ばあさんから借りた漱石2冊目、それから。
この内容紹介は、実に的確に内容を表しています。
三四郎の文体は読みやすかったのですが、それからは一転して読みにくい、難しい本でした。
比喩的な表現や、代名詞が指すところがはっきりしないところが多く、-これはわたしの読解力の低さもありますが-、読むのに時間が掛かりました。
例えば、次のようなくだりがあります。
「彼は現代の日本に特有なる一種の不安に襲われ出した。その不安は人と人の間に信仰が無い原因から起こる野蛮程度の減少であった。彼はこの心的現象のために甚しき動揺を感じた。彼は神に信仰を置く事を喜ばぬ人だった。又頭脳の人として、特に信仰を置く事の出来ぬ性質であった。けれども、相互に信仰を有するものは、神に依頼するの必要がないと信じていた。相互が疑いある人の苦しみを解脱する為に、神は始めて存在の権利を有すると解釈していた。だから、神のある国では、人が嘘を吐くものだと極めた。」
と読んでいて、最後に、ん?なんで神のある国では人が嘘を吐くのだ?という理由がわからなくなってしまいます。それでまた読み直して、その理由を考えて、納得したら次にいく、というように、一人で現国の試験と解答を作っているような状態になりました。
と、前半はそんな感じで読む時間が掛かったのですが、後半は物語が急流を下るような進行になると同時に読みやすくなり、最後までペースは落ちずに読めました。
感情を抑え理論によって不倫の気持ちを構築する代助については、共感の思いが絶えませんでした^^が、特に印象的だったのは、平岡との最後の会話において感情と理論が逆転するシーンでした。
こちら書誌事項。
次は、「門」を読みます。
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