タイに興味が向いたのは三島の暁の寺を読んでからですが、さらにその興味を深めるのに役立ったのがこの本でした。
アユタヤ王朝から、トンブリー朝を経て、ラッタナコーシン朝を開き現代にいたる王朝の歴史、立憲革命による民主化、東南アジア諸国を見舞った共産化の波を受け入れなかったこと、第二次世界大戦に敗戦国になりながらも属国にならなかったこと、数多いクーデターのこと、などなど、日本と比較すると興味深い内容が多くあります。
この本は2006年発行なので、2006年のクーデターまでが書かれていますが、その後も2014年のクーデターを経て、現在はプラユットの軍人政権が続いています。政治が腐敗すると軍部がクーデターを起こす、二・二六事件のようなことが日常茶飯事に起こるタイという国はとても興味深いものでした。
軍事クーデターといっても隣国のミャンマーのように独裁的なものではなく、(ある程度の数、もしくは過半数の)民衆の支持を受けた、いわば明るいクーデターと感じるのは、やはり君主としての国王を尊敬する立憲君主国だからなのでしょうか。
今回、実際にタイを訪れて感じたことは、信仰に篤く、国王を尊敬する国民だということはあり、さらにクーデターをものともしない国民気質に触れられるかと思ったのですが、それは感じませんでした。クーデターのクの字も見られない雰囲気を作るのもまた国民気質なのでしょうか。
親日として報じられることが多いタイですが、1972年には、対日貿易赤字を巡って反日運動が学生を中心に起こったこと(これは権威主義への抵抗だった)等もこの本を読んで知りました。あと、タイで最も有名な日本人はコボリ(小堀)という映画の主人だそうです。「メナムの残照」というのがその映画とのことで、本にもなっているので、読んでみようかなと思ったけど、amazonで高い....
こちら目次。
読み物としても、面白い一冊でした。
タイ好きの人にはお勧め。
著者プロフィールと書誌事項。
ちなみに、旅行に持っていったガイドブックはこちら。
得てしてこのようなガイドブックはちゃらいものが多い印象を受けるのですが、真面目に、詳細に、ユーザー目線にたって、まとめられた本だと感じました。さすが学研。
p.s. けっこうひどい二日酔だった。
食べ物もお寺も興味津々。ありがとうございます。
なるほど、三島からのタイだったのですね。
「豊饒の海」は一昔前に箱入りの美品単行本が(素晴らしい装丁の!)ブコフにて100円でⅠ~Ⅲ巻まで見つけて即ゲット・・・が、その後見つけられずに現在小屋裏で永い眠りについています。
諦めてアマゾンで注文するか?
天人五衰が欠けているのは残念、これは揃えたくなりますよね。いま、amazonで探してみたのですが、第四巻単体での出品は見つけられませんでした。首尾よく揃うことを願ってます(^^)