私の体は、すでにナポリに埋葬された。だから今、私には影が無い。だがこうして話し、感じ、そしてもっと大事なことは、現に私がお前を案内しているということだ。何が大事かを知ることだ。理屈を超えて見ることだ。何故と思う事は良いが、その時下手に理屈を探さぬことだ。人が理詰めで行ける道には限りがある。全てをあるがままに、景色のように見るがいい。全ては不思議、全ては自然。映る心を知ることだ。
(『ドレの神曲』より)
ダンテの『神曲(La Divina Commedia)』です。
人生半ばにして深く暗い森に迷い込んだダンテと同じ位の年齢になったから、というわけでは全くなく。
『インフェルノ』とも関係なく(そもそもダヴィンチコードも未読である)。
ラファエル前派展からの、ロセッティつながりでございます。
わたくし、GW後半はヒドイ風邪を引いてしまいまして・・・・・・。おかげで読書が進んだこと進んだこと。
『神曲』は以前に抄訳を読んだことがあるのですが、今回もまた抄訳。訳は谷口江里也氏です。
全訳に踏み切るには他に読みたい本が多すぎて、なかなか・・・。
さてこの『神曲』。煉獄でヴィルギリウスがダンテに言った言葉ではありませんが、難しく考えずにただ素直に物語として読むだけでも、とても楽しい読み物です(原文は長編叙事詩)。とにかくダンテの想像力がスゴすぎ
しかし今回お伝えしたいのはその文章よりも、絵!ギュスターヴ・ドレの絵!
すっっっっっごい迫力なの!
美しいの!
神曲の世界そのままなの(抄訳しか読んでないけど)!
「神曲に興味はあるけど、いきなり全訳は・・・」という方、この本オススメですよ~。もう文章よりも、次の絵が見たくてページをめくってしまう。
ところで、ダンテの地獄のイメージはもちろんキリスト教の地獄のイメージだと思いますが(※聖書には具体的な描写はないそうです)、仏教の地獄のイメージとひどく似通っているのはどういう理由によるのだろう。
いくつもの層から成っていたり、黄泉の川があったり、生前の罪の重さを審判される場所があったり、火釜的な責め苦とか。
ダンテがこれを書いたのは13~14世紀ですが、興味深いところです。
以下、ドレのめくるめく世界の一部をどうぞ。
地獄篇
煉獄篇
煉獄篇
天国篇