なんだかんだ言って、やっぱりそうだよね、という……こういう、一見まっとうな捉え方を疑ってかかれば、社会的にはひねくれ者と言われてしまうだろう。だが、これらもまた偏見の一種なのだ。偏見とはつまり、自分で経験したことではないのに、親や大人の躾けによって、社会一般の環境によって、さも自分で判断したかのように思い込んでしまう、固定化された視線である。
そしてこの偏見が、目を曇らせるという意味でマンネリ同様の大敵なのだ。世界との関係を味わって生きていくはずだった人生を、知らず知らずのうちに錆び付かせてしまうのがこいつ。
……
旅とは人生のことであり、誕生であり、発見であり、一滴の雫の煌めきである。
臆するな。旅をせよ。
世界は最初から与えられている。
(明川哲也 『なやむ前のどんぶり君』より)