風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

英国月間

2022-09-14 02:06:52 | 日々いろいろ


9日(日本時間)の早朝に目が覚めてなんとなく枕元のスマホを覗いたら、最初に目に入ったのがこちらのtweetでした。
寝起きのぼんやりした頭の中で94歳の祖母の顔が浮かんだり、英語では女王の崩御も”died"なのだな、そのシンプルさがいいな、とか。自分の国のことではないのに喪失感も覚えたり。
そういえば、亡くなった友人がウィンザー城の庭でエリザベス女王を遠目に見たそうで、「発光してた!」と言っていたなあ。

以下の動画↓は、ロンドン響からの追悼。
一つ目は、英国国歌の演奏とラトルからの追悼メッセージ。
 

二つ目は、ロンドン響とエリザベス女王との長い長い歴史について。
エルガーの「ニムロッド」の美しさよ…。
 

エリザベス女王の逝去は偶然だけれど、ふと気づくと今月の私はイギリス月間なのであった。
月末にはロンドン響が来日予定だし、先日は日本橋三越の英国展に行ってきました。



今回PartⅠとPartⅡの両方に行ったのですが、その間に女王が亡くなられたのでした。PartⅠのときには華やかに感じられたプラチナ・ジュビリーの記念グッズも、PartⅡでは悲し気に見えたな…。


2018年度英国フィッシュ&チップス協会主催のコンペティションのチャンピオンに輝いたという『Millers(ミラーズ)』のイートイン。美味しかった
わたし、フィッシュ&チップスにかけるビネガーの味が大っっっ好きで、イギリスでもバシャバシャかけてたんですが、今調べたらモルトビネガーというんですね(麦芽から作られる酢)。日本でも買えるみたいなので、今度買ってみよう。ファーストフードのフライドポテトにかけたい。

写真右の瓶は、スコットランドのハービストン・ブルワリーのビール「シェハリオン」。

これ、初めて飲んだけど美味しい~~~
エールが並ぶ中で選んだラガーですが(『リヴィエラを撃て』のジャックパパが頭に浮かんだので)、ラガーらしからぬコクもあって、すごく好みの味
以下は、輸入者のウィスク・イー社のテイスティング・コメント。

シェハリオン クラフトラガーは、かつて夏目漱石も滞在したピトロッホリーにある山の名をとった、カスクコンディションのプレミアムラガーです。トースティーでクリーミーなノド越しから、ハーブスパイスとレモンの収斂味、アロマホップの目の覚める苦味。こんなに香り豊かなラガーはなかなかお目にかかれません。爽快なホッピーラガーはこれからの季節にピッタリです。WBAピルスナー部門優勝。

登山しているネズミのラベルも可愛い
ピトロッホリーは、以前スコットランドに行ったときに訪れたことがあります。


ピトロッホリーの中央通り。
とても小さな町で、これが唯一のメイン通りだった記憶。
遠くに緑色の丘陵が見えるのが、いかにもスコットランドの町


人一人いなかった、ピトロッホリーの駅。あちらの鉄道駅って可愛らしくて大好き。
ところでネットでは日本語で「ピトロッホリー」と「ピトロクリー」の2つの記載が出てくるのだけど、英語の発音は「ピトロックリー」と聞こえますね 漱石は作品の中で「ピトロクリ」と書いている(可愛い)。漱石が滞在した建物は今もホテルとして営業しているそうです。

話を英国展に戻して。
英国展で売っている物はイギリスで買う数倍の値段がついているので沢山は買えませんが、チープなお土産系も売っていて、こちら↓は数年前に買った「ハギス」のマグネット(確か当時300円で買ったのだけど、今年は値上がりして500円とかになってた…)。


ハギスは、羊の内臓を羊の胃袋に詰めて茹でたスコットランドの伝統料理。


これはエジンバラで食べたときの写真で、ポテトの下の挽肉ぽい部分がハギスです。
好き嫌いが分かれる料理のようですが、私は羊肉が好物なので美味しくいただきました。
このハギス、ウィスキーの博物館のようなところで食べた記憶があるのだけど、どこだったっけ…
と当時の写真を調べると、建物の写真を撮っていました↓


