かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の歌の鑑賞 211,212 

2022-09-25 10:50:25 | 短歌の鑑賞
     ブログ版 清見糺の短歌鑑賞    
                  鎌倉なぎさの会  鹿取 未放


211 ひんぱんにおくびがこみあげくるからにクリニックにゆくびょういんぎらい
      2003年3月作

 ここでいう病院は大病院のことで、クリニックは町の小さな医院だろう。麻酔管理をきちんとしてくれる町の病院なので苦痛は全くないと聞いて、痛いのが苦手な作者も胃カメラを呑む気になったようだ。げっぷがよく出るからポリープぐらいあるかもしれない、と考えていたようだ。


212 こときれしオルガンひとつむらきもにしずめて胃カメラのみにゆくなり
           2003年3月作

 オルガンは、臓器(オルガン)。二〇〇〇年に出た岡井隆の歌集『臓器(オルガン)』の影響だろう。「むらきも」はここでは「身体」くらいの意味で使っているが、本来名詞形はなく、「群(むら)肝(きも)の」の形で枕詞として使う語。臓器に心が宿っていると考えたことから、「心」にかかる枕詞。前年、耳下腺腫瘍で手術をした時、事前の精密検査で腎臓が片方萎縮してないということを知らされていた。「こときれしオルガンひとつ」とは、萎縮した腎臓のことだろうか。


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