデレラ』 @東京文化会館(5月3日)

2015-05-07 00:06:03 | バレエ




とってもキレイな舞台でした~~~
東京文化会館の舞台が童話の世界に変わってた~。
事前にyoutubeでDVDの映像(今回と同じキャスト)を一部観ていたのだけれど、セットも照明も衣装も実物の方がずっと美しく見えました。
バレエのシンデレラを観るのは今回が初めてで、このビントレー版としばしば比較されるアシュトン版は観たことがないのですけど、この演出、私はとても好きでした。
全体にわたって夜の星のイメージなんだね。舞踏会でも柱や壁に星の影が映ってて

幕の使い方も象徴的で面白かったな。夜を思わせる濃紺色で時計が大きく描かれていて、一幕&二幕の前では針が12時直前を指しているのだけど、(舞踏会で12時を迎えた後の)三幕の前では時計は壊れていて、割れたガラスの破片が散ってゼンマイも飛び出て、針も取れてしまっている。
衣装は、ヘアスタイルがロココ調で、ドレスはゴシック調? 色合いもデザインもセンスが良かった こういうちょっと怖いお伽話みたいな雰囲気って、あちらのバレエ団はよく似合いますよね。
そして照明が、生で見ると本当に美しかった。昼の陽の光が夜の月の光に次第に変わっていく様子とか、舞踏会が終わった後、シンデレラが目覚める場面の朝の光とか。

キャストは、主役のお二人も脇役の皆さんも、この作品にピッタリでした。
王子役のイアン・マッケイは、特に好みのダンサーというわけではなかったのだけれど、珍しくバレエの王子を見てこういう王子なら付き合いたいわ~と思った笑(ジークフリート王子とか絶対付き合いたくないもの^^;)。優しそうだし、守ってくれそうだし。正統派の王子様はいいね。
シンデレラ役のエリシャ・ウィリスも、健気で薄幸そうな雰囲気がシンデレラそのもの。豊かな表情もよかったなぁ。二幕の王子とのパドドゥが愛に溢れていて、だから三幕では幸せになれてよかったねぇと心から感じた(*^_^*) そして美しい服の王子がボロ服のシンデレラと踊る姿は、王子がシンデレラを心で選んだことが視覚的に伝わってきて、温かい気持ちになりました。

ガラスの靴の使われ方も素敵でした。
ガラスの靴はお母さんの形見で、シンデレラは継母や意地悪な姉達に苛められて悲しい気分になったときは、いつもこの靴とお母さんの写真?を眺めては自らを励まして頑張っていました。彼女の魅力的なところは、現状をひたすら悲しみ続けるのではなく、藁の箒を王子様に見立てて一緒にダンスを踊ったり、どんな状況でも失われない素直な前向きさと心根の優しさにあるのだと思います。
シンデレラが最後に王子と幸せになることができたのは、魔法の力というよりも、彼女自身の力なのだと思う。
そんな彼女が三幕で仙女(実は死んだお母さんの精霊)にガラスの靴を返す場面は感動的でした。これからはシンデレラには王子様がついていてくれるから、もうこの靴は必要ないんだね。お母さんも、ようやく安心することができるんだね。

音楽がロミジュリと似てるなぁと思ったら、同じ作曲家(プロコフィエフ)なのですね。

カテコにはふつうにカエル&トカゲ&ネズミさん達も参加笑
この動物達のかぶり物も、品があって素敵でした~。

最後は恒例のSAYONARA See you againの垂れ幕と紙吹雪。
今回は5階サイド席(5,000円也)でしたが、一番中央寄りの席をゲットすることができたのでほぼ見切れもなく、2時間半たっぷり夢の世界を堪能することができました




来日公演ではこの動画でシンデレラが羽織っている明るいピンク色の布はもう少し地味目な色合いのものに変わっていて、そちらも素朴な顔立ちのエリシャによく似合っていました。

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