この写真をgoogleレンズで検索してみたら、「スコッチウイスキー・エクスペリエンス」と
スマホってすごい。。。。。。。。。
とてもいい博物館でレストランも美味しかったので、エジンバラに行かれる機会があったら是非
そしてスコットランドに行かれる機会があったら、壮大な自然の広がるハイランドにも絶対に行ってみてくださいまし。

今回の英国展のPartⅠでは、屋上庭園でバグパイプ&吹奏楽の演奏がありました。
私はもしかしたらバグパイプを生で聴いたのは初めてだったろうか
中島みゆきさんの『麦の唄』から始まり、最後は『ハイランド・カテドラル(Highland Cathedral)』という曲で終わりました。このハイランド・カテドラル、私は初めて聴いたのですが、とても良い曲。スコットランドの国歌にも推されているそうです。
今回バグパイプの音色を生で聴いた瞬間、スコットランドの緑の谷や丘陵の風景が瞼に浮かびました。この楽器はロンドンや東京のような都会の中にあるべき楽器ではなく、ああいう広大な自然とともにあるべき楽器なのだなあと感じました(古くは戦場で使われていたそうです)。束の間、スコットランドの空気を思い出させてもらえて楽しかった。
以下は、トリビア。

エリザベス女王の朝は、バグパイプの生演奏で始まります。女王専属のバグパイプ奏者(パイパー・トゥ・ザ・ソブリン)が毎朝午前9時から15分間、寝室の窓の外で演奏するという。
そしてこの奏者は、ウィンザー城、バッキンガム宮殿、バルモラル城など、女王が滞在するすべての場所に同行するそうです(『タトラー』誌によると、宿泊できる部屋がないため、サンドリンガムの私邸にだけは同行しないとか)。
また、1995~98年に女王のバグパイプ奏者を務めていたゴードン・ウェブスター氏によると、「女王は毎朝同じ曲を聴くことを好まれない」ため、専属の奏者は700曲以上を覚える必要があるとのこと。

『バグパイプ・ニュース』によれば、王室が専属のバグパイプ奏者を任命する伝統は、1843年にヴィクトリア女王と夫アルバート公が初めてスコットランドのハイランドを訪れ、テイマス城に滞在したときから続くものだそう。
ヴィクトリア女王はこのときの滞在について、母親への手紙に次のように綴っています。
「この美しいハイランドに到着して以来、バグパイプの音しか聞いていません。それがとても気に入りました……(ウィンザー城の)フロッグモアでも聴きたければ毎晩でも演奏を聴くことができるように、バグパイプ奏者を雇おうと思います」・・・

(ヴァンサンカン)

PartⅡでは、中央階段の上にあるパイプオルガンを聴きました。このパイプオルガンは昭和5年に米国から購入され、昭和10年から現在の場所にあるそうです。今回は英国展にちなんでイギリスに関係する曲目が演奏されました。


写真中央はパイプオルガン、ではなく三越本店名物の天女像。その奥に隠れるようにあるのがパイプオルガン笑。パイプはどこにあるかというと、オルガン両脇の白いカーテンがかかった小部屋の中だそうです。
英国国歌『God Save the Queen』の演奏から始まり、イギリスにちなんだベートーヴェンやヘンデルの曲が数曲、それからイングランド民謡『埴生の宿』、最後に日本の唱歌『ふるさと』が演奏されました(歌は、テノール歌手の小野勉さん)。演奏した青島広志さん曰く「『ふるさと』には英国国歌の影響がみられる」とのこと。確かに似ているといえば似てるかな


地下通路のディスプレイ

”英国展”と名の付くイベントは色々な百貨店で開催されていますが、個人的には毎年秋に開催されるこの日本橋三越のものが一番規模が大きく種類も豊富な気がします。人も激混みですが、お祭り気分を楽しむにはオススメです。ランゲージファームのクロテッドクリームなど、日本ではなかなか入手できないものも買えますよ。

最後に、ハイランドにあるネス湖の写真を。
こういう天気の日なら、ネッシーも出てきそう。