ばあさんが置いて行った漱石の3冊目、門。
わたし、本読む前にはカバーかけて上のような内容紹介は見ないようにして、読み終わってから目を通すのですが、この内容紹介はあまり良い出来ではないです。「それから」の内容紹介とは対照的。
安井が登場するのは後半もだいぶ経ってからで、それまでの展開は芒洋と倦怠期の夫婦の姿が描かれて、とらえどころがない感じを受けました。
安井の登場から急な展開をみせ、前作「それから」との関連もわかってきました。
三四郎、それから、門、とどれも三角関係を描いた作品で、三四郎を読んだときに感じた初々しさは、後作になるほど薄められ、対して年を重ねたことによる達観が前にでてきているような感じを受けます。
題名「門」の意味も、最後になってようやくわかりましたが、どうも後半の展開が急すぎて、安普請の門という気がしないでもない、というのが正直なところです。
漱石の作品は、この三角関係のテーマが、「こころ」までつながっていくのですね。
もう一冊「行人」を読みたいところですが、三角関係の三連荘で疲れたので、しばらく漱石はお休みにして、また気が向いたら読みます。
書誌情報。初出は1910年、初版は1911年で新潮文庫は1948年。
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