漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

更年期障害の漢方治療(更年期指導士レクチャー3)

2023年09月09日 07時47分38秒 | 漢方
「更年期指導士」(日本女性心身医学会主催)
という資格取得のためのセミナー3つ目はいよいよ漢方の出番です。

…しかし期待したほどの内容ではなく、
“広く浅く”知識を得る、程度でした。

<ポイント>
・婦人科三大処方:当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸
・それぞれの方剤の特徴により使い分ける:
(血虚・水滞)当帰芍薬散
(血虚・お血・気逆・気滞・気虚)加味逍遙散
(お血)桂枝茯苓丸


以降は備忘録としてのメモ書き;

▢ 更年期障害の治療法
1.薬物療法
・ホルモン補充療法(HRT)
・漢方薬
・向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬)
2.非薬物療法
・生活習慣の改善
・サプリメント
・心理療法

▢ 更年期に使用される三大漢方(処方薬)
(23)当帰芍薬散
(24)加味逍遙散
(25)桂枝茯苓丸

▢ 更年期に使用される市販漢方薬
・当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、抑肝散
・命の母A、ルビーナ、中将湯…

▢ 更年期症状の出現順序
1.月経不順
2.自律神経失調症状
3.精神神経症状
(ここらへんで閉経)
4.泌尿生殖器の萎縮症状
5.脂質異常症・高血圧
6.骨粗鬆症

▢ 婦人科三大漢方の使い分け(その1)
血虚(→補血) 当帰芍薬散>加味逍遙散>桂枝茯苓丸
お血(→駆お血)桂枝茯苓丸>加味逍遙散
水滞(→利水) 当帰芍薬散>加味逍遙散>桂枝茯苓丸
気逆(→降気) 桂枝茯苓丸>加味逍遙散
気滞(→理気) 加味逍遙散
気虚(→補気) 加味逍遙散

▢ 婦人科三大漢方薬の使い分け(その2)
(23)当帰芍薬散:血虚水滞
(24)加味逍遙散:血虚お血・水滞・気逆気滞気虚
(25)桂枝茯苓丸:血虚・お血・水滞・気逆

▢ 更年期症状による漢方の使い分け例
冷え   → 温経湯、人参養栄湯、十全大補湯
多汗症  → 防已黄耆湯
肥満・便秘→ 防風通聖散
イライラ → 抑肝散
不眠   → 加味帰脾湯、抑肝散
不安感・不眠・動悸→柴胡加竜骨牡蛎湯
頭痛   → 呉茱萸湯、五苓散、戦中茶趙さん
肩こり  → 葛根湯、二朮湯、桂枝茯苓丸
腰痛・関節痛・指の痛み→桂枝か朮舞踏、牛車腎気丸
むくみ  → 五苓散、柴苓湯、防已黄耆湯
倦怠感  → 補中益気湯、人参養栄湯、十全大補湯

▢ 漢方の副作用の注意点(とくに併用の場合)
・甘草:偽アルドステロン症、高血圧、低カリウム血症、むくみ
・麻黄:不眠、多汗、動悸、脱力感
・附子末:心悸亢進、舌のしびれ
・大黄:下痢

▢ 更年期症状への効果が期待される食品・栄養素(サプリメント)
・イソフラボン、ポリフェノール、ビタミンE…
・有効性が明らかなものは存在しない(NCCIH)

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