居心地

相棒のワンコとの暮らしの風景
他愛ない日常のあれやこれ

爪染めてみる…

2010年10月05日 | つらつら
あれはまだ、私が一人っ子だった頃…


叔母が離婚して看護学生寮の寮母をしていた時だった。

寒い札幌の郊外を母と二人訪ねた事がある。

若い頃、大病を患った叔母には子供がなく私を可愛がってくれていた。


まだ、字も読めない頃から欠かさずクリスマスカードを送ってくれたのも叔母。

そんな叔母が「おかあさん」と若い看護師の卵達から慕われ

自分の場所を作っていた。


若い頃から文学に親しんでいた叔母が

「見せたいものがある」と取り出した一冊の冊子。

それはお世話になっている病院の有志が創っている文芸誌。

短歌の特選に自作の句が選ばれたと嬉しそうに母に告げていた。


まだ小学2年の私には内容も理解出来なかったが

何故か今でも 「…爪染めてみる五十路の吾は」

と言う下の句だけはっきり覚えている。


今、その時の叔母の年に近づきマニキュアの手を翳しながら

心中に思いを馳せてみる。


叔母も母も とうに向こうの世界へ旅立っている。



以前は苦手だったマニキュアで重だるい指先が

近頃は嫌いじゃない。





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コメント (9)
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