漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

パフォーマンス漢方?

2023年09月12日 13時09分29秒 | 漢方
ってどういう意味?
という気持ちで某セミナーをWEB聴講しました。
講師は耳鼻科医の五島Dr。

漢方関連セミナーとしては型破りというか、異色の内容でした。
で、そのパフォーマンスとは…
「プラセボ効果を存分に使う」という意味でした。

同じ漢方方剤を処方する際に、ただ処方するより、
「あなたに合った特別な薬を処方して上げますよ」
と思い込ませることにより、有効率が上がるというのです。

まあ確かに、一般臨床で感じていることではありますが…。
私も今一つ乗り気でない患者さんには、
モチベーションを上げるために、
「こんなに効いた患者さんがいましたよ」
と例示することがしばしばありますね。

では五島Drから口伝されたポイントを。
といっても、彼は「パフォーマンス耳鼻科漢方」という電子書籍を出版しており、
私はすでに購入していたことに気づきました。
読んだはずなのですが…中身を全然覚えていません。

<ポイント>
・プラセボ効果とは、薬理作用のない薬が効果を示すこと。
・プラセボ効果は信頼関係によって高まり、それを最大限に高めるのがパフォーマンス、漢方の応用することを「パフォーマンス漢方」と命名。
・患者さんとの距離感は近すぎず遠すぎず~お仕事だから~
・めまいの患者さんへの使い分けは、地味(陰証)には半夏白朮天麻湯、派手(陽証)には苓桂朮甘湯
・五苓散合苓桂朮甘湯は利水効果アップでメニエール病重症例に適用するが、基本的には単剤が望ましい。
・めまい漢方の使い分け
+「暗い」患者には半夏白朮天麻湯
+「暗い不安」は分心気飲(苓桂朮甘湯+半夏厚朴湯)
+「明るい不安」には苓桂朮甘湯
+「明るい」「不安なし」は治療の必要なし?
・めまい漢方の投与期間の目安
       (効果発現まで)   (症状消失まで)
(五苓散)    1~7日       14日(2w)
(苓桂朮甘湯)  1~14日      28日(4w)
(半夏白朮天麻湯)数日~28日     84日(12w)
・めまい漢方の口訣
(古典)「立てば苓桂、回れば沢瀉、歩くめまいは真武湯」
(五島)「派手は苓桂、天気は五苓、幽霊めまいは半夏白朮天麻湯」
・小柴胡湯はPSL、桔梗湯はトラネキサム酸に相当


放送禁止用語がバンバン出てくるので書きにくい…
以降は備忘録としてのメモ書きです。


漢方処方の5段階パフォーマンス
1.まずは傾聴
2.共感、興味、承認(そなたテクニック)
3.息継ぎに集中して話を止める。
4.少し特別扱いして承認する(お仕事だから)
5.とどめの一言

(冬の)そなたテクニック
1.反応する 「そう・・・」
2.興味を示す「なるほど・・・」
3.理解を示す「たしかに・・・」

処方時に加えることで治療効果がアップする名言集
(苓桂朮甘湯)不安な時は甘いものが欲しくなりますね、この薬はシナモンロールのようなものですよ。
(呉茱萸湯)美人に効く漢方です。良薬は口に苦し。
(当帰芍薬散)美人に効く漢方。
(半夏白朮天麻湯)じっくり効かせる漢方
(牛車腎気丸)じっくり効かせる漢方
(補中益気湯)倦怠感(苦労人)、疲れた人に効く漢方
(加味帰脾湯、加味逍遙散)神(加味)処方です!

めまいの漢方治療
といいつつも、めまい治療の基本は「リハビリ」だそうです。
以下の3方剤を使い分ける。
・五苓散
・半夏白朮天麻湯
・苓桂朮甘湯

めまいの模擬患者ーその1
・静かに診察室に入室。
・こちらから話しかけてようやく話し出す人。
・下を向いていてやせ型。
・服やカバンが単色系、グレー系の人。
→ 半夏白朮天麻湯…上げる薬(時間かかる)

めまいの模擬患者ーその2
・診察室に入った瞬間、聞いてもいないのに話し出す人。
・神経質
・中肉中背でやや小太り
・服やカバンが派手な人。
→ 苓桂朮甘湯…下げる薬(早い)

めまいと(印象の)明暗による使い分け
・めまい+「暗い」患者には半夏白朮天麻湯
・めまい+「暗い不安」は分心気飲(苓桂朮甘湯+半夏厚朴湯)(中島紀一Dr)。
・めまい+「明るい不安」には苓桂朮甘湯
・めまい+「明るい」+「不安なし」は治療の必要なし?

投与期間の目安(佐藤公輝Dr2019年漢方と最新治療より)
       (効果発現まで)   (症状消失まで)
(五苓散)    1~7日       14日(2w)
(苓桂朮甘湯)  1~14日      28日(4w)
(半夏白朮天麻湯)数日~28日     84日(12w)

苓桂朮甘湯と五苓散の使い分け(佐藤Dr:岐阜県の産婦人科医)
・苓桂朮甘湯は、桂皮+甘草の組み合わせで抗不安効果がある。
→ 不安を伴った水毒には苓桂朮甘湯
・苓桂朮甘湯は甘草のため水を体内にためてしまう可能性がある。
・水毒に普遍的に、頓服的に使えるのが五苓散。
・水毒症状があるときは、五苓散を2包頓服させて効果をみる(五苓散テスト)。

▢ めまい漢方の口訣(の変遷)

(古典)
「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
 ↓
立てば苓桂、回れば沢瀉、歩くめまいは真武湯
・立ちくらみには苓桂朮甘湯
・回転性めまいには沢瀉湯(五苓散で代用)
・歩く時、浮動感があるようなめまいは真武湯
・なんとなくフラッとしたり、立ちくらみがしたり両方の症状があるときには真武湯と苓桂朮甘湯を併用することもある(稲木一元Dr)。

(現代 by 五島Dr)
派手は苓桂、天気は五苓、幽霊めまいは半夏白朮天麻湯
・苓桂朮甘湯
・五苓散
・半夏白朮天麻湯

頭痛の漢方
・五苓散:低気圧の影響を受ける
・呉茱萸湯:胃腸が弱く、胃部が冷える。血色が悪く、手足が冷える人の発作性の片頭痛、嘔吐。

頭痛漢方の使い分け
・苓桂朮甘湯:うざい患者
・半夏白朮天麻湯:幽霊
・五苓散:気象病
・呉茱萸湯:美人
・真武湯:冷えた老人
・補中益気湯:苦労人 

扁桃炎には小柴胡湯加桔梗石膏
小柴胡湯加桔梗石膏=小柴胡湯+桔梗湯
小柴胡湯は代表的な柴胡剤(急性炎症)=PSL
桔梗湯は桔梗と甘草の二剤からなる、咽頭痛・咽頭炎の漢方(トラネキサム酸



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