先週末、人生3度目のバレエ鑑賞に行ってまいりました。
1度目がン十年前の森下洋子さん、2度目が4年前の吉田都さん、そして今回が熊川哲也さん。
で、感想はというと。
めちゃめちゃ楽しかったです。
まず、演目がよかった。
ドン・キホーテってすごく楽しい演目なんですね。知らなかったです。
派手な音楽、舞台を彩る赤と黒の情熱的なカラーにテンションは否応なく上がる上がる。
そしてなにより、熊川さん。
すごいの観た・・・って感じでした。
力強くて、伸びやかで、キレがあって、男性ダンサーの中でも際立っているのが実際の舞台を見るとよくわかる。
今年40歳とのことで、以前のようなジャンプ力は今はないと聞いています。
でも、そんなのは全然問題じゃないと思わせる魅力がその踊りにはありました。
むしろ、若い頃よりも今の方がいいようにさえ思えました。
というのも私、若い頃の熊川さんは実はあまり好きになれなかったんです。
バレエを踊っていても何をしていても「俺ってすごいでしょ?」という感じが前面に出てしまっているように見えて、それって表現者としてどうなのだ?と思っていたわけです(テレビで見ていた限りですが)。
その点、昨日のはよかった。
そもそもバジルという役が、彼にぴったりなんですよね。
この人は、王子様のような役よりも、こういうちょっとやんちゃな役の方が絶対に似合うと思う。
youtubeで色んな方のバジルを観ましたが、熊川さんのバジルが一番魅力的に感じました。一般的なプレイボーイっぽいバジルより、熊川バジルは誠実そうでよい。
そういうわけでミュージカルにしろバレエにしろ「その役に見える」というのは私にとってすごく重要なことなんですが、そういう意味では、キトリ役の佐々部佳代さんもなかなか良かったです。
1幕は緊張されていたのか動きがぎこちなくて正直このまま3幕までいったらどうしよう・・・と心配してしまいましたが、2幕の最初で熊川さんと森の中でいちゃいちゃ(笑)してるシーンがすごく可愛らしくて、それ以降は結構楽しそうに踊られていて、殆ど気にならなくなりました。
またそんな佐々部さんを熊川さんが常に気にかけてリードしている感じが妙な「恋人キトリを見守る頼れるバジル」効果を生み出して、なんだかとってもいい雰囲気に見えてしまったんですよ(本人たちにそんなつもりは全くなかったでしょうが)^^;
もちろんもっと彼女のテクニックが安定して、+この雰囲気も出せればそれがベストですし、この先ずっとああでは困るのですけど、今回の二人については偶然に美味しいものを見させてもらった気分でした。
こういうのは生の舞台の面白いところですね。
それとこのお二人は体形もとても合っていてよかったです。
「その役に見える」ということが重要な私にとっては、テクニックと同じくらい体形や容姿も重要要素なので。
体形といえば、エスパーダ役の宮尾俊太郎さんもスラリとしていて、なかなかカッコいいエスパーダでした。彼は長身でルックスがいいので、こういう役が似合いますね。
それでも熊川さんのバジルと比べてしまうと、さすがにオーラの点で、物足りない感じは否めませんでした。
彼は、もっともっと主役を食っちゃうくらい大胆にはじけちゃってもいいんじゃないかなぁ。
そうすれば、さらにカッコいい色男エスパーダになりそうな気がします。
あとこれは宮尾さんとは関係ありませんが、闘牛士のあのショッキングピンクの布とショッキングピンクの長靴みたいなブーツ・・・・、勘弁してください・・・泣
熊川さんはあれが斬新でいいとか思っているんでしょうか。思っているんでしょうね・・・・・。
布は素直に赤の方が情熱的で素敵です!
そしてショッキングピンクのブーツなんて、何かの冗談にしか見えません!
安っぽすぎ&ダサすぎです!!!
はぁはぁ・・・・。
えーと、あとは。
メルセデス役の浅野さんは、宮尾さんと同じくもっと個性的でもよかったようにも思いますが、踊りはとても綺麗でした。
キューピッド役の日向さんと、もう一人、森の女王役(なのかな?あれは)の松岡さん?もとてもお上手で素敵でした。
クラシカルジェンツのお二人もよかった(秋元さんと西野さん)。どちらがどちらかはわかりませんでしたが^^;
あと、ガマーシュ役のビャンバ・バットボルトさんがダンスも綺麗でユーモアもあって、とてもよかったです。
・・・なんか自分用の備忘録であることがバレバレな文章ですね。
やっぱり生の舞台はいいですねー。
この世知辛い世の中でまったく異世界の数時間を体験させてくれるんだからチケット代も高くない!
と、言いたいところですが。。。
やっぱり高すぎます~・・・・。
今回私が払った金額、4年前にロンドンで観たロイヤルバレエの10倍です。。。
その名残でいまだにロイヤルオペラハウスから案内メールがくるのですが、先日届いたウィンターシーズンのバレエなんて、一番安い席が4ポンド(約500円)!ワンコインですよ(イギリスではツーコインですが)。
それで会場はあのロイヤルオペラハウスなのだから、かなしくなります。。。
貧乏人は良質の芸術を楽しめない国、日本。。。
ではでは最後に、若き日の熊川さんのバジル・ソロをご紹介。
ロイヤルバレエ団の頃ですかね?
やんちゃなバジルの超絶カッコいい第3幕のソロの見せ場です。このギャップが素晴らしすぎる。
ただ若き熊哲なだけに、どうよ、すごいでしょ?感が全開ですが、笑。
ジャンプは確かに超人的ですがなんかアクロバティックな体操を観ているみたいで、私はやっぱり先日観た熊哲バジルの方が優しさと包容力が滲み出ていて好きです。
そしてこのキトリもすごく上手ですね。こちらも超人的。
映像が不鮮明でよくわからないけど、吉田都さんかな?
このお二人も、体格のバランスがいいですね。
Don Quijote - Tetsuya Kumakawa [ Variacion & Coda ]
☆今回のドン・キホーテについての熊川さんのR25インタビュー