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ツリオヤジのキドニーケアな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

梅乃家 [富津市] ~ 竹岡ラーメン考

2024-07-15 05:26:22 | 竹岡ラーメン

千倉のイワシ泳がせからの帰り道、梅乃家の前を通ると、珍しく行列が無い。

ところで、こないだ飲みながらラーメン談義をしていたのですが、どうも梅乃家の評判が芳しくない。どういうわけだろうと気になっていたので、いい機会なので寄ってみました。

インターネットの普及で、千葉の地ラーメンは大きな恩恵を受けたと思います。マスコミではほとんど注目されなかったマイナーな食べ物が、面白おかしく紹介されるようになり、知名度も上がりました。しかし、竹岡ラーメンには、いくつかの怪情報があります。

1. 炭火で煮るから美味しくなる?
焼魚などは確かに炭火で焼くと美味しくなります。ガスが燃焼時に水蒸気を発するのに対し、炭火はそれがありません。焼魚の表面がカリっと焼きあがるし、遠赤外線で身の芯まで熱が通ります。しかし、お湯をわかして麺を茹でるのに炭火が影響するのでしょうか?茹でる調理なら燃焼時に水蒸気がでまいが関係ないし、水を介せば遠赤外線効果もなくなります。炭火で煮るから美味しいと語る人は、ガス火で茹でた麺との味の違いが果たしてわかっているのでしょうか?そう語る人は、炭火で沸かした風呂の方が気持ちよいとか、炭火で発電した電気はクリーンエネルギーだとかいう炭火原理主義者なのかもしれません。

2. 乾麺は誰が茹でても均一の品質に茹で上がる?
おばちゃんごとに技量が異なり、乾麺なら誰が茹でても大丈夫、という記述をみかけますが、おばちゃんを舐めすぎ。千葉のラーメンの90%はおばちゃんが作ってます(当社調べ)。生麺を茹でられないで乾麺なら茹でられるというのはどういう根拠なのだろう?というより、ただでさえ伸びやすい乾麺を一気に大鍋で茹でて出して来るのに、品質均一もないでしょう。

3.竹岡ラーメンという呼称は使えない
これは前にブログで書いたので省略。

4.炭火の方が火力調整しやすい。
おへそがお茶を沸かします。

などなど、怪情報が氾濫しているのもまたインターネットの功罪と言えるでしょうか。
そんな情報に惑わされ、ここでしか食べられない、他に類を見ない、千葉県ならではの味、などと興味をそそり、本質とは離れたところで人気が出ている例ではないかと思います。

けして竹岡ラーメンをディスっているわけではありません。わたしは竹岡ラーメンも梅乃家も大好きです。

梅乃家は、長閑な漁師町で漁から揚がった漁師さん相手のお店でした。漁港の傍ら、ガスも引かれていない小さな家で炭火を使って調理し、漁師さんが好きな豚肉をたっぷりと出して、それを肴に梅割りも楽しんでもらおう。時化の日などは、仕事にあぶれた漁師が押し寄せ、麺が足りなくなる。乾麺なら在庫管理は容易で時化の日も安心。かつては朝一で生麺を提供し、それがなくなると乾麺になったそうです。朝から営業するので、時間をかけて出汁を取るのは難しい、そこで出た智慧が豚の煮汁をお湯で割ってスープを作るという技法です。これが地元の宮醤油と相性がよい。漁師は梅割りにチャーシューを食らい、ラーメンを食べて腹を満たし、漁の疲れを癒す、そんな店だったはずで、それがツリオヤジ、ライダーに知られることになり、やがて一般の人に広がり始めました。

つまり、梅乃家の魅力の本質は、漁師町から生まれた文化を継承していることにほかならない、と思います。それをもの珍しさに変換し、観光客商売にしたり、インスタントラーメンで儲けたり、本質から外れたところで人気が出ると、そこには慢心と堕落が生まれます。

というように、たかがラーメンですが、されどそこには文化と歴史がある、というのもラーメンです。

なんてことを訪店前は考えていたんですが、それはさておき、店に入ります。

このところいつもチャーシューメン品切れ。

ラーメン950円。
前回きたのが2020年で850円、またもや値上げされています。
やくみはなんと50円から100円に。千葉はたまねぎ1個いくらなんだ?^^;
2007年の時点で、このラーメンは500円でした。

現在の竹岡ラーメンでは、富士屋が650円寿ラーメンが600円なので、割高感を感じざるを得ません。

ここは1000円以内で収めましょう、ラーメンくださーい。

まわりを見渡すと、お客さんは旅行者らしいグループや、東京を歩いてそうなナウいアベックが目立ちます。
赤銅色に日焼けした昔によくみた漁師さんらの姿は見られません。

おばちゃんらは5人体制、相変わらず元気いっぱいで、世間話に花が咲いています。このおばちゃん食堂の雰囲気は、梅乃家のよいところ。

濃い口、うす口指定ができるのね、前からこれ貼ってあったっけ?

ラーメン到着。
チャーシューが、なんと、3個。
普通のラーメンならチャーシューは2枚がいいとこなんで、3個は驚く事ではないかもしれませんが、ここは梅乃家。

過去の画像を調べてみると、2020年ははっきり数えてないけど4個以上2019年以前は5個
梅乃家最大の魅力、チャーシューが減っている....

数こそ減ったものの、このチャーシューは旨いです。醤油がたっぷり染みた歯ごたえ抜群の豚。
ラーメン二郎の豚に優るとも劣らない豚が、ここにあります。

麺は乾麺。普段インスタントラーメンを食べない人にとっては、珍しい味でしょう。
普段インスタントラーメンを食べる人にとっては、食べ慣れた味。

梅乃家の豚と麺の関係は、とんかつ定食のとんかつとキャベツの関係。やはり主役は麺よりも煮豚。

この麺がスープをたっぷり吸っていますが、スープの出汁感が減ったかな?
前はもっと豚出汁感を感じるスープでしたが、今日の印象は出汁感がすこぶる薄い。宮醤油の旨味が目立ちます。

スープを残してごちそうさま。

常に掲されるチャーシュー切れの貼り紙、少なくなったチャーシュー、薄いと感じた豚出汁感、これらからなにが帰結されるのでしょう。
以前の梅乃家のラーメンを食べたい、それもチャーシューメンにしてやくみを入れて食べたい、キニナルお値段は700円以下で食べたい、との思いを強くした日でした。

冒頭の仲間内での評判が腑に落ち、帰途につきました。

[梅乃家]
千葉県富津市竹岡410
10:00-18:00 火水休

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