ふと気が向いて、南総里見八犬伝の現代語訳を読んでみました。
わしらの世代は、子どもの頃、NHKで放映されていた人形劇「新八犬伝」を楽しみにしていた人も多いのではないでしょうか。
坂本九の語り、辻村ジュサブローの人形、仁義礼智忠信孝悌の八犬士による活劇です。
「おう、覚えてるぞ」という方は、まずこちらのテーマソングで当時を偲んでください。
→ オープニングテーマ (Youtubeへのリンク)
「いやぁ、懐かしいな」と思った方は、続けてエンディングテーマでほろりとしてください。
→ 夕焼けの空 (Youtubeへのリンク)
嗚呼、あの頃に戻りたいものです、、、(しみじみ)。
八犬伝の原本は全98巻、106冊に渡る長編ですが、それが文庫本2冊に圧縮されています。
とはいえ、この厚さ^^; かなり読みでがありますよ。
初版は2004年ですが、これは文庫化した時期で、元訳の初版は1956年のようです。
作者プロフィールはこちら。
内容は勧善懲悪、因果応報、すこぶる道徳的かつ教育的です。
儒教の8徳をそれぞれ犬士にあてはめ、仏教の因果がめぐるめぐる風車です。
伏姫ゆかりの八犬士は、落とし穴におちたり簡単なトラップに引っかかるゆるい側面もありますが、安定した強さで悪人をなぎ倒すさまは安心してみていられます。仇討ちも無問題、安倍菅麻生のような奸臣が次々と首をはねられるのは痛快そのもの、暴力が悪ではない封建時代ならではの面白さ。
北村透谷の言葉を借りれば「俗を喜ばす義勇談」といったところですが、ストレス解消にはもってこいの本です。
この味を覚えると、水戸黄門や遠山の金さんのような時代劇が人気があるのがよくわかります。
ただ抄訳のせいか、話のテンポがものすごく早く、この人誰だったけ?どんな因縁だったっけ?とページを戻って確認して、の繰り返しで、読み進むのに意外と時間がかかります。
犬士が登場してからは愉快痛快奇々怪々な活劇で楽しいのですが、それに至る前、伏姫の体から八つの玉が飛び出していくところまでが、この物語のオープニングで、かつクライマックスのように思います。
北村透谷は、著作「処女の純潔を論ず」のなかで、伏姫の純潔に着目し、伏姫の中に八犬伝あり、と述べています。「処女の純潔を論ず」は青空文庫で読めます(こちら)。
わたし、南房にはしょっちゅう釣りにいってるのに、ほとんど観光をしていないのですが、今度滝田城址や館山城など八犬伝ゆかりの地に訪れてみよう、という気持ちになりました。
p.s. 久しぶりに外飲み。つまみはどれもちょっとずつ